【カタールワールドカップ グループE1節 ドイツvs日本】世界を驚かせた青いサムライ
16年半前の再現は起こせるか
試合終盤のベルギーのロングカウンターに沈み、
史上初のワールドカップベスト8進出の夢を断たれた「ロストフの14秒」から約4年半、
我々日本代表はワールドカップの舞台に戻ってきた。
カタールの地で、悲願のベスト8進出を期す日本代表の前に立ちはだかるのは、
ベルギーと遜色ないかそれ以上の強豪国ばかりだけど、
試合はやってみないとわからないというのは、
アルゼンチンから大金星を挙げたサウジアラビアが、昨日教えてくれたばかりだ。
日本が所属するグループEの初戦は、前々回のブラジルワールドカップの覇者であるドイツ。
この試合で勝ち点を挙げられるかどうかが、
今大会で日本がどれだけの成績を残せるかというバロメーターになると思うので、
栄光に彩られた白いユニフォームを前にしても怯むことなく戦って欲しいと思う。
やはりドイツは強いと体感させられた前半
ハリファ国際スタジアムのピッチに送り出された日本代表のスタメン11人は以下の通り。
先日のブンデスリーガの試合で脳震盪を起こし、
この試合への出場が危ぶまれていた遠藤航がスタメンに名を連ねた一方で、
故障を抱えていた守田は間に合わず、ボランチで遠藤とコンビを組むのは田中碧。
また、先日のカナダとのテストマッチで、
セットプレー時のハイボール処理で権田が不安定な動きを見せていたので、
シュミットを起用してくるかなと思っていたのだけど、引き続き権田を起用してきたね。
序盤からドイツに押し込まれる展開を覚悟していたのだけど、
ドイツの選手たちのエンジンがまだかかっていなかったのか、
2度ほどドイツのミスから中盤でボールを奪う場面があった。
その流れから、オフサイドで取り消されたものの前田がゴールネットを揺らす場面があり、
良い形で試合に入ることが出来たように思えた。
しかしながら、その後はドイツに主導権を握られ、
いつ失点してもおかしくないような時間帯が続く。
特に、ドイツの左サイドで形成される、
ムシアラ、ラウム、ギュンドアンのローリングに全くついていけず、
日本のストロングポイントである伊東と酒井の右サイドが完全に封じられてしまった。
すると、中に入っていったムシアラの動きに伊東と酒井が2人とも付いていってしまい、
オーバーラップしてきたラウムをドフリーにしてしまうと、
飛び出した権田がラウムを倒してしまい、PKを献上。
このPKをギュンドアンに決められ、絶対に与えたくなかった先制点を与えてしまった。
ラウムと対峙した時に不用意に足を出した権田のプレーもいただけなかったけど、
日本の右サイドの守備がハマらない時間帯が続いていたので、
ベンチからの指示でもっと早く修正して欲しかったと思う。
1点ビハインドになってから、長友のクロスを前田が頭で合わせる場面があったものの、
ドイツペースの試合展開は変わらず、前半終了時点では後半の逆転も望み薄かなと思われたね。
ハーフタイムに魔法を使った森保一
1点を追う日本は、後半頭から久保に代えて冨安を投入し、布陣を3-4-2-1に変更。
前半、問題を抱えていた右サイドの守備を改善する狙いかなと思ったのだけど、
ドイツがボールを支配する試合展開なのに3バックにしたら、
両WBが押し込まれて余計に攻撃出来なくなるんじゃないかと思っていたら、
攻守両面で試合展開が好転。
特に、前半はドイツのDFラインにプレッシャーを掛けるのが前田1人だったのが、
前田と伊東の2人なったことで、ドイツのビルドアップがハマらなくなっていった。
しかしながら、そこはさすがドイツといった感じで、
悪いなりにも要所では日本の選手たちに仕事をさせず、
前田との交代で入った浅野に訪れたシュートチャンスが、
リュティガーに余裕を持って対応されてしまうなど、なかなかチャンスを作らせてもらえない。
そんな状況が続いていたので、長友との交代でピッチに入っていた三笘を、
左WBではなくもっとゴールに近い位置でプレーさせてみては?なんて思っていたのだけど、
その左WB三笘から試合を振り出しに戻すゴールが生まれる。
左サイドをドリブルで持ち上がった三笘が、
ペナルティエリアの左奥のスペースに走り込んだ南野へパスを送ると、
南野のクロスをノイアーが弾いたところを逆サイドから走り込んだ堂安が決め、後半30分に同点。
さらに、自陣からFKを板倉が前線の浅野目掛けて放り込むと、
これを浅野が見事なトラップで収め、
マッチアップするシュロッターべックをブロックしながらドリブルを開始。
すると、36歳を迎えた今なお世界最高GKに名を挙げられることの多い、
マヌエル・ノイアーのニアサイドをぶち抜き、なんと後半38分に試合をひっくり返してみせた。
ドイツの守備が緩慢だった気がしなくもないけど、
良い意味で浅野らしからぬ見事なゴールだったと思う。
後半のアディショナルタイムが7分と長く取られたこともあり、
残りの時間は祈るような気持ちで試合を見ていたのだけど、
前半にPKを献上した権田の汚名返上のスーパーセーブ連発に呼応するかのように、
守備陣も体を張った守りを見せ、タイムアップ。
日本がワールドカップでドイツに勝つなんて、なんだか現実のような気がしないけど、
Jリーグが始まって30年、ワールドカップも6回出場する中で、
日本も強くなったんだなと感慨深い気持ちやね。
勝って兜の緒を締めよ
ドイツに勝って勝ち点3を手にしたことで、
決勝トーナメント進出の可能性が高まった日本だけど、
試合後に多くの選手たちが語っていたように、まだ1勝しただけで何も決まっていないので、
喜ぶのは今日だけにして、慢心せずに次節以降の試合に臨みたいところやね。
次節の対戦相手はコスタリカ。
コスタリカの守護神のケイラー・ナバスも世界屈指のGKだけど、
ノイアー相手に2ゴールを奪った日本の選手たちならきっとやってくれるはず。
次の日曜日の夜も、歓喜の瞬間に酔いしれたいね。
ドイツ1ー2日本
’33 イルカイ・ギュンドアン
’75 堂安律
’83 浅野拓磨