【カタールワールドカップ ラウンド16 日本vsクロアチア】ベスト8の壁はかくも高き

2023年1月1日

さあ次の扉をノックしよう

先日、スペインを相手に歴史的勝利を挙げ、
アジア勢として初となる2大会連続の決勝トーナメント進出を果たした我らが日本代表。

ドイツ戦での勝利も含めれば、
今大会の日本は既に世界中に大きな衝撃を与えていると言ってもいいけど、
日本が目標としているのは話題のチームになるというものではなく、
あくまでベスト8進出であって、スペイン戦の勝利でその目標が果たされたわけではない。

そんな日本がまだ見ぬステージに立つために戦う相手は、前回大会準優勝のクロアチア。

クロアチアとはこれまでワールドカップで2度対戦して、1分1敗と一度も勝てていないけど、
今の日本であれば黄金の中盤を擁するクロアチアとも十分に戦えるはずだ。

膨らんだ希望

戦いの舞台をアル・ジャヌブ・スタジアムに移した日本代表のスタメンは以下の11人。

累積警告で出場停止の板倉に代わり冨安、
体調不良で欠場の久保の代わりに堂安がスタメンに入った以外は、
先日のスペイン戦と同じ顔ぶれ。

トップ下の鎌田にアンカーのブロゾビッチをマークさせるため、
4-2-3-1も面白いかなと思っていたのだけど、
今大会で結果を残している3-4-2-1の布陣を採用してきたね。

試合は予想通り序盤からクロアチアがボールを握る展開になったけど、
ドイツ戦やスペイン戦のように一方的に押し込まれているような感覚は無かった。

それどころか、前半の早い時間帯にセットプレーから谷口が惜しいヘディングを放てば、
伊東のグラウンダーのクロスに前田が飛び込んであわや1点というような場面を作り出すなど、
今大会4試合目にして一番内容の良い前半だったように思う。

冨安のパスミスからペリシッチと権田が1対1の状況になるなど、
ヒヤリとした場面はあったものの、概ね好感触な前半だったので、
前半のうちに1点を取りたいなと思っていたのだけど、その時は前半43分にやってくる。

伊東からショートコーナーのリターンを受けた堂安がクロスを上げると、
ファーサイドへ走り込んだ吉田の折り返しを中央で前田が合わせ、
今大会初めて日本が先制に成功。

森保監督就任以降、セットプレーでのゴールの少なさが指摘されていたけど、
ここに来てデザインされたセットプレーをいくつも繰り出すなんて、
やっぱりワールドカップの本大会に備えて隠していたんだな。

そのセットプレーで点を取ったのが、
グループステージから前線のプレスを怠らなかった前田だったのは、
大会を通じた彼の献身性に対するご褒美みたいなものだったのかもしれない。

後半の森保マジックは発動せず

前半を1点リードで折り返した日本は、
後半に追加点を挙げてクロアチアを突き放したいところだったけど、
意に反してスコアを振り出しに戻されてしまう。

後半10分、右サイドからロヴレンがアーリークロスを上げると、
ペナルティエリア中央でペリシッチが放ったヘディングシュートはゴール右隅へ。

ロヴレンへの寄せが甘くなった鎌田のプレーはいただけないけど、
ゴールから割と離れた位置でだったにも関わらず、
足でシュートしたかのような強烈な弾道でゴールネットを揺らした、
ペリシッチのヘディングのパワーには脱帽するしかない。

一体、どんな背筋と腹筋をしているんだろうか。

その後、モドリッチの強烈なシュートが日本のゴールを脅かすも、
これを権田がスーパーセーブで凌ぐなど、勝ち越しゴールは許さない。

対する日本も、三笘を投入して勝ち越しゴールを奪いに行くも、
さすがにグループステージであれだけ活躍したこともあって、
なかなかドリブルで前を向かせてもらえず。

さらに、攻勢を強めるべく途中出場した浅野と南野が、
クロアチアが誇るロヴレンとグヴァルディオルの両CBの前に、
全くボールをキープ出来ず、日本は攻撃に出られなくなってしまった。

そうは言っても、延長前半の終了間際に長い距離をドリブルして強烈なシュートを放つなど、
この試合のピッチにいた22人で一番ゴールの匂いがしたのはなんだかんだ三笘だったので、
個人的には、南野を投入するのではなく三笘を1列前に上げて欲しかったけどね。

結局、試合を決めるゴールはどちらにも生まれず、
勝敗の行方はPK戦に持ち込まれることになった。

その時はいつかきっと来る

PK戦はくじ引きのようなものなので、
権田が1本ぐらい止めてくれればいいなと思っていたのだけど、
クロアチアの3人目のキッカーのリヴァヤが外したところで、
日本の選手が3人も止められていたらいくらなんでも勝てない。

12年前、南アフリカでパラグアイにPK戦で負けた時は、運が悪かったと思えたけど、
今回は実力でPK戦に負けたような感覚がすごくあるね。

インサイドでゴールの隅に置きに行くような緩いシュートではなく、
せめて思い切りシュートして外してくれた方が見ている側も諦めつくんだが。

まあ、そうは言っても、大会前はグループステージ3戦全敗も覚悟していた中で、
ドイツとスペインという強敵を破ってグループ首位で決勝トーナメントに進出するなど、
予想外の快進撃で我々に夢を見させてくれたのも確か。

またしてもベスト8進出の夢は叶わなかったけど、
日本代表は着実に歩みを進めているので、いつか必ず壁を乗り越えてくれるはず。

カタールの地で激闘を繰り広げた日本の選手たちにはお疲れ様と言いたいね。

そして、今回のワールドカップの盛り上がりを一過性のものにするのではなく、
来季のJリーグにも繋げていきたいね。

日本11クロアチア
PK()
’43 前田大然
’55 イヴァン・ペリシッチ