【ブンデスリーガジャパンツアー2022 ガンバ大阪vsアイントラハト・フランクフルト】試合に勝ってもスッキリしないのはフランクフルトのせいではない

氷山は全て見えていると願いたい

残留争い真っ只中の状況でフランクフルトとの親善試合が決まった時は、
もしガンバがJ2降格したらどんな気持ちでこの試合を見ればいいんだろうと思ったものだけど、
2週間前のアウェイの鹿島戦で辛くも勝ち点1を積み上げ、
なんとか来季もJ1の舞台で戦える権利を得た我らがガンバ大阪。

これで心穏やかに2022年シーズンの最終戦を迎えられると思っていたら、
パトリックと小野瀬が契約満了になるという衝撃的なニュースが飛び込んで来て、
どこか落ち着かない時間を過ごしているガンバサポーターは僕だけじゃないはずだ。

「強いガンバを取り戻す」と言っておきながら、
ガンバ大阪というクラブに対して強い気持ちを持って戦ってくれる2人を放出するなんて、
一体どういう編成で来季に臨もうとしているのか、フロントに対して不信感しかないね。

ただ、ここで僕があれこれ書いたところでどうにかなるものでもないし、
フランクフルトにしてみたらガンバの内情なんて知ったこっちゃないだろうから、
この試合がフレンドリーに終わって、
ガンバの欧州クラブとのコネクションが増えてくれることを願いたいね。

ブンデスリーガの強豪と善戦・・・という評価でいいのか?

アンブロのユニフォームを着て臨む最後の試合で、スタメンに名前を連ねたのは以下の11人。

倉田、藤春、一森、柳澤、中村仁郎といった、
ここ最近プレーしている姿を見なかった選手が名を連ねた一方で、
宇佐美や三浦はベンチにも入らず。

まあ、宇佐美に関しては、シーズン終盤に戦線復帰したものの、
3月に断裂したアキレス腱の状態が万全ではないみたいだし、
ここで無理して来季に影響出すわけにはいかないからベンチ外は賢明な判断かもね。

ただ、宇佐美だけでなく山本悠樹もベンチスタートとしたせいか、
序盤のガンバはビルドアップがままならず、ボランチとCBの間でパスが行き交った後、
確率の低いロングボールが鈴木武蔵に向かって放り込まれてロストの繰り返し。

対するフランクフルトも来日して2試合目ということもあってか、
先日の浦和戦よりはコンディションが上がっているみたいだけど、
ゲッツェやトラップ、鎌田といった主力組がワールドカップのメンバーに入って不在のせいか、
低調なガンバでもなんとか戦えていた。

一昔前のフランクフルトと言えば、エレベータークラブのイメージが強くて、
ワールドカップに出場する選手が何人もいるようなチームじゃなかったのだけど、
昨季のヨーロッパリーグで優勝したり、
今季のチャンピオンズリーグで決勝トーナメントに進出しているところを見ると、
時の流れを感じるね。

時間が経つにつれ、中村仁郎が1対1のシュートチャンスを迎えれば、
柳澤のクロスに鈴木武蔵が飛び込んで決定的なヘディングを放つなど、
徐々にガンバにゴールの匂いがし始める。

なんだかよくわからないけど良くなってきたぞと思っていたら、
ビルドアップのミスからトゥータに決められて失点。

その後も、アリドゥにポスト直撃のループシュートを放たれる場面はあったものの、
なんとか前半は1点ビハインドで折り返すことに。

押し込まれる時間帯が長かったものの、
チャンスになりそうな場面でシュートまで行けないというのが何度かあっただけに、
無得点だったのは物足りなく感じた前半だったね。

後半のピッチで輝いた関学コンビ

1点を追うガンバは、鈴木武蔵、倉田、食野、一森に代えて、山見、石毛、福田、石川を投入。

さらに後半10分には藤春と奥野に代えて黒川と山本を投入し、
スタメンの半分以上が代わる格好になるも、
左サイドのクロスにエンディカが中央で合わせ損ねたり、
チャンドラーが左サイドからカットインしてドフリーでシュートを放つなど、
ガンバに流れが来るどころか、あわや失点という場面を数多く作られる始末。

このままガンバの見せ場は無く、
この試合の見どころは長谷部の出場を残すのみかなと思っていたら、
選手交代によりセカンドチーム所属の若い選手が増えたせいか、
徐々にフランクフルトのペースがトーンダウン。

パナスタの観衆の拍手に迎え入れられ、後半28分に長谷部が投入されるも、
失速したフランクフルトが勢いを取り戻すことはなく、
そんなフランクフルトを尻目にスルーパスに抜け出した山見が、
ペナルティエリア内でGKに倒されてPKを獲得し、
このPKを山見自らが決めて、後半36分にスコアを振り出しに戻すことに成功。

まあ、GKが先にボールをかき出した後に山見がGKにぶつかって転んでいるので、
あれをPKと判定するのはGKにとって厳しすぎる判定のように思えるけど、
この試合を解説した水沼貴史さんの「まあ、ホームですからね」というコメントに、
全てが凝縮されているような気がするわ。

同点に追いついた勢いをそのままにその後はガンバが試合の主導権を握ると、
山本が左サイドからカットインしてニアサイドに強烈なミドルシュートを叩き込み、
後半42分にガンバが試合をひっくり返してみせた。

一時はスタメンから遠ざかっていた時期もあった今季の山本だけど、
残留争いの真っ只中のシーズン終盤にスタメンに復帰してから、一皮剥けた感があるね。

クリエイティブなパスを前線に供給出来る今のガンバに少ない存在なので、
来季は絶対的なレギュラーとしてガンバの中盤に君臨してほしいと思う。

今オフの痛みは結果を伴うものになるか

お互いに大勢主力を欠く中での試合なので、この試合で勝ったからと言って、
ガンバはフランクフルトより強いなんて言うつもりはないけど、
いくら親善試合とは言え負けると良い気はしないので、
試合に勝ったこと自体は良かったと思う。

ただ、いくら笑いの本場である大阪のクラブだからって、
シーズン中に一度も無かった逆転勝利を、
シーズンが終わった後の親善試合で飾るなんてそんなオチはいらないんだが。

まあ、何はともあれ、これで2022年シーズンのガンバは見納め。

来季はユニフォームもヒュンメル?に変わるみたいだし、
選手の顔ぶれも大きく変わりそうな気がしている。

楽しみというより不安の方が大きいというのが正直なところだけど、
明日から始まるカタールワールドカップを楽しみつつ、
まだ見ぬ2023年シーズンに思いを馳せて、
例年より長いオフシーズンを楽しみたいなと思います。

ガンバ大阪21アイントラハト・フランクフルト
’38 トゥータ
’81 山見大登
’87 山本悠樹