【明治安田生命J1リーグ33節 ガンバ大阪vsジュビロ磐田】裏天王山を制したのは我らがガンバ大阪!!
伸るか反るかの裏天王山
あれは2022年シーズンの日程が発表された今年の初めのこと。
ホーム最終戦でジュビロ磐田との対戦が組まれているのを見て、
片野坂監督のもとで復活を果たしたガンバが、
磐田の選手として初めてパナソニックスタジアム吹田を訪れる遠藤保仁を拍手で出迎えるという、
ほのぼのとした雰囲気の試合になることを想像していた。
ところが、そんな想像とは裏腹に、
先週、大雨による静岡市の断水被害の影響で順延されていた静岡ダービーがドローに終わり、
清水エスパルスに抜かれて自動降格圏の17位に順位を落としたガンバは、
ホーム最終戦でJ1生き残りを賭けた裏天王山臨むことになってしまった。
対戦相手の磐田のJ2降格が既に決まっていたら戦いやすかったのだけど、
一時はJ1残留が絶望的な状況に追い込まれていた磐田は、
首位のマリノス相手にアウェイで勝利を収め、静岡ダービーでも土壇場で勝ち点1を拾うなど、
僅かに残ったJ1残留の可能性を掴み取るために吹田に乗り込んで来ているので、
非常に厄介極まりない相手だ。
また、磐田は直近の清水戦から中6日でこの大一番を迎えているのに対し、
ガンバは8日のマリノス戦から3週間も試合間隔が空いているので、
試合勘が鈍っている可能性があるのも懸念事項。
ただ、このような切羽詰まった状況でそんな言い訳も言ってられないので、
J1残留を勝ち取るためには、松田監督になってから果たせていないホーム初勝利を、
このタイミングで持ってくるしかない。
決められるところで決められないという負けパターン
クラブの命運が懸かった重要な一戦に挑む青黒の11人は以下の通り。
脚を痛めているということもあってか、
前節のマリノス戦で値千金の追加点を挙げたパトリックに代わり、
スタメンに抜擢されたのはレアンドロ・ペレイラ。
また、マリノス戦を累積警告で欠場した齊藤がスタメン復帰すると見られていたボランチは、
ダワンが引き続きスタメンで起用されたね。
試合の序盤は、黒川の左サイドからのシュートに対し、ファーサイドに髙尾が詰める場面や、
ジャーメインのクロスを杉本がヘディングで合わせる場面など、お互いに決定機はあったものの、
時計の針が進むにつれ、徐々にゴール前の局面が少ない堅い試合展開に。
磐田が敷く5-4-1のブロックをなかなか崩せずにいたガンバだけど、
整えられた陣形を乱すことが出来るのはやはり個の突破。
左サイドで宇佐美が磐田のディフェンス3枚を剥がして上げたクロスは、
磐田のGK三浦龍輝に触られてしまうも、逆サイドでフリーになっていた小野瀬に、
絶好のこぼれ球が転がってきた。
シュートを打つ前からガッツポーズをしてしまうような状況だったけど、
シュートブロックに入った松本昌也の足が気になったのか、
小野瀬はこれを大きくふかしてしまい、先制ならず。
この試合の小野瀬は、このシュートミスだけでなく、
らしくないパスミスやトラップミスもあったし、
カウンターを狙おうとした東口のスローにぶつかってしまってピンチを招くなど、
なんとなく彼の日じゃない感じはあった。
もしこの試合でガンバが負けるようなことがあれば、
このミスが勝敗の分かれ目になるだろうなと思わざるを得ないような痛恨の決定機逸だったね。
ベンチからやってきた2人の救世主
スコアレスで迎えた後半。
早い時間帯に宇佐美の直接FKのチャンスはあったものの、
その後は遠藤に立て続けにシュートを打たれてあわや恩返しをされそうになるなど、
磐田が攻勢を強めてきた。
特に、鈴木雄斗からのグラウンダーのクロスを合わせた2本目のシュートは、
遠藤の技術を持ってすれば造作の無いシュートのように見えたんだけど、
かつてホームとして戦ったパナスタのピッチの悪戯により、
シュートする直前でバウンドが変わったのがガンバにとってラッキーだったね。
この状況を受けてか、松田監督は小野瀬とペレイラに代えて食野とパトリックを投入すると、
この交代策が見事に的中。
左サイドに流れていた山本からのパスを食野が中央で受けると、
対峙した大井の股の下を抜く技ありのコントロールショットでゴールネットを揺らし、
後半21分に先制に成功。
さらに後半28分、ダワンとの交代でピッチに入っていた齊藤が、
宇佐美のクロスのこぼれ球をヘディングでペナルティエリア内に送ると、
これをパトリックがバイシクルシュートでゴールに叩き込んで、
一気に2点のリードを奪ってみせた。
カウンターの場面で簡単なインサイドキックのパスをミスしたり、
後半終了間際には山本の絶好のシュートチャンスを邪魔したりと、
相変わらず技術が拙い一面も見せていたけど、
何の脈絡も無いところからいきなり点を取ってしまうのがパトリックの真骨頂である。
試合終了間際に立て続けにシュートを打たれる場面はあったものの、東口の好セーブで凌ぎ、
今季ことごとく敗れていた残留争いの大一番にようやく勝利。
一方、この試合の敗者となった磐田は1年でJ2に逆戻りとなってしまった。
10年前、磐田のホームのヤマハスタジアムで敗れてJ2降格を経験したガンバが、
10年後に自分たちのホームのパナソニックスタジアム吹田で磐田に勝利して、
磐田のJ2降格が決まるなんて因縁めいたものを感じずにはいられないね。
安堵するのは残留を決めてから
磐田に勝利したことで、J2自動降格圏から抜け出し15位に浮上したガンバ。
しかしながら、次節の結果次第で再び17位に転落する可能性はあるし、
最終節は今季4戦4敗の鹿島アントラーズとのアウェイゲームなので、
予断を許さない状況であることに変わりはない。
とは言え、松田監督になってから鹿島と対戦するのは初めてだし、
宇佐美復帰後の試合は負けていないので、油断してはいけないのは言わずもがなだけど、
あまり神経質になりすぎる必要も無いと思う。
鹿島との対戦で何度もやられてきた上田綺世ももういないしね。
他会場の状況も気になるところだけど、自力で残留を決められるように、
11月5日のカシマスタジアムでの試合は全ての力を出し尽くして戦って欲しいね。
ガンバ大阪2ー0ジュビロ磐田
’66 食野亮太郎
’73 パトリック