【全国高校サッカー選手権大会 準決勝 高川学園vs青森山田】わかっていたけどやっぱり強い青森山田
行き場のない怒りと悲しみ
一昨日に降った雪がピッチサイドに残る国立競技場で行われた高校サッカー選手権の準決勝。
本来であれば、大津と関東第一、高川学園と青森山田の2試合が開催される予定だったのだけど、
チーム内で新型コロナウイルスの感染者が出たという理由で関東第一が出場を辞退したため、
第一試合は大津の不戦勝という形になった。
まあ、コロナ禍の中で行われている大会なので、
どの高校にも起こり得ることではあるのだけど、
尚志や矢板中央、静岡学園と、強豪校を次々と破って、
ベスト4まで勝ち上がってきた彼らの戦いぶりを見ていただけに、
関東第一の選手たちにかける言葉が見つからない。
もうこのような形で若者たちの夢が絶たれるのは見たくないので、
1日でも早くこんな嫌な時代が去ってくれることを心から願うね。
それにしても、世界中の人々の生活を一変させた病原体を撒き散らした国が、
来月、大きい顔して冬季オリンピックを開催しようとしているなんて、
どれだけ厚顔無恥なんだと言いたくなるけども。
お前たちのやりたいサッカーはこれだろ?
今大会はトーナメントのAブロックとBブロックの試合を中心に観戦していたので、
Cブロックの高川学園とDブロックの青森山田の試合を見るのはこの試合が初めて。
試合を見なくても青森山田が強いのはわかりきっているけど、
かごめかごめを彷彿とさせるセットプレー(トルメンタと呼ぶらしい)は、
海外のサッカーファンのSNSでも話題になっていたので、
高川学園は個人的に一度見てみたいと思っていたチームだった。
その高川学園としてはこのセットプレーを以って、青森山田に一泡吹かせたいところだったけど、
逆にセットプレーで格の違いを見せつけたのは高校サッカーの絶対王者。
前半3分、16番田澤がFKをゴール前に送ると、
高川学園のGK徳若の前に入った9番名須川がバックヘッドでゴールネットを揺らし、
ゴールラッシュの狼煙をあげると、
前半26分には、11番藤森のCKに対しニアにおとりの選手を走り込ませ、
ファーで完全にフリーとなった5番キャプテン丸山が決めて2点目。
得点にはならなかったけど、10番松木のショートコーナーから、
マイナスのポジションにいた選手がシュートを打つなど、セットプレーの豊富さが垣間見えたね。
対する高川学園は、自陣からボールを出すのでやっとという感じで、
得意なセットプレーに持ち込むことすら出来なかったね。
トルメンタ、発動せず
後半になると、今度は青森山田が流れの中からも違いを見せつける。
右サイドの深い位置でボールを受けた松木が巧みなステップワークでディフェンスをかわし、
角度のないところから左足を振り抜くと、これがサイドネットを揺らし3点目。
松木はフォーメーション図で表すなら6番宇野とのダブルボランチになるけど、
ボックストゥボックスでピッチに至るところに顔を出すので、
どこにいるのかわからないから、対戦相手としては捕まえづらいよね。
個人的にはJを経由しないで直接海外挑戦して欲しかったけど、
これだけフィジカルと基本技術を高い次元で兼ね揃えている選手なら、
久保建英のように10代のうちからレギュラー争いに割って入っていけそうだね。
松木のゴールで3点リードとした青森山田は、
後半24分、前線からのプレッシングで高川学園のビルドアップをカットすると、
途中投入されたばかりの18番小湊が追加点を挙げて4点目。
さらに、松木のCKから丸山が打点の高いヘディングでこの日2点目のゴールを挙げて5点目。
トドメに、こちらも途中出場となる15番田中がゴールを挙げ、
終わってみれば6−0というワンサイドゲームで高川学園を退けてみせた。
高川学園も曲がりなりにもベスト4まで勝ち上がってきたチームだけど、
この試合では、CKすら1本も与えてもらえないなど、
プレミアEASTの王者と山口県リーグの高校という、
カテゴリの違いに相応しい実力差が両者の間に横たわっていたように思う。
強いヤツらが順当に勝ち上がってきた決勝戦
明後日はいよいよ決勝戦。
プレミアEASTの青森山田とプレミアWESTの大津の対戦ということで、
東の横綱と西の横綱の決勝戦といったところか。
日程的には、準決勝から中1日の青森山田に対し、
準決勝を不戦勝している大津は準々決勝の前橋育英戦から中5日なので、
大津の方が有利にも思えるけど、青森山田は決勝に備えてか早めに主力を温存していたし、
試合自体もイージーなものだったので、準決勝のダメージはそこまで大きくなさそう。
いずれにせよ成人の日の国立では、
先日他界した長崎総科大付属の小嶺忠敏監督への手向けとなる、
実力伯仲の好ゲームが期待できそうやね。
高川学園0ー6青森山田
’3 名須川真光
’26 丸山大和
’57 松木玖生
’69 小湊絆
’85 丸山大和
’89 田中栄勢