【全国高校サッカー選手権大会 1回戦 秋田商業vs東福岡】冬も熊谷が熱いのは選手権の熱のせい

お前はまだクマガヤを知らない

昨日、新国立で決戦の火蓋が落とされた高校サッカー選手権は、
本日から首都圏の各スタジアムで1回戦がスタート。

僕が1回戦の観戦に訪れたのは熊谷スポーツ文化公園陸上競技場。

ラグビーのパナソニックワイルドナイツのホームゲーム観戦のために、
陸上競技場と同じ敷地内にあるラグビー場にはたまに来ているのだけど、
まさか選手権でこの場所に来るとは思わなかった。

それもそのはず、例年であれば選手権の埼玉県会場は、
大宮のNACK5スタジアムと浦和の駒場陸上競技場なのだけど、
現在、後者が改修工事中とのことで、今年は熊谷が選ばれたそう。

首都圏開催を謳っている高校サッカー選手権に於いて、
群馬にほど近い熊谷を首都圏と呼んでいいのかという気もするけど、
次回大会から埼玉県の会場は熊谷から駒場に戻るだろうし、
今年だけはイレギュラーな熊谷での選手権を楽しもうと思う。

変形する赤い彗星

第1試合で、前橋育英のホームゲームと呼んで差し支えない雰囲気の中、
上州の虎が草津東に圧勝した余韻がスタジアムに残る中行われた第2試合は、
秋田商業と東福岡の対戦。

秋田県リーグの秋田商業とプレミアWESTの東福岡だと、
プロで例えるとJ1とJFLぐらいの差があるので、どちらが勝つかというよりは、
東福岡がどう勝つかという観点で試合を見ていたのだけど、
思いもよらぬ接戦になった。

東福岡の代名詞は4-1-4-1の布陣から繰り出すサイドアタックなので、
この試合でも同様の戦い方を選択するものだとばかり思っていたのだけど、
蓋を開けてみると3-4-2-1の布陣。

今季は、プレミアWESTの開幕から5連敗を喫し、
インターハイも福岡県予選で敗退するなど苦しい戦いを強いられ、
試行錯誤した末に辿り着いたのがこの布陣への変更だったそうだ。

この試合でも、序盤から試合の流れを握りながらも、
秋田商業の球際の強さとスライドの速さに苦しめられ、
なかなかシュートまで持ち込めずにいたあたりに、
今季の苦しい戦いが垣間見えたけど、それでも前半30分に先制に成功。

左サイドを駆け上がった左WBの辻が、
17番の大渕へグラウンダーのマイナスのクロスを送ると、
大渕はこれをシュートすると見せかけてワンタッチで7番楢崎へパスし、
ゴール前でドフリーとなった楢崎がゴールネットを揺らすという、
非常に美しい崩しだった。

この試合は、1トップに11番中原、2シャドーに大渕、楢崎という布陣でスタートしたけど、
あまりうまくいかなかったこともあってか、
楢崎が1トップ、大渕と中原で2シャドーという形に変えてからすぐにゴールが生まれたので、
森重監督の采配が的中した場面だったね。

見せた伝統校の意地

対する秋田商業はオーソドックスな4-4-2の布陣で、
ホーム扱いなのになぜか2ndの白のユニフォームを着ていたね。

秋田商業と言えば、坊主頭の選手たちが愚直にピッチを走り回り、
泥臭くゴールを目指すという、
古き良き高校サッカーのイメージを体現している印象のチーム。

この試合でも東福岡にボールを握られる時間帯が長かったけど、
粘り強く戦っていたと思う。

ただ、時代の流れから部則が変わり、髪形が自由になったこともあってか、
プレーにもところどころ遊び心が出ているようにも見えて、
「あれ?秋商って意外と上手い選手いるなあ」と感じるプレーも見られたね。

失点の場面は相手が上手かったのでノーチャンスだったけど、
この試合で喫した失点は前半の1点のみと守備陣は頑張ったと思う。

攻撃に関しては、後半は秋田商業にもチャンスがあったのだけど、
決めきることが出来なかった。

特にファーサイドに抜けてきたグラウンダーのクロスをシュートミスした場面は、
絶好機だっただけに悔やまれるね。

選手交代を告げられた後、号泣しながらベンチに戻っていったところを見ると、
シュートミスしたのは1年生の20番長谷川かな?

さぞかし悔しいだろうけど、彼にはあと2回チャンスが残されているので、
この悔しさを次回大会で晴らして欲しいね。

九州の盟主は福岡か熊本か

結果的に前半で挙げた1点を守り切り、東福岡が2回戦進出を決めたけど、
秋田商業が善戦したということを抜きしても、この試合内容だと、
同じ熊谷会場で行われる2回戦の大津との試合に勝つのは難しいと言わざるを得ないね。

そんな大晦日の熊谷は、東福岡と大津という大会屈指の好カードに加え、
前回大会王者の山梨学院も登場するという、
夏が暑いことでお馴染みの熊谷らしく熱いカード目白押しになっているね。

と、言いつつ、僕は大晦日はフクダ電子アリーナに行く予定なので、
その熱い試合を見ることはできないのだけど、
熊谷会場の高校は、順当に行けば準々決勝の会場がフクアリになるので、
1月4日のフクアリで赤い彗星を再会できることを楽しみにしたいね。

秋田商業01東福岡
’30 楢崎海碧