【全国高校サッカー選手権大会 1回戦 北海vs国見】やはり選手権のピッチには青と黄色がよく映える

帰ってきた伝統校

かつて一時代を築いた長崎の国見高校が、12年ぶりに選手権のピッチに戻ってきた。

今年の1月に亡くなられた小嶺忠敏監督が率いていた頃の国見と言えば、
極限までフィジカルを鍛え上げた坊主頭の選手たちが、
ロングボールを用いたキックアンドラッシュでゴール前に雪崩れ込んでくる、
パスサッカーとは対極にいるチームだった。

時は流れ、かつて小嶺監督の教え子だった木藤監督に率いられた青と黄色のユニフォームは、
思い思いの髪型をした選手たちが、中盤でボールを大事にするサッカーを志向する、
全く違うチームに生まれ変わった。

かつての国見を知る世代としては、
高校サッカー界でその名を轟かせていた頃の姿を重ねて見てしまうところがあるけど、
国見の過去の栄光を知らない選手たちに僕らが思う国見の姿を重ねてしまうのは、
大人たちの悪しきエゴなのかもしれない。

新生・国見を印象付ける先制点

黄色のストライプが細くなってスタイリッシュな印象になった新生・国見の対戦相手は、
北海道代表の北海高校。

両校共にオーソドックスな4-4-2を志向するミラーゲームなので、
1対1の局面で上回れるかどうかが勝敗を決めるポイント。

北海は、右サイドハーフに入った10番桜庭がドリブル突破からチャンスメイクするものの、
9番田中、11番野村の2年生2トップが、
国見の4番平田と5番上田の両CBの前に仕事をさせてもらえず、シュートまで持ち込めない。

特に、田中はハードなディフェンスに苛立ってプレーが荒くなり、
前半のうちにイエローカードをもらってしまった。

対する国見は、左SBの2番和田のシュートがポストを叩く場面はあったものの、
中盤でのロストが多く、試合の主導権を握るというところまではいけていなかった。

前半はこのままスコアレスで折り返しかなと思っていたら、
7番川添のパスを受けた16番幸がドリブルで右サイドの深くまで進入すると、
マイナスのパスを9番利根が押し込んで前半37分に国見が先制。

国見が生まれ変わったことを印象付けるような、
良い意味で国見らしくないきれいな崩しだったね。

途中出場のPK職人を上回ったのは80分間ピッチに立った背番号1

前半を1点リードで折り返した国見だったけど、
後半に入ると野村が立て続けに決定機を迎えるなど、徐々に北海に得点の兆しが見え始める。

すると、選手交代でポジションをトップの位置に変えた桜庭が、
6番千葉の自陣からのロングボール一本で国見ディフェンスの裏へ抜け出すと、
左サイドからカットインしてファーサイドへシュートを突き刺し、
後半26分に試合を振り出しに戻すことに成功。

その後も両校とも攻め続けたものの、試合を決めるゴールは生まれず、
試合の行方はPK戦に持ち込まれることに。

北海は、後半終了間際に投入したPK戦用のGK17番葉原が、
国見の1人目のキッカー・10番北村のシュートをセーブすると、
2人目と3人目のシュートもセーブこそ出来なかったもののコースを読み切るなど、
北海に流れが来ているように思われた。

ところが、国見のGK1番今村が、
北海の3人目のキッカーのシュートをセーブすると流れが変わり、
その後は葉原の読みが当たらなくなってしまった。

サドンデスまでもつれ込んだPK戦は、
北海の7人目のキッカーの金田のシュートを今村がセーブし、勝負あり。

国見が久しぶりに選手権に出場するということで三ツ沢まで足を運んだけど、
三ツ沢球技場までの長い上り坂を登った甲斐があったと思わせてくれる、
手に汗を握る好ゲームだったね。

策を用いるのか真っ向勝負か

2回戦に進出した国見の対戦相手は、この日の第一試合で徳島市立を退けた福島県代表の尚志。

第一試合を見た感じだと、鹿島にいる染野を擁していた頃の尚志と比べると、
今の尚志には付け入る隙はあるように思ったけど、
それでもかつてプレミアEASTに所属していたこともある実力校だけあって、
今大会も完成度の高いチームに仕上げてきているので、国見は苦戦を強いられるだろう。

小嶺監督だったら味方も驚くような奇策で勝利を手繰り寄せたりするんだろうけど、
冒頭でも書いたようにそれは言わないことにしておこうか。

北海11国
PK()