【明治安田生命J1リーグ13節 浦和レッズvsガンバ大阪】埼スタブースト逆噴射で最下位転落

ズッ友も今や昔

ガンバ大阪を愛する者にとって先の大型連休は、
ゴールデンという名前とは程遠い地獄のような大型連休になってしまった。

そんなガンバの今節の対戦相手は、
大型連休の最後にホームでアル・ヒラルを降して3度目のアジア王者に輝き、
文字通りのゴールデンウィークを過ごした浦和レッズ。

かつてはアジア王者という同じ場所を目指して鎬を削った間柄だったけど、
もはやズッ友や腐れ縁なんて気軽に言えないほど遠くへ行ってしまったような気がする。

ただ、その浦和は、ミッドウィークに行われたリーグ戦で鳥栖に不覚を取るなど、
ACLを制したことで少し気持ちが緩んでいるように見受けられるので、
毎年埼玉スタジアムで発動される謎のブーストがこの試合でも発動されることを願って、
ガンバの勝利に期待したいものだ。

先制しても有利にならない

かつて両者が数々の激闘を演じた埼玉スタジアムのピッチに送り出された、
青黒の11人は以下の通り。

ネタ・ラヴィが家庭の都合でイスラエルに一時帰国しているため、
この試合にアンカーで起用されたのは山本理仁。

また、安易な失点が続いていても我慢してGKに谷を起用し続けていたポヤトスだけど、
ここに来てようやく東口をスタメンで起用してきた。

ポゼッションサッカーを志向している今季のガンバだけど、
この試合も前節の名古屋戦と同様、後ろからパスを繋ぐ場面は少なく、
ジェバリ目掛けてシンプルにロングボールを蹴る戦い方をしてきた。

そんな単純な攻撃では、
ショルツとホイブラーテンの強力CBコンビを攻略出来ないだろうと思っていたのだけど、
前半9分にアラーノが西川との1対1のチャンスを迎えるなど、
意外にも決定機を作り出すガンバ。

すると、半田のロングボールをジェバリがアラーノに落とすと、
アラーノのリターンを受けたジェバリが左サイドからカットインして右足を振り抜き、
ファーサイドのゴールネットを揺らしてみせた。

あのショルツをピッチにうつ伏せにしたセンス溢れるシュートフェイントは、
さすが昨年のワールドカップにも出場したチュニジア代表のエースだなと思ったけど、
リアル・ジェバリの姿はまだまだこんなもんじゃないと思うので、
これからゴールを量産して欲しいね。

その後、浦和にボールを持たれる時間が続いたけど、
決定機らしい決定機は宇佐美のハンドで与えた直接FKぐらいで、
危険を感じるような場面は少なかった。

欲を言えば追加点が欲しかったけど、
なんとかリードして前半を終えることが出来そうだなと思っていたら、
前半終了間際に左サイドのポケットを取った興梠がクロスを上げると、
このクロスがスライディングでブロックに入った福岡の手に当たってしまい、PKを献上。

谷と比べてセービング技術は高い東口だけどPKは苦手なので、
ショルツのPKをストップすることは出来ず、スコアを振り出しに戻されてしまった。

そもそも福岡のハンドは、意図して手を挙げたのではなく、
スライディングをしたら必然的に手の位置はそこになるという所にボールが当たったものなので、
クリアが稲垣に当たってゴールになった前節の名古屋戦に続き、
アンラッキーと言わざるを得ない。

とは言え福岡は、今のガンバで数少ないピッチの上で気持ちを見せて戦い、
試合後に不満を見せるサポーターからも逃げることなく正面から向き合おうとする選手なので、
この背番号2の熱い想いがいつか報われてほしいと願うばかりだ。

何度も繰り返される過ち

ハーフタイムに降り出した雨に迎えられて始まった後半。

浦和の選手たちが全員ポジションに散ってからガンバの選手がようやく1人姿を現したので、
ハーフタイムで入念に指示があったのかなと思って期待していたのだけど、
そんな期待とは裏腹に躍動したのはホームチーム。

CKのこぼれ球を拾った関根が中央のショルツへボールを流すと、
ショルツがゴール前に送り込んだロビングのパスが大久保へ通り、
これを流し込まれてしまった。

黒川に厳しく体を寄せられながらも、
体勢を崩さずにゴールに流し込んだ大久保のプレーは見事だったけど、
そもそも関根に対する宇佐美の寄せは甘いし、ショルツに対する福岡の寄せも甘いし、
ショルツのパスに対してジェバリはヒョイっと足を上げるだけだしで、
最後の黒川ぐらいしか本気で失点を防ぎにいっていない。

今季これまでこの手の軽率な守備で何度も痛い目に遭っているはずなのに、
何も学習していないのだろうか。

ただ、後半もあと35分以上あるので、
まずは試合を振り出しに戻してほしいと思っていたのだけど、
そんな時に我々ガンバサポーターが目にしたのは3月のホーム広島戦のデジャヴ。

DFラインでのビルドアップの中で、
あろうことか東口は伊藤に密着マークされている山本理仁にパスを送ってしまうと、
山本理仁からボールを奪った伊藤にシュートを打たれてしまう。

このシュートはなんとか東口がセーブするも、こぼれ球を安居に決められてしまい、
あっという間にビハインドは2点になってしまった。

もともと東口ってそこまで足元は上手い選手ではなかったけど、
昨季まではこんなミスを繰り返すような選手ではなかったはず。

GKを固定出来ていない弊害なのか、
必要以上にビルドアップを意識しすぎているのか、原因は色々あるのだろうけど、
これまで何度もガンバの窮地を救ってきた背番号1の情けない姿は見たくないので、
奮起に期待したいところだ。

2点ビハインドになったことで、ポヤトスは宇佐美、山本理仁、食野に代えて、
鈴木武蔵、倉田、杉山を投入し、布陣を4-4-2へ変更してきた。

今季のここまでの戦いぶりを見る限り、
この3枚替えで状況が好転することは望み薄かなと思っていたのだけど、
2点リードしても浦和がセーフティな戦い方にシフトせず、
オープンな打ち合いにお付き合いしてくれたので、
ガンバに得点のチャンスは十分にあったと思う。

ところが、今のガンバは1点以上取ってはいけないという縛りプレイでもやっているのか、
半田のシュートもクォン・ギョンウォンのヘディングも西川の正面を突いてしまい、
得点を挙げることが出来ない。

後半アディショナルタイムに、
ホセ・カンテのゴールがオフサイドで取り消される幸運もあったけど、
そんなものは今のガンバにとって何の慰めにもならず、敢え無く4連敗で最下位転落。

1点取るのが限界なのに毎試合3点も4点も取られてたら、勝てる試合なんて無いよね。

このままではJ2大阪が現実のものになる

試合後に埼玉スタジアムを包んだ浦和サポーターの「J2大阪」コール。

ただ、それに対し怒りや悔しさという感情は全く湧かず、
むしろもっとやってくれと思ったぐらいだ。
(自虐的に手拍子しているガンバサポーターも多かったしね)

この2ヶ月、ガンバサポーターはあの手この手でチームを鼓舞してきたけど、
選手に何も届いていないように感じる場面が多かったので、
今回の浦和サポーターの「J2大阪」コールは不甲斐ない戦いを続けるガンバに対しての、
外部からの圧力だと受け取っておく。

この浦和サポーターの外部からの圧力に何も感じない選手がいれば、
もうその選手は青黒のユニフォームを着てピッチに立つ資格は無いだろう。

自分には青黒のユニフォームを着てピッチに立つ資格があると言うなら、
来週のパナソニックスタジアム吹田で相対する、マリノス相手にプレーで見せてほしい。

浦和レッズ31ガンバ大阪
’23 イッサム・ジェバリ
’45+2 アレクサンダー・ショルツ
’54 大久保智明
’59 安居海渡