【AFCアジアカップ グループD2節 イラクvs日本】前半に狂った歯車は元に戻らず

ドーハの悲劇は昔話

アジアカップで13年ぶりの戴冠を期す我らが日本代表は、
初戦のベトナム戦で一時はリードを許しながらも、終わってみれば4得点を挙げて白星発進。

そんな日本がベトナム戦での2失点を教訓として臨むグループD2節の相手は、イラク。

日本サッカーの歴史に於いて、カタールの地でイラクと対戦と聞くと、
どうしてもドーハの悲劇を連想してしまうところはあるけど、
今の日本代表の選手のほとんどが生まれていない時代の話なので、
イラクを特別意識するなんてことはないだろう。

確実に勝って決勝トーナメント進出を決めて欲しいところだ。

こんなにチグハグな日本代表を久しぶりに見た

ドーハの悲劇を選手として経験している森保監督が、
エデュケーション・シティ・スタジアムのピッチに送り出した日本代表11人は以下の通り。

ベトナム戦のスタメンから中村敬斗と細谷が外れ、久保と浅野が入った。

ベトナム戦で2ゴールを挙げて調子の良い南野をスタメンで起用したかったのだろうけど、
これまで何度も試して痛い目に遭ってきた南野の左サイド起用を、
グループDで日本に次ぐ実力を持つイラク相手に解禁してくるなんて、悪い予感しかしなかった。

その悪い予感は見事に的中。

試合開始早々に、南野のパスミスを起点に無回転ミドルを放たれ、
鈴木彩艷がパンチングで凌ぐというあわやの場面を作られてしまう。

すると、右サイドにつり出された板倉があっさりとクロスを上げられてしまうと、
鈴木彩艷のパンチングはイラクのフセインへの絶好のパスになってしまい、
ヘディングシュートを決められて前半5分で先制を許してしまった。

さすがにキャッチするのは難しいクロスだったので、
パンチングの選択は正解だったとは思うけど、2試合続けて失点に絡んでしまっているし、
今大会はずっと国内外のメディアから日本のGKについて言及されそうな感じになってきたね。

まあでも、先制を許してしまったものの、
ベトナム戦の時のようにすぐに逆転してくれるだろうと思っていたのだけど、
案の定、左サイドで起用されている南野が真ん中に寄ってきて、
トップ下の久保のプレーエリアを食いつぶして共倒れ。

また、前線で孤立していた浅野にようやく巡ってきたチャンスも、
逆サイドで伊東純也がフリーになっているにも関わらず、
浅野がセルフィッシュなプレーを選択してゴールならず。

さらには、南野が中央にポジションを取ることにより、
伊藤洋輝頼みになってしまった左サイドの攻撃は、
伊藤が精度の低いクロスを連発してチャンスを潰し続けるという
にっちもさっちもいかない状態になってしまった。

まあ、なんとか1点ビハインドで前半を終えて、
ハーフタイムで建て直してくれって思っていたのだけど、
前半アディショナルタイムに菅原がドリブルで突破されてしまい、クロスを上げられると、
ファーサイドに飛び込んだフセインにこの日2点目のゴールを許し、
最悪な形で前半を終えることになってしまった。

遅すぎた反撃

攻守両面に於いて低調な前半を受けて森保監督は、谷口に代えて冨安を投入し、
前線の2列目の並びも、右から久保、南野、伊東に変えてきた。

ただ、本職のトップ下に移っても、
2点リードしたことで前に出てこなくなったイラク陣内にはスペースが無く、
良い形で前を向いてボールを貰えない南野。

また、本職右サイドの伊東純也を左サイドで起用するのは、ベトナム戦でも試していたけど、
パスをもらうタイミングが合わない場面が何度かあって伊東純也もやりにくそうに見えるので、
こんな変な起用をするぐらいなら、南野に代えて中村敬斗で良かったんじゃないだろうか。

どうにも用兵がハマらない日本だったけど、
守田のスルーパスに左サイドを抜け出した伊東純也が低いクロスを送ると、
ペナルティエリア内で浅野が倒されてPKを獲得。

これでなんとか1点差に出来るかなと思ったんだけど、
このファウルの判定はOFRの結果、ノーファウルの判定に。

まあ、イラクの選手の足はしっかりボールに行っていたし、
何なら、このプレーの直前に菅原がイラクの7番の選手を倒したプレーの方が、
よっぽどPKのように見えたので、妥当な判定だったと思う。

その後も日本は、上田綺世や堂安、旗手や前田大然と次々に攻撃のカードを切るも、
5-4のブロックで自陣のスペースを徹底的に消してきたイラクを、
付け焼き刃の連携で崩すのはいくらなんでも難しいミッション。

なんとか後半アディショナルタイムに旗手のCKから遠藤が決めて1点を返すも、
それ以上の反撃は出来ずに試合終了。

昨年の6月のエルサルバドル戦から続いていた日本の国際Aマッチでの連勝は、
10でストップすることになってしまったね。

次の試合は実験はいらないので結果重視で

イラク相手に敗戦を喫してしまった日本が、
決勝トーナメント進出を懸けてグループDの3節で対戦するのはインドネシア。

ベトナム戦、イラク戦と不安定な戦いが続いているので、
絶対に大丈夫だと言い切れないところが心苦しいところだけど、
普通に戦えば勝てる相手だと思う。

なので、インドネシア戦では南野を左サイドで起用するのはやめてね、森保監督?

イラク21日本
’5 アメイン・フセイン
’45+4 アメイン・フセイン
’90+3 遠藤航