【富士フイルムスーパーカップ 横浜F・マリノスvsヴァンフォーレ甲府】トリコロールの戴冠が告げる春の訪れ

長い長いオフが明けて

富士フイルムスーパーカップと大会名が変わったスーパーカップも今回で2回目。

未だに富士ゼロックススーパーカップと言ってしまいそうになるのは僕だけじゃないだろうけど、
ナビスコカップがルヴァンカップに変わった時にように、時の流れが解決してくれるだろう。

そんな富士フイルムスーパーカップで相対するは、昨季のJ1リーグ王者の横浜Fマリノスと、
昨季の天皇杯王者のヴァンフォーレ甲府。

昨日雪が降ったことが嘘のような快晴の国立競技場で、
カタールワールドカップがあったことで例年より長いオフを過ごしたJリーグファンに、
新しいシーズンの訪れを告げる号砲が鳴る。

夏バテしていないウタカは脅威

さすがに天皇杯を制した甲府と言っても、
J1王者のマリノス相手では苦しい試合を強いられるだろうと思っていたのだけど、
前半、チャンスを多く作ったのは甲府。

最後の精度を欠いて得点するまでには至らなかったけど、
マリノスのパスを中盤でカットしてカウンターに繋げる場面が多く、
そのうち最前線に構えるピーター・ウタカの一発で得点しそうな匂いがしていた。

明日39歳の誕生日を迎えるウタカだったり、
今年43歳になる甲府のレジェンド・山本英臣だったり、甲府は大ベテランが元気だね。

しかしながら決して流れが良いとは言えない状況で先制点を奪ったのはマリノス。

右サイドでボールを持った水沼が、
ペナルティエリア内にいたアンデルソン・ロペスに斜めのクサビを当てると、
左サイドに展開したロペスのパスを受けたのはエウベル。

天皇杯決勝で神懸かり的なセーブを連発し、
甲府の賜杯獲得に貢献した河田もこの1対1を止めることが出来ず、
エウベルが冷静にゴールネットを揺らしてみせた。

その後は、左SBの永戸が偽SBの動きでバイタルエリアに走り込んでシュートを放つなど、
徐々にマリノスがやりたいサッカーをやり始める。

ここから点差がつくかなと思っていたのだけど、
ウタカがクサビを受けるフリをして縦パスをスルーすると、
背後に走り込んだ鳥海の折り返しからウタカが決め、
前半のアディショナルタイムに入ろうかという時間帯に、甲府がスコアを振り出しに戻す。

VARのチェックの時間が長すぎるような気もしたけど、
ゴールが認められた後のヴァン君の狂喜乱舞が面白かったので、気にしないこととする。

見せたJ1王者の貫禄

JO1が国立競技場を訪れた女性ファンを沸かせたハーフタイムを終えて始まった後半も、
ボールを握るマリノスとカウンターを狙う甲府という構図は変わらず。

この劣勢とも言える状況を打破すべく、
甲府の篠田監督は水野に代えてジェトゥリオというカードを切るも、
皮肉にもこの交代の直後に得点を挙げたのはマリノス。

角田が自陣から長い距離を持ち上がってロペスにパスを送ると、
ロペスが追いすがるディフェンスを振り切ってシュート。

このシュートは一度はゴールポストに弾かれるも、
跳ね返りを西村がプッシュして後半16分にマリノスに勝ち越しゴールをもたらしてみせた。

再びビハインドを背負った甲府は、
鳥海に代えて天皇杯決勝で先制ゴールを挙げた三平を投入して反撃に出るも、
マルコス・ジュニオールやヤン・マテウス、藤田譲瑠チマといった、
豪華なベンチメンバーを投入して強度を維持するマリノスの前に手も足も出なくなっていく。

試合終盤にセットプレーの流れからエドゥアルド・マンシャがゴールネットを揺らし、
スタジアムは大歓声に包まれるも、
前半のウタカのゴールとは違いこれは明らかなオフサイドで同点とはならず、試合終了。

Jリーグ創成期から強豪としての地位を築いているマリノスだけど
意外にもこれがスーパーカップ初優勝なんだとか。

スーパーカップ直前に正GKの高丘がMLSに移籍して急遽オビがスタメンになったり、
柏から加入した新戦力・上島の右SB起用などの不安要素はあったものの、
両者とも無難にこなしていたし、今季もタイトル争いには絡んできそうだね。
(小池と松原って何やってんの?ケガ?)

敗れた甲府も、ウタカや武富といったJ1経験が豊富な戦力を獲得しただけでなく、
長谷川や鳥海といったJ1でも十分にやれそうな選手の慰留に成功したことは、
今季のJ2と秋から始まるACLを戦う上で非常に大きいんじゃないだろうか。

新規ファン獲得のためのきっかけを作れるか

失礼な表現をご容赦いただきたいけど、マリノスはともかくとして、対戦相手が甲府では、
国立競技場という巨大な箱は閑古鳥が鳴くんじゃないかと思っていたけど、
5万人以上の観客が訪れたことは良い意味で予想外。

まあ、ラブライブ!とJO1目当てでスタジアムに来ているお客さんも多かったと思うけど、
この試合がサッカーに興味を持ってもらうきっかけになってくれればいいなと思う。

カタールワールドカップでの日本代表の活躍で盛り上がったサッカー熱を冷まさないよう、
来週から始まる2023年のJリーグも熱い戦いを期待したいね。

横浜F・マリノス21ヴァンフォーレ甲府
’30 エウベル
’44 ピーター・ウタカ
’61 西村拓真