【明治安田生命J1リーグ1節 柏レイソルvsガンバ大阪】過度な期待は禁物と言うけれど・・・

謎に包まれていたガンバ大阪2023verの初お披露目

日本代表がドイツとスペインを破ったカタールワールドカップの熱狂から2ヶ月半、
日本にJリーグのある日常が戻ってきた。

カタールワールドカップがあったため例年より1ヶ月長いオフを過ごしたことで、
例年以上にこの日を待ち遠しく思っていたガンバ大阪サポーターは僕だけじゃないだろう。

思えば、昨年のシーズン終了後に、我々の耳に飛び込んできたのは、
パトリックと小野瀬の退団というショッキングなニュースだった。

これからガンバはどうなっていくのだろう・・・と、いう不安を持って突入したオフシーズンも、
谷のレンタルバック、ジェバリ、ネタ・ラヴィという強力な外国人選手の補強、
半田、江川、杉山といった、昨季J2で出色のパフォーマンスを見せていた有望株も獲得し、
キャンプインする頃には開幕が待ち遠しい顔ぶれが青黒の旗の元に集うことになった。

そんなガンバの2023年の開幕戦の相手は柏レイソル。

キャンプ期間中にガンバが行なったトレーニングマッチは全て非公開と、
仕上がり具合を対外的に公開してこなかったチームが、日立台でついにヴェールを脱ぐ。

そこにいたのは昨季から様変わりしたチーム

2023年シーズンの開幕戦に、新指揮官のダニエル・ポヤトスが送り出した11人は以下の通り。

フォーメーションは、昨季ポヤトスが率いていた徳島でも採用していた4-3-3。

GKは東口ではなく谷、CFにはジェバリではなく鈴木武蔵、
そして何と言っても今季から遠藤保仁の背番号7を引き継いだ宇佐美貴史の、
左インサイドハーフ起用に注目が集まるところ。

試合が始まってすぐに目についたのは、タッチライン際一杯に広がった食野と杉山の両翼。

柏の守備を横に間延びさせて、あいだのスペースで山本やダワンにボールを受けさせたり、
半田と黒川の両SBにインナーラップをさせたいという意図に見えた。

ただ、昨季から一緒にプレーしている食野と黒川の左サイドに比べると、
右サイドの杉山と半田のコンビネーションはまだイマイチで、
連携ミスからマテウス・サヴィオにドリブルで運ばれ、
半田が倒してイエローカードを貰うなんて場面もあった。

左サイドも、タッチライン際に開いた食野の内側を、黒川が上がる場面もあったけど、
左足しか使えない黒川が中央でのプレーを得意としているようには見えなかったので、
あまり効果のある攻撃にはなってなかったと思う。

とは言え、昨季はひたすら守ってカウンターという戦い方しか出来なかったチームが、
2月の段階でこれだけポゼッション出来るチームになっているのは、
今後の戦いに期待が持てるものだった。

まあ、そうは言っても、ハーフタイムで修正は必要だよななんて思っていたら、
右サイドの深い位置から細谷があげたクロスを山本がクリアし切れず、
こぼれ球を片山に決められ、1点ビハインドで試合を折り返すことに。

余裕もあったんだし、山本にはもうちょっと落ち着いてクリアして欲しかったところだけどね。

あとは試合を終えるだけ・・・のはずが

ハーフタイムで選手交代があるかなと思っていたのだけど、
後半のピッチに立ったのは前半と同じ11人。

ただ、前半はCFの鈴木武蔵の近くいることが多かった宇佐美が、
アンカーのダワンの位置まで下がってボールを受けるようになったり、
左サイドの食野がタッチライン際に張るのをやめて、
黒川にオーソドックスなSBの動きをさせるようになっていたり、
ハーフタイムで修正が加えられたのは明らかだった。

すると、ダワンのパスを受けた宇佐美がドリブル突破でマーカーを3枚剥がして、
シュートを放つと、佐々木のセーブに遭いながらもボールはゴールマウスに転がり込み、
後半4分で試合を振り出しに戻す。

まるで10代の頃を見ているような宇佐美の強引なプレーに、
今季、背番号7とチームキャプテンという2つの重責を背負った宇佐美の、
俺がガンバを勝たせるという覚悟が見えたようなプレーだったね。

後半の早い時間帯に同点に追いついたガンバの勢いはこれでとどまらず、
食野のパスを受けた黒川が左サイドをえぐって送ったクロスは立田のクリアに遭うも、
こぼれ球を拾った鈴木武蔵のパスを受けたダワンがミドルシュートを放つと、
これが決まって後半9分でガンバが逆転に成功した。

まあ、言っちゃ悪いけどこれは佐々木の凡ミスだな。

1点目の宇佐美のシュートも良いGKだったら止めていただろうし、
余計なお世話なのは百も承知だけど、韓国代表の正GKのキム・スンギュを放出してまで
正GKに据えるほどの選手なんだろうかと思ってしまったんだけども。

まあ、経緯はどうであれ、逆転に成功したガンバは、その後も優位に試合を進めたけど、
途中出場の山見や倉田に追加点のチャンスが訪れるもこれを決め切れず、
終盤に入ると追加点を奪おうというよりも時間を使って逃げ切ろうという戦い方にシフトし始める。

そんなガンバと対照的に攻勢を強めてくる柏に対し、
ポヤトスは杉山に代えて江川を投入し5バックに布陣変更するという選択をしたのだけど、
結果的にこれが悪手。

前線の枚数を削ったことで、前線でボールをキープ出来ずに防戦一方になると、
ボールを奪いに前に出た江川とクォン・ギョンウォンが立て続けに入れ替わられてしまい、
クォン・ギョンウォンがペナルティエリア内で細谷を倒してPKを献上。

このPKを細谷に決められてしまい、最後の最後で勝ち点2を落としてしまった。

試合終盤の切羽詰まった状況のPKで、チップキックでど真ん中のコースに蹴るなんて、
敵ながら大したメンタルしてるなと思ったね。

自信を確信に変えるために必要なのは結果

PKを献上した場面の守備はいただけなかったけど、追加点を奪えなかったり、
布陣変更で劣勢になったりと、リードを奪ってからの試合運びがうまくいかなかったなと思う。

ただ、先述の通り、昨季はひたすら守ってカウンターしか出来なかったチームが、
DFラインの縦パスを起点にゴールに迫るような攻撃が出来るようになっているし、
この試合ではボールタッチこそ少なかったものの、新外国人のネタ・ラヴィも、
イスラエルの至宝と謳われるだけの才能の片鱗は窺えたし、
今後の戦いに向けて明るい材料はあったと思う。

とは言え、早く結果がついてこないと、
自分達がやっていることに自信を持てなくなってくるので、
次節のホーム・鳥栖戦は勝ち点3を獲得することで、
自分たちがやっていることは間違っていないという確信を得て欲しいね。

柏レイソル22ガンバ大阪
’42 片山瑛一
’46 宇佐美貴史
’54 ダワン
’90+8 細谷真大