【明治安田生命J1リーグ20節 ガンバ大阪vsサンフレッチェ広島】必要なものは1本のネジの締め直しかそれともオーバーホールか

試合が無くても試練は続く

我らがガンバ大阪の今節の対戦相手はサンフレッチェ広島。

先日の川崎戦の時の記事にも書いた通り、
この試合もリモートマッチという名の無観客試合になってしまったわけだけど、
5月27日の徳島戦と5月30日の横浜FCも無観客での開催が決定し、
経営への更なる打撃が必至。

また、開催地が未定だった今季のACL東地区のグループステージが、
なぜかウズベキスタンで開催されることに決まり、
6月から7月にかけてほとんどヨーロッパと言ってもいい遠い国に、
遠征させられることになってしまった。

一向に向上の兆しが見えないチームを見ているだけでもつらいのに、
いくらなんでも、今季のガンバを取り巻く環境は、
ピッチ内外両面に於いて逆風が強すぎやしないだろうか。

難しいのは百も承知だけど、
そんな逆風の中でも追い風が吹く場所を見つけたいところだ。

あっちが良くなるとこっちが悪くなる

この試合のガンバのスタメンは、GKに東口、DFラインは右から奥野、三浦、昌子、黒川、
中盤は井手口とチュ・セジョンを並べ、2列目は右に矢島、左に倉田、
そして2トップはパトリックと一美の4-4-2。

奥野がJ1の試合で右SBで出場するのは初めてかと思うのだけど、
昨年、J3で右SBとしてプレーした経験が生きたのか、
小野瀬や佐藤を右SBで起用するよりは遥かに期待が持てるパフォーマンスだったと思う。

パトリックへの低空クロスやシュートブロックなど見せ場もあったし、
継続的に奥野の右SBを見てみたいと思ったけど、小野瀬大好きな宮本監督のことだから、
小野瀬が戦線復帰したら小野瀬を右SBで起用するんだろうな。

先日の川崎戦から中3日での試合とあって、大した練習も出来ていないと思うけど、
この日の前半の試合内容は、川崎戦とその前のセレッソ戦と比べると、
改善したように見受けられた。

いつもなら、宇佐美とレアンドロ・ペレイラが、
ボールをもらいにずるずると中盤に下がって来て、前線の駒不足を引き起こしていたけど、
この試合ではチュ・セジョンが中盤の配球役として機能していたので、
一美とパトリックが下がってくる場面が少なく、
高い位置で広島のDFラインの背後のスペースを狙うことが出来ていた。

広島のDFラインがよく統率出来ていたので、オフサイドになる場面が多かったけど、
これまでの試合で乏しかったDFラインの裏を狙う意識が伝わってきたのは良かったと思う。

ところが、攻撃陣のパフォーマンスが改善されると、今度は守備陣がピリッとしない。

ガンバの右サイドで得たFKを森島がペナルティエリア内へ送ると、
これを中央に走り込んだ佐々木にドフリーで合わされ、先制点を献上してしまった。

あの状況で佐々木をマークすべきは三浦だったと思うけど、
ゾーンディフェンスの自分のポジションに移動するのに気を取られすぎていたのか、
見当違いの方向に走っていて、佐々木を全然見ていなかったね。

腕章を巻く選手らしからぬボーンヘッドだったと思うわ。

動かないが吉だった

このまま1点ビハインドで前半終了かなと思っていたら、チュ・セジョンのCKから、
一美がヘディングシュートを決め、試合は振り出しに。

重心が後ろにあって難しかったと思うけど、
教科書通りに地面に叩きつけたことでゴールマウスに吸い込まれたね。

前半に追いついた勢いをそのままに、後半に逆転といきたいところだったけど、
野上や荒木といったハードマーカー揃いの守備陣の前にゴールを奪えずにいると、
後半20分に敵ながら見事なロングカウンターを決められ、勝ち越しを許してしまった。

長い距離を走りながら東口との1対1を冷静に決めた川辺も上手かったけど、
その前のジュニオール・サントスの右足アウトサイドでのミドルレンジのパスは、
個の力が際立ったものだったね。

1点ビハインドになったことを受け、宮本監督は、
一美、パトリック、チュ・セジョンに代えて、
宇佐美、レアンドロ・ペレイラ、山本を投入するという3枚替えを敢行したわけだけど、
結果的にこれは悪手だったように思う。

足元でボールをほしがる宇佐美とレアンドロ・ペレイラを2トップに並べたことで、
前線のスペースを狙う動きが無くなってしまい、
広島のDFラインの前でパスが回るばかりで、得点の匂いがしなくなってしまった。

後半33分に初お目見えとなった新外国人のウエリントン・シルバは、
静止した状態から一瞬の加速でマークを振り切るなど、体のキレは良さそうだったけど、
さすがに周囲との連携はまだまだで、広島DF陣の脅威とはなり得ず。

先日の川崎戦に続き2試合連続で無観客のホームで苦杯を舐めることになってしまったね。

些細なきっかけはどこにある?

2014年はワールドカップの前までは降格圏に沈んでいたのに、
ワールドカップによるリーグ中断期間中に故障離脱していた宇佐美が復帰し、
川崎と甲府でパッとしなかったパトリックが加入すると、
中断空けから快進撃を続けて国内3冠達成。

シーズン途中に監督がクルピから宮本に代わった2018年は開幕から低空飛行で、
J1ライセンスを持たない町田がJ2で昇格圏に入ることを願うような状況だったのに、
故障離脱していた今野の戦線復帰以降、9連勝を飾って一桁順位浮上。

悪い方で言えば、ガンバ大阪のクラブ史上最多勝ち点である、
勝ち点70を挙げた2011年から、選手の顔ぶれはほとんど同じにも関わらず、
監督が西野からセホーンに代わった途端、J2降格。

20年近くガンバ大阪というクラブを見続けて思うのは、
ちょっとしたことでチーム状態が劇的に良くなったり
悪くなったりするチームだなということ。

今のガンバのクラブ状態もかなり深刻な状況のように見えるけど、
改善するきっかけは「え!そんなことで?」というような些細なものだと思っている。

個人的に、ガンバ大阪というクラブの監督の仕事って、
そんな些細なチームバランスを見出すことだと思ってるんだけど、
宮本監督に今のチーム状況を好転させるアイデアはあるのだろうか。

もう次の日曜日には浦和戦が控えている。

悠長に構えていると取り返しがつかないことになりますよ、松波さん?

ガンバ大阪12サンフレッチェ広島
’36 佐々木翔
’44 一美和成
’65 川辺駿