【明治安田J1リーグ13節 ガンバ大阪vs京都サンガ】唐突に覚醒した4億円の男がもたらした首位討ち

神頼みで首位を迎え撃つ

86分から3度もゴールネットを揺らされるという、
恥辱的な敗戦を喫した金曜日の夜の千駄ヶ谷から中3日、
ガンバ大阪はホームに目下リーグテーブルで首位に立つ京都サンガを迎えた。

ラファエル・エリアスをはじめとする強力な攻撃陣を擁する京都を、
今のガンバが止められるイメージが湧かないのだけど、
その京都は21世紀に入ってからまだ一度もガンバのホームで勝ったことがないのだとか。

まあ、今の京都は、過去の彼らとは比べものにならないほど強いチームなので、
対戦成績はあくまでも参考データでしかないのはわかっているけど、
これまでの京都戦でホームチームを勝利に導いてきた万博の神通力が、
この日も青黒に味方してくれることに期待したいところだ。

功を奏した先手必勝作戦

3試合ぶりの勝ち点3を目指して戦うガンバのスタメンは以下の11人。

この試合のスタメンを予想できた人は誰もいなかったんじゃないだろうか?

戦線離脱したネタ・ラヴィの代わりに前節トップ下で出場していた満田がボランチに下がり、
トップ下には宇佐美、左ウイングには食野、そしてCFにはヒュメットという布陣となった。

正直、このメンバーで首位の京都相手に戦えるのか半信半疑だったのだけど、
良い意味で予想は裏切られる。

ラヴィ不在でビルドアップが出来ないのであれば、
サッカー自体を変えてしまおうとばかりに、
京都の御株を奪うような鋭いカウンターを何度も仕掛けてGKの太田が守るゴールに迫るガンバ。

すると、カウンターで中央を走る山下が右サイドのヒュメットに展開すると、
ヒュメットが右サイドからあげた低いクロスを中央で宇佐美が右足で仕留め、
前半10分という早い時間帯に先制に成功。

先週の金曜日の国立で、途中出場にも関わらず誰よりも走れていなかった宇佐美だけど、
この試合ではコンディションが悪そうな様子は見られず、
むしろ動けているように見えたのだけど、一体、この3日間で何が起こったんだろうか?

先制してもなお攻撃の手を緩めないガンバ。

自陣ゴール前でエリアスからボールを奪ってカウンターを発動させると、
宇佐美との長い距離のパス交換を経てヒュメットが左サイドからカットインし、
股下を抜くフリをしてファーサイドに流し込む技ありのシュートで追加点をもたらす。

先月の加入以降、もっさりとした動きでピッチを浮遊するばかりで、
どんなプレーが得意なのかすらもわからず、ハズレ外国人臭がしていたヒュメットだけど、
この試合を見る限りではエリアスに勝るとも劣らない優良外国人で、
今まで我々が見せられていたものは何だったんだろうかと思ってしまったね。
(前半なのにユニフォームを脱いでイエローを貰っちゃうのはちょっといただけないね)

ドラスティックな戦術変更が功を奏して前半で2点リードを奪ったガンバだけど、
京都と同じ土俵で戦うことを選択している以上、京都にもチャンスは生まれやすくなるもの。

エリアスのロビングのパスを松田が受けて右サイドの須貝に展開されると、
須貝のクロスから米本にオシャレなヒールシュートを決められてしまい、
ヒュメットのゴールから7分後に1点返されてしまった。

その後は、1点返して勢いづく京都の攻撃陣の前に、
前半の序盤に見られていた積極的に前に出る守備が影を潜めてしまったけど、
守備陣が集中した守りを見せ、1点リードを守ったままハーフタイムへ。

ハーフタイムを挟んで動から静へ

ハーフタイムで松田と米本に代えて奥川とジョアン・ペドロを投入した曹貴裁に対し、
前半と同じ11人をピッチに送り出したポヤトス。

ただ、メンバーは前半と同じ11人でも戦い方は前半とは様変わりしていて、
京都にボールを持たせて自陣でブロックを敷いて待ち構えるガンバの選手たち。

必然的に京都のボール支配率が上がっていく試合展開になったけど、
前のスペースにボールを送り込んでストーミングを発生させる戦い方が得意な京都にとって、
後方からポゼッションする戦い方は彼らの本来の姿ではない。

現に、ボールを持たれている割には、
一森の手を煩わせるような場面はほとんど作られていなかったからね。

前半からインテンシティ高く試合に入ったことで疲れが見えてきたガンバに対し、
京都は福田心之助や平戸を投入して畳み掛けてくる。

ポヤトスは交代が遅い傾向があるので、
フレッシュな京都の選手に押し込まれやしないか心配していたのだけど、
後半21分に食野に代えて倉田、
後半29分には宇佐美とヒュメットに代えてファン・アラーノとジェバリを投入。

今季初スタメンの食野に関しては、どれだけやれるか懐疑的だったけど、
攻守においてハードワークしていて、得意のドリブルで局面を打開する場面もあったし、
今後はもっと出場機会があっても良いんじゃないかと思ったね。
(まあ、相変わらず中央に入っていくのは好きみたいだけど)

後半の35分を過ぎたあたりからは、
ジェバリがコーナーキープをしながらのらりくらりと時計の針を進めていくガンバ。

京都の最後のCKの場面で太田が前に上がってきた時は、
嫌な予感しかしなかったけど、これも凌いで試合をクロージングし、
3試合ぶりの勝ち点3を手にすることが出来た。

冒頭で「万博の神通力に期待」みたいなことを書いたけど、
この試合に関しては神の力とか関係無く、
事前のゲームプランがピタリとハマった勝利だったんじゃないだろうか。

リーグ戦の借りはリーグ戦でしか返せない

18位のチームに3-0で敗れた4日後に首位のチームに勝利するという、
謎ムーブを見せるガンバの次節の試合はホームでの湘南ベルマーレ戦。

湘南とは昨季パナスタで二度対戦していて、
天皇杯のベスト16で対戦した時は、乱打戦を制して3-2で勝利を収めているけど、
リーグ戦ではポゼッションで圧倒されて畑のゴールで敗れているので、
次回の対戦ではリーグ戦の借りを返す必要がある。

山口智監督は4日後の試合でも古巣のガンバを入念にスカウティングしてくるだろうけど、
京都に続いて湘南もゲームプランでハメて勝利を収めたいところだ。

ガンバ大阪21京都サンガ
’10 宇佐美貴史
’27 デニス・ヒュメット
’34 米本拓司