【明治安田生命J1リーグ8節 清水エスパルスvsガンバ大阪】またしても勝ち点を呼び込んだ伝家の宝刀・パワープレー

今年も日本平で勝利の女神は微笑むか

1対1のドローに終わったアウェイ京都戦から中3日、我らがガンバ大阪は、
IAIスタジアム日本平に乗り込んで清水エスパルスとのアウェイゲームに臨んだ。

倉田に代わって後半31分から投入された山見が、
右サイドからカットインして芸術的なミドルシュートを決めて勝利を収めた、
昨季のアウェイ清水戦の劇的な結末を覚えている両チームのサポーターは多いだろう。

そんな印象深い地で山見は昨季の再現といきたいところやね。

また、今季からガンバに加入した石毛にとっては、初めての古巣対戦になるので、
勝手知ったるかつてのホームで背番号48番がどんなプレーを見せるのかも注目やね。

やりたいことは同じだけど

初夏の陽気に包まれた日本平のピッチに送り出された青黒のスタメン11人は以下の通り。

なんと、4日前の京都戦と全く同じメンバーを起用してきた。

と、言うことは、水曜日のルヴァンカップの大分戦はベンチメンバー中心で臨んで、
レギュラーメンバーはごっそり休養ということになるのかな?

対する清水は、前節の浦和戦に後半から出場してJ1デビューを飾った、
身長193cmの大型ストライカー、オ・セフンをスタメンで起用。

このオ・セフンという選手のことは正直よく知らなかったのだけど、
体格からして電柱タイプのターゲットマンなのだろうなと思っていたら、
意外と足元の技術や裏への抜け出しも上手くて、
韓国代表でキム・シヌクの後継者にも成り得る選手だという印象を受けたね。

また、昌子と三浦がこのオ・セフンの対応に手を焼いたことで、
1.5列目でフラフラとスペースを見つけてボールを受ける鈴木唯人のマークが甘くなり、
何度か鈴木唯人のところからピンチを迎える場面があったね。

1トップの長身選手にシンプルにくさびを入れて、
その周囲を衛星のように動くテクニシャンに前を向いてボールを触らせたいというのは、
ガンバも同じ狙いなんだけど、
オ・セフンと鈴木唯人の距離感と比べると、パトリックと山見のそれはあまり良くなくて、
ガンバはなかなか清水のゴールに迫ることが出来なかった。

この状況を受け、片野坂監督は山見と石毛のポジションを入れ替えると、
石毛が右サイドに流れて小野瀬と絡む形から徐々にガンバがチャンスを増やし始める。

スコアレスで前半を終えたとはいえ、尻上がりに調子を上げている感触はあったので、
この調子で行けば後半には得点できるだろうなと思っていた。

痛感する采配の妙

後半に得点を挙げたいガンバは、後半頭から倉田を投入。

倉田を投入すること自体は良いと思ったのだけど、
前半、あまり良い形でボールを受けられず、不用意なロストも多かった山見ではなく、
ポジションを変えてから良いプレーを見せていた石毛をベンチに下げたのは驚いた。

また、人を入れ替えただけでなく、布陣も4−4−2から3−4−2−1に変更したけど、
これも悪手だったように思う。

3バックの脇のスペースを清水に狙われると、
WBの小野瀬と黒川のポジションを押し下げられて5バック化してしまい、
攻撃に枚数をかけられなくなってしまった。

すると、後半12分、まさにその3バックの脇のスペースを鈴木唯人に突かれ、
右サイドの深い位置からクロスをあげられると、ファーサイドでオ・セフンがヘディングシュート

このシュートは一度は一森がセーブするも、跳ね返りをオ・セフンに押し込まれ、
先制点を献上してしまった。

反撃したいガンバは、ダワン、齊藤、山見に代えて、
山本、奥野、坂本を投入するという3枚替えを見せるも、試合の流れは変わらず。

結局、最後のカードで髙尾に代えてレアンドロ・ペレイラを投入し、
布陣も4−4−2に戻してパワープレーを仕掛けるという、
今季何度も見たお約束の光景を目にすることに。

かくしてパワープレーを仕掛けることになったガンバだけど、
清水の選手がロングボールの出し手に厳しく寄せてきたこともあり、
しばらくは良い形を作れず、「これは望み薄かな」なんて思っていたのだけど、
なんと清水の平岡監督は、パワープレー対策として鈴木唯人に代えて立田を投入し、
DFラインの人数を増やしてきた。

この交代で清水の前線の選手の人数が減ったことにより、
ガンバのロングボールの出し手にプレッシャーがかからなくなり、
パトリックやレアンドロ・ペレイラに良いボールが入りはじめ、
レアンドロ・ペレイラのヘディングシュートがゴールポストを叩くなど、
徐々にガンバに得点の匂いがしはじめる。

すると、後半アディショナルタイムのラストプレーという時間帯に、
レアンドロ・ペレイラがヴァウドに倒されてゴール正面の位置からFKを獲得。

山本が蹴ったFKは壁に跳ね返されるも、跳ね返りのボールを小野瀬がシュートすると、
権田の手を弾いたボールがゴールの中に転がり込み、
ガンバが土壇場で試合を振り出しに戻すことに成功。

片野坂監督の悪手で手放したかのように見えた試合の流れは、
平岡監督の悪手によって戻ってくるという、
監督の采配って大事だよねって改めて認識するような試合展開だったね。

まあ、なんにせよガンバとしては勝ち点1を拾った、
清水としては勝ち点2を失った試合と言っていいだろう。

爆弾はいりません

次節は、ホームで湘南と対戦。

湘南は今季ここまで未勝利と、山口智監督の心中を察する状況ではあるけど、
かと言って湘南に初勝利をプレゼントしてあげるほどガンバに余裕があるわけでもない。

先述の通り、ミッドウィークのルヴァンカップ大分戦は控えメンバー中心になるだろうから、
レギュラーメンバーは今季ホームでの2勝目を目指して1週間しっかり準備して欲しいね。

清水エスパルス11ガンバ大阪
’57 オ・セフン
’90+7 小野瀬康介