【北米ワールドカップ アジア二次予選 日本vsシリア】大団円に終わったSAMURAI BLUEのHIROSHIMA NIGHT

この日だけは紫ではなく青の広島

ヤンゴンで行われたミャンマーとの一戦で完勝した日本は、
アジア2次予選の最終戦となるシリア戦をホームで迎えた。

消化試合だけど、20年ぶりに広島で開催されるA代表の試合ということもあって、
この日エディオンピースウイング広島に詰めかけた観客には、
初めて日本代表の試合を見るという人も多いと思うので、
「やっぱり代表選手はすごいな」と思ってもらうようなプレーを見せて欲しい。

また、スタジアム名にピースを冠するスタジアムで、
紛争が絶えないシリアと対戦するというのも、
平和という言葉が持つ意味を再認識する良い機会になるだろう。

攻撃的3バックの狙いは的中

現役時代、監督時代と長年過ごした広島の地で行われる代表戦に、
森保監督が送り出した日本代表のスタメン11人は以下の通り。

久保、上田、遠藤といった、
ミャンマー戦で出場機会が無かった選手たちがスタメンに名を連ねる中、
なんと堂安を右WBで起用してきた。

一昨年のカタールワールドカップのコスタリカ戦でも露呈したように、
このチームは引いた相手を崩すのに苦労することが多いので、
その解決策として3-4-2-1の両WBに本来は1列前の選手を起用していると見ていいかな。

シリアには昨年中立地で5-0で勝利を収めているけど、
アジアカップにも出場するチームなのでミャンマーに比べたら地力はあるし、
バレンシアやインテルでも指揮をとったクーペルが率いているということもあって、
一筋縄ではいかないと思っていたけど、そんなシリアを相手に前半から圧倒する日本。

すると、左サイドでボールを受けた中村敬斗が、
カットインすると見せかけて縦に突破して左足でクロスを上げると、
上田が頭で合わせて前半13分で日本が先制に成功。

さらに、ドリブルで中央を駆け上がった久保からのパスを受けた堂安が、
右サイドからドリブルでカットインしてファーポストを狙うモーションでニアポストを射抜き、
前半19分でリードは2点に。

最後に、久保から南野へのスルーパスがシリアのディフェンスに当たり、
オウンゴールを誘発するなど、9分間で3得点を叩き出し、一気に試合を決めてみせた。

先のミャンマー戦で小川が2ゴールを挙げたので、
これは上田もうかうかしてられないなと思っていたのだけど、
この日の上田は、1点目のヘディングシュートをフカさなかった体幹の強さだけでなく、
見事なトラップやターンからシュートを放つ場面が何度もあり、
さすが日本の9番というのを証明してみせたね。

この日の上田のプレーを見て小川もまた触発されるだろうし、
日本代表のCF争いが激化することを期待したいね。

実利と粋を使い分けた森保采配

3点リードしてハーフタイムを迎えた日本は、
後半頭から中村敬斗に代えて伊藤洋輝を投入し布陣を4-2-3-1へ変更。

慣れ親しんだ布陣への回帰を選択したわけだけど、
サイドの久保と堂安は2人とも中に入ってくるし南野は中央から動かないしで、
中央のスペースを潰しあって攻撃が機能しなくなってしまった。

まあ、地力に差があるので、それによって試合の流れが変わることは無かったけど、
色々あって代表に呼ばれなくなってしまったIJさんがいれば、
サイドに張ってくれるのでスペースを消し合うことはないのにな〜
なんて思いながら見ていた。

すると、森保監督が僕と同じことを考えていたのかは定かではないけど、
後半17分に久保に代えて大外のレーンでプレー出来る相馬を投入。

この選手交代の効果は覿面で、相馬と一緒に投入された鎌田のスルーパスに抜け出した相馬が、
ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。

このPKをファウルを貰った相馬が自分で決めてリードは4点に。

前半と比べてちょっと盛り上がりに欠けていた後半にようやく歓喜の瞬間がもたらされると、
その興奮も冷めやらぬ間に、田中碧に代えて地元広島出身の川村を投入し、
サンフレッチェユースの同期である大迫と同時にピッチに立たせるという、
森保監督の粋な選手起用に沸くスタジアム。

まあ、大迫はこの後すぐに谷と交代になったので、
一緒にピッチに立っていたのは3分ぐらいだったけどね。

それでも、広島で行われる代表戦ということもあってか、
試合終盤にはサンフレッチェを代表するチャントである、
HIROSHIMA NIGHTの日本代表バージョンも披露されるなど宴は続く。

そんな宴は、伊藤洋輝のボール奪取から南野がゴールネットを揺らしたところでお開き。

冒頭に、「やっぱり代表選手はすごいな」というプレーを見せて欲しいと書いたけど、
この日の日本代表の選手たちのプレーは、
十分その期待に応えることが出来た素晴らしいものだったし、
TV画面越しにもスタジアムの雰囲気が良いのが伝わってきていたので、
20年ぶりの広島開催の代表戦は大成功だったと言っていいんじゃないだろうか。

それぞれの立場で次に向けた準備を

これで日本代表は、アジア2次予選で全勝&無失点でアジア最終予選進出が決定。

まあ、今回からアジアの出場枠が増えるので、
よほど下手をこかない限り本大会出場を逃すことはないだろうから、
9月から始まる最終予選では、本大会を見据えた戦いを意識して欲しい。

とは言え、まだどこの国と対戦するかも決まっていない状況で、
あれこれ考えていても仕方ないので、
ひとまず海外組は次のシーズンに向けて英気を養ってもらって、
国内組は次のリーグ戦に向けて頭を切り替えて欲しいね。

日本50シリア
’13 上田綺世
’19 堂安律
’22 オウンゴール
’73 相馬勇紀
’85 南野拓実