【明治安田生命J1リーグ7節 ガンバ大阪vs川崎フロンターレ】1年越しで取り戻した忘れ物

川崎戦での悪夢は川崎戦でしか晴らせない

2022年3月6日、ホームに川崎フロンターレを迎えたガンバ大阪は、
山本悠樹のゴールで前半を1点リードで折り返すなど、
前年のチャンピオン相手に堂々たる戦いを見せていた。

その姿に「片野坂監督率いる今季のガンバは一味違うぞ」と思ったものだけど、
後半に入ると大黒柱の宇佐美がアキレス腱を断裂して山見と交代。

さらに後半アディショナルタイムには、
GK石川のボーンヘッドでレアンドロ・ダミアンにゴールネットを揺らされてしまい、
試合終了間際に勝ち点2を落とすという後味の悪い結果になってしまった。

勝負の世界にたらればは禁物だというのは百も承知だけど、
この試合で起きた2つの悲劇が無かったら、
その後の片野坂ガンバの運命も変わっていたのではと思ってしまう。

そして、2023年のJ1リーグ第7節でガンバはホームに川崎を迎える。

今季まだリーグ戦で勝利を挙げることが出来ていないガンバにとって、
強敵であることは間違いないけど、
あの試合で獲り損ねた勝ち点3という忘れ物を取り戻すことで、
あの試合で植え付けられたネガティブなイメージを払拭出来るはずだ。

シュート無きポゼッションに怖さは無い

2022年シーズンのJ1リーグ準優勝チームと相対するにあたり、
ダニエル・ポヤトスが選んだスタメンは以下の通り。

先日のルヴァンカップのFC東京戦のスタメンから、
東口と山本悠樹が谷と石毛に変わっただけで、残りの9人は同じ顔ぶれ。

昨季は湘南でプレーしていた谷に先述の川崎戦での悲劇は無関係だけど、
自身のミスで試合を壊してしまった前節の湘南戦のリベンジを期しているだろうから、
こちらもこちらでどうネガティブなイメージを払拭するか注目だ。

まず試合の主導権を握ったのは川崎。

前からボールを奪いに行くガンバをいなしながら、
ワンタッチツータッチでテンポ良くパスを繋いでいく。

風間前監督時代から10年以上のポゼッションサッカーに取り組んできた川崎に対し、
今季から本格的にポゼッションサッカーを始めたガンバが、
そんなに簡単に太刀打ち出来るわけがないのは当たり前。

今日も苦しい試合になるだろうなと思っていたのだけど、
前線にくさびを受けられるレアンドロ・ダミアンがいないからか、
この日の川崎はミドルサードでのパス回しに終始していて、
アタッキングサードに全然進入して来ず、ボールを持たれていても怖さは殆ど無かった。
(オフサイドディレイで取り消された遠野のシュートの場面ぐらいだろうか)

対するガンバは、たまにジェバリが中盤に下りてくさびのパスを受けると、
そこからカウンターを仕掛けられそうな場面は作れるのだけど、
受け手と出し手の意図が合わずにパスがずれる場面が多く、決定機らしい決定機は、
チョン・ソンリョンのプレゼントパスを石毛がシュートミスした場面ぐらいで、
こちらも良い攻撃が出来ているとは言い難かった。

しかし、谷が起点となったビルドアップからネタ・ラヴィが左サイドに展開し、
黒川のクロスをファーサイドで杉山がヘディングで合わせるという、
今季のガンバが理想とする攻撃でCKを獲得する。

このCKを打点の高いヘディングでダワンが叩き込み、前半29分にガンバが先制に成功。

石毛のキックも良かったけど、ジェバリと三浦がニアに走ることで、
裏のダワンをフリーにした見事な一連のセットプレーだったと思う。

その後も川崎の反撃を許さず、1点リードでハーフタイムを迎え、
4年ぶりの川崎戦勝利に向けて視界良好な前半だったんじゃないだろうか。

この試合で達成したかったミッションは全てクリアした

お互いに選手交代無く迎えた後半も、
負けているはずなのに前半と変わらず中盤でパスを回しているだけの川崎。

ただ、後半もずっとこのままの状態とは考え難かったので、
早い時間帯で追加点が欲しいなと思っていたら、
自陣で三浦がチャナティップのパスをカットした流れから、
ガンバが川崎のお株を奪うような流麗なパス回しを披露。

10本以上繋がったパスは、左サイドからカットインしたファン・アラーノが、
先日、レスター戦で三笘が決めたゴールを彷彿とさせるような見事なミドルシュートで、
ファーサイドのゴールネットを揺らすという形で完結し、
後半5分という理想的な時間帯でガンバに追加点をもたらした。

個人的なアラーノ評は、ハードワークには定評はあるけども、
アタッキングサードでのクオリティに欠けるというものだったけど、
このアラーノのプレーはサッカー王国のファンタジスタのそれだったね。

後半の早い時間帯で2点リードを奪ったガンバだけど、
その直後に宮代に反転シュートを打たれるなど、ギアを上げてきた川崎の反撃に遭ってしまう。

川崎が本来の攻撃力を発揮すれば2点なんてすぐに返してくるので、
ここは耐え時だなと思っていたら、カウンターで抜け出そうとした石毛が車屋に倒され、
車屋はこの日2枚目のイエローカードで退場。

カウンターの場面だったとは言え、まだセンターサークル付近にいた石毛を、
無理して止める必要はあったのかと思うプレーだけど、
ガンバとしては、川崎が自ら反撃の狼煙を消してくれたのでラッキーだった。

その後は、お役御免となったジェバリ、杉山、石毛に代わり、
鈴木武蔵、福田、宇佐美を投入し、カウンターで追加点を狙うガンバ。

そのカウンターで訪れたチョン・ソンリョンとの1対1を鈴木武蔵が決められなかったり、
CKの混戦の中でアラーノがゴールネットを揺らすも、オフサイドで取り消されるなど、
結局、3点目のゴールを奪うことは出来なかったけど、
交代枠を全て使い切った状況で田邊が負傷し、
最終的に9人となった川崎に反撃する余力は残されておらず、そのまま試合終了。

2023年のJ1リーグも7試合目にしてようやく初勝利。

昨年の川崎戦の禊を済ませるのと同時に、
クリーンシート達成で前節の湘南戦での谷の汚名をそそぐことも出来た。

一歩目を踏み出すのに随分と時間がかかってしまったけど、
ここから上昇気流に乗っていきたいね。

青黒の23番は紫がお好き

次節はアウェイで京都戦。

FC東京戦、川崎戦と良い流れが出来ているので、この流れを切らさないよう、
3−1で勝利した3月のルヴァンカップの再現といきたいね。

パトリックに恩返しゴールを決められそうなのが気がかりだけど、
京都と好相性のダワンが次もやってくれるはず。

ガンバ大阪20川崎フロンターレ
’29 ダワン
’50 ファン・アラーノ