【カタールワールドカップ グループE2節 日本vsコスタリカ】11月の終わりにかけられる冷や水は骨身に沁みますな
26年前と同じ轍は踏まない
カタールワールドカップのグループE初戦で、
優勝候補のドイツを相手に逆転勝利を収めた我らが日本代表。
当然ながらその反響は大きく、
例年のワールドカップに比べてどこか冷ややかだった世の中の空気が、
一晩にしてワールドカップ一色に染まってしまった。
ただ、盛り上がっているところに水を差すような言い方になってしまって恐縮だけど、
ドイツに勝ったからと言って日本のベスト16が決まったわけではない。
日本のジャイアントキリングと言えば、
アトランタ五輪でブラジルを破った”マイアミの奇跡”が有名だけど、
あの時は、ブラジルの次に対戦したナイジェリア戦での敗戦が響き、
最終的に日本は勝ち点6を取ったにも関わらず、
得失点差でグループステージで敗退してしまった。
この試合の対戦相手のコスタリカは、初戦でスペインに大敗したとは言え、
ブラジルワールドカップではベスト8に入るなど本来は地力のある相手。
ただ、ドイツ戦の勝利を無駄にしないためにも、この試合で勝ち点3を獲得し、
決勝トーナメントへ進む権利をグッと手繰り寄せてほしいと思う。
退屈さとともに過ぎていった45分
戦いの舞台をハリファ国際スタジアムから、
アフメド・ビン・アリ・スタジアムに移した日本代表のスタメン11人は以下の通り。
先日のドイツ戦から伊東、久保、田中碧、前田、酒井の5人が外れ、
相馬、堂安、守田、上田、山根が入った。
初戦のスペイン戦で大敗しているコスタリカが、序盤から前掛かりに攻めてくると踏んで、
遠藤と守田というボール奪取能力の高い2人を並べたのかなと思ったんだけど、
予想に反してコスタリカが自陣で5-4のブロックを敷いて守ってきた。
鎌田がコスタリカのボランチとDFラインの間でフリーになっている場面が何度かあったし、
コスタリカの右WBのフレールが不安定な守備を見せていたので、
対面の相馬をもっと使っても良かったと思うのだけど、
遠藤と守田のクオリティでは前線にボールを供給出来なかったね。
前半の終盤になると、日本がカウンターからチャンスを作れそうな場面が訪れるのだけど、
マイボールを大事にするあまり鎌田が安全なプレーを選択してしまったり、
上田の落としがことごとく味方と合わなかったりでいずれもシュートまで持ち込めず。
個人的に上田は現在の日本人で最高のFWだと思っているんだけど、
この試合に限らず代表の試合ではなんでこんなにパッとしないのだろうか不思議で仕方ない。
対するコスタリカに良い攻めがあったかと言われるとそんなこともなく、
何も起こらずに前半の45分が過ぎていった。
なんだかワールドカップの試合というよりは、
キリンチャレンジカップを見ているんじゃないかと錯覚してしまうような凡庸さで、
おそらく両国のサポーターでなければ、
退屈でTVのチャンネルを変えてしまいそうな試合だったように思う。
最後に待っていた落とし穴
後半に得点を挙げたい日本は、長友と上田に代えて伊藤と浅野を投入し、
ドイツ戦で劇的に状況を好転させた3-4-2-1へ布陣を変更。
さっそく、ケイラー・ナバスの手を煩わせるような場面を作り出し、
後半、攻勢に出る日本の姿に期待させられたけど、
コスタリカのゴールに近い位置で直接FKのチャンスを得ながらも、
得点に結びつけることが出来ずに、時間だけが過ぎていく。
それを受けて森保監督は、後半17分に山根に代えて三笘、
後半22分には堂安に代えて伊東を投入するのだけど、
なぜか頑なにボランチの遠藤と守田の組み合わせは変えず。
大会前のカナダとのテストマッチで好調さをアピールしていた柴崎や、
ドイツ戦でスタメン起用した田中碧もいたのに、
修正ポイントはボランチではないと思っていたのだろうか。
すると、後半30分を過ぎたあたりから、これまで自陣に引きこもっていたコスタリカが、
ここが勝負どころと見たのかハイプレスを仕掛けてきた。
これは、オープンな試合展開になって伊東のスピードや三笘のドリブルが生きる状況になるので、
却って日本にとって好都合だと思ったのだけど、自陣の低い位置でボールを奪われてしまうと、
前半は守備の穴だと思っていたフレールに決められてしまい、後半36分に痛恨の先制点献上。
ボールに触れておきながらゴールの外に弾き出せなかった権田や、
ボールを奪われた守田のプレーもいただけないけど、
大きくクリアしておけばいい場面で相手を舐めたような右足アウトサイドのロビングパスで、
守田へ繋ごうとした吉田のプレーがあまりにも軽率すぎた。
今年の6月に吹田で行われたチュニジアとのテストマッチで、
吉田がボーンヘッドを連発して負けた時、
これがワールドカップの本大会でないことを祈るとこのブログに書いたけど、
どうやら祈りは通じなかったようだね。
1点ビハインドになった日本は、相馬に代えて南野を投入するも、
メンバー表の名前が変わっただけでこれといって状況は好転せず、日本は敗戦。
ドイツ戦の勝利で盛り上がった日本国内の雰囲気に、
冷や水をぶっかけるような残念な試合だったと思うわ。
過去は変えられないので前を向くのみ
このブログを書いている時点ではスペインとドイツの試合結果はわからないけど、
日本の最終戦がスペインであることを考えると、
ドイツ戦で手に入れた良い流れは完全に手放してしまい、
グループステージ突破に向けて相当厳しい状況に追い込まれたと言っても過言じゃないだろうね。
ただそんなことを言っても終わったことは変えられないので、
今は、日本時間の明日4時からの試合でスペインがドイツに勝つことを願いつつ、
最終戦のスペイン戦に勝つための準備をするのみ。
ドイツ戦で見せた姿はフロックではないことを、スペイン戦で世界中にアピールしてほしいね。
日本0ー1コスタリカ
’81 ケイセル・フレール