【全国高校サッカー選手権大会 2回戦 昌平vs近江】年の瀬の大宮公園から向かうのは成人の日の国立

埼玉県の代表は赤でも橙でもなく緑だ

カードによってはスタンドに閑古鳥が鳴くことも多い高校サッカー選手権だけど、
2回戦が行われたNACK5スタジアム大宮は、立ち見客が出るほどの盛況ぶり。

そのお目当ては、埼玉県代表の昌平高校。

県北の新興勢力ということもあってか、
数年前は古豪の浦和南や武南などと比べると人気に劣るところがあったけど、
近年は埼玉県代表として堂々とした戦いぶりを続けていることもあってか、
目の肥えた埼玉のサッカーファンにもだいぶ受け入れられているようだ。

そんな昌平の今大会初戦の相手は、滋賀県代表の近江高校。

関西プリンスリーグに所属しているので侮れない相手ではあるけど、
全国制覇を目指すのであれば確実に叩きたい相手だろう。

プロになる選手はやはり光るものがある

序盤から試合の主導権を握ったのは、ホームの観客の後押しを受ける昌平。

FC東京への入団が内定している10番荒井が左足で強烈なシュートを放つなど、
近江のゴールに襲い掛かる。

それにしてもこの荒井という選手、右サイドに開いてボールを受け、
カットインして左足シュートという自分の得意な形を持っていることもさることながら、
何よりスタンドからでも目を引く筋骨隆々の太腿を見ると、
アスリート能力の高さを期待せずにいられないね。

ところがしばらくすると、素早い前線からのプレスと、
10番川島を中心に近江がカウンターでチャンスを作り始め、
ボールを支配しているのは昌平だけど、決定的なチャンスは近江に多いという展開になっていく。

しかしながら、近江のチャンスになりそうな場面では、
ことごとく昌平のCB4番津久井が立ちはだかり失点を許さない。

「この津久井という選手良いな」と思っていたら、
それもそのはずで、この選手も鹿島への入団が内定しているとのこと。

J1でCBとしてやっていくには少々高さが足りないかなという気はしなくもないけど、
あのカバーリングとビルドアップにはセンスの良さを感じたので、
鹿島にはこの選手を上手く育ててほしいね。

試合の流れを読みきった昌平イレブン

前半をスコアレスで折り返し、後半も膠着した試合が続いていたけど、
そんな試合を最初に動かしたのは昌平。

CKのこぼれ球を、篠田がペナルティエリアの外から左足で強烈なミドルシュートを突き刺し、
後半15分に昌平が先制。

これで昌平は自分たちのペースで試合を進められるかなと思っていたら、
途中出場の13番瀧谷が左サイドを崩すと、7番山門のシュートのこぼれ球を8番鵜戸が押し込み、
わずか6分後に試合を振り出しに戻してみせた。

その後も一進一退の攻防が続き、次のゴールはどちらの高校に生まれるのかという展開の中、
この試合で再三攻撃の起点となっていた川島が脚を痛めてしまい、
近江は一時的に10人での戦いを強いられてしまう。

すると、数的優位に立ったタイミングでギアを上げた昌平が近江のゴールに襲い掛かると、
途中出場の17番伊藤がペナルティエリア外から右足を一閃し、
勝ち越しゴールをもたらしてみせた。

脚を痛めたのが川島でなければ、
近江の前田監督はすぐに選手交代をして数的同数に戻したのだろうけど、
替えの効かない選手である川島の回復を待ったことが裏目に出てしまったね。

その後、後半アディショナルタイムにもカウンターから篠田が得点を挙げ、
終わってみれば3-1で昌平の勝利。

どちらが勝ってもおかしくない試合だったと思うけど、
試合の潮目が変わるタイミングできっちり勝ち越し点を奪った昌平の試合巧者ぶりが、
勝利を引き寄せたように思うね。

それでは皆さま、良いお年をお迎え下さい

2回戦が終わり、これで高校サッカー選手権もベスト16が出揃った。

尚志が国見にPK戦で負けたこと以外は、
どこのブロックも力のある高校が順当に勝ち上がった印象を受けるね。

3回戦は年をまたいで1月2日。

一昨年までは2回戦と3回戦って2日連続での試合だったので、
波乱が起きやすい傾向があったけど、さて今大会はどうなるだろうか。

なんにせよ、2023年も引き続き熱い試合が見られることに期待したいね。

昌平31近江
’55 篠田翼
’61 鵜戸瑛士
’74 伊藤風河
’80+4 篠田翼