【AFCアジアカップ グループD1節 日本vsベトナム】トルシエが思い出せてくれたアジアの難しさ

いざ、アジアの頂へ

ドイツとスペインを降し世界を驚かせたワールドカップから1年2ヶ月、
再び日本代表がカタールの地に戻ってきた。

ワールドカップ後も、ドイツとの再戦を筆頭に、トルコやペルーといった強豪も降し、
目下公式戦9連勝中で、且つ欧州の主要リーグでも活躍する選手が増えた現在の日本代表は、
歴代最強との呼び声も高い。

そんな日本がこのカタールの地で目指すのはただ一つ、13年ぶりのアジアの頂。

日本の初戦の対戦相手のベトナムの指揮官は、
かつて日韓ワールドカップで日本代表の指揮を執ったフィリップ・トルシエなので、
何かしら日本が嫌がることはやって来そうだけど、
こんなところで躓いているようでは、アジアカップ制覇なんて夢のまた夢。

元日に国立で行われたタイ戦のように力を見せつけて勝利して欲しいところだ。

やはり仕掛けてきたトルシエ

元日のタイとの親善試合の直後に発生した能登半島地震の犠牲者を悼み、
喪章を巻いてアル・トゥママ・スタジアムのピッチに立った日本代表のスタメンは以下の通り。

故障を抱えながら代表に合流した三笘はベンチからも外れたため、
この日の左サイドには中村敬斗。

また、この日のスタメンで唯一の国内組である細谷が1トップに入ったね。

試合は、思いのほかベトナムがDFラインを高めに設定し、
コンパクトな陣形を敷いて組織的なプレスをかけてきたので、
なかなか試合の主導権を握れずにいたのだけど、
伊東純也のCKがペナルティエリア外に流れたところを菅原がシュート。

このシュートの跳ね返りを南野が流し込み、前半11分に日本が先制に成功。

ペナルティエリアに多くの選手がいたので、シュートをぶつけてしまいそうな状況だったけど、
南野は上手く隙間を見つけて射抜いたね。

流れが来ない中でも先制したので、これで楽に試合を進めるかなと思っていたのだけど、
ここからまさかの展開に。

ベトナムにCKを与えると、クイックリスタート気味にゴール前に入れたボールに対し、
ニアにいたグエン・ティン・バクがファーポストへフリックすると、
このボールがループシュートのような軌道を描いてゴールマウスに吸い込まれ、
なんと南野の先制ゴールから5分後に同点に追いつかれてしまう。

まあ、正直事故のような失点だと思ったので、
気を取り直して勝ち越しゴールを狙いにいきたい日本だったけど、
その後もパフォーマンスが上がらず、
菅原がレッドカードを貰ってもおかしくないようなチャージを犯しFKを与えてしまう。

すると、このFKをファーサイドにいたブイ・ホアン・ベトアインに合わされてしまうと、
鈴木彩艷が弾いたボールをファム・トゥアン・ハイに押し込まれてしまい、
なんと逆転を許してしまった。

まあ、この日のピッチはスリッピーだったので、
ワンバウンドしたシュートが伸びて処理が難しかったのかもしれないけど、
鈴木彩艷は、昨年の10月のチュニジア戦でもクリアを空振りして大ピンチを招いているので、
将来性を買われて起用されているとは言え、
もうちょっと安定感が出てこないと安心して見れないよな・・・。

まさかの1点ビハインドを背負うことになった日本だけど、
さすがそこは経験値の高い選手が揃っているだけあって焦りの色は見られない。

守田から遠藤と繋ぎ、南野に縦パスが入ると、
南野は対峙したブイ・ホアン・ベトアインの股下を射抜き、前半45分に同点に。

さらに前半アディショナルタイムには、左サイドからカットインした中村敬斗が、
インフロントでカーブをかけたミドルシュートで見事にゴールネットを揺らし、逆転に成功。

一時はどうなることかと思ったけど、
リードして前半を折り返すことが出来たのは大きかったね。

結果で示した途中出場の海外組

1点リードして後半を迎えた日本は、後半頭から細谷に代えて上田を投入。

前線からの守備を献身的に頑張っていたものの、終始ボールに絡めず、
前半の終盤に訪れた決定的なチャンスもモノに出来ないなど、
この日の細谷のパフォーマンスは前半での交代もやむなし。

ただ、グループステージでのパフォーマンスが悪く、出場機会が少なかったけど、
決勝戦の延長から途中出場して決勝ゴールを決めた2011年の李忠成のこともあるので、
次のチャンスはモノに出来るように気持ちを切り替えて欲しいところだ。

後半に入ってベトナムの運動量が落ち、前半のような勢いは感じられなくなったものの、
前半のようにセットプレーから失点する可能性も無くはないので、1点リードだけでは心もとない。

ただ、日本も堂安や毎熊、佐野といったところを投入するも、
メンバー表の名前が書き変わっただけで、ピッチの上ではこれといった効果は見られず、
淡々と時間だけが過ぎていく後半。

この状況を変えたのが、後半39分から南野に代わって投入された久保建英。

ベトナム相手だったら久保は温存でいいのでは?と思っていたけど、
さすがレアルソシエダで中核を担うクラッキだけあって、すぐにピッチで結果を出す。

ペナルティエリア内の狭いスペースで堂安からの縦パスを受けると、
ベトナムのDFを引きつけて上田へ繋ぎ、試合を決定づけるゴールをお膳立て。

上田のシュート力もさすがのものだったし、
今大会は久保と上田の2人で多くのゴールを生み出しそうな期待感が持てる場面だったね。

ターンオーバーで出場機会を得た選手たちに期待

セットプレーの準備で上回られた感はあったけど、
終わってみれば地力の差を見せて勝利することが出来たと思う。

次戦は1月19日にイラクと対戦。

まあ、まだ勝負どころはここではないし、
今の日本代表なら誰が出ても試合のクオリティが落ちるなんてことは無いので、
ターンオーバーしてもいいんじゃないだろうか。

いずれにせよ決勝トーナメントになったら総力戦なので、
多くの選手を試しておきたいところだけど、森保監督はどう出るか?
今から楽しみにしておきたいと思う。

日本42ベトナム
’11 南野拓実
’16 グエン・ティン・バク
’33 ファム・トゥアン・ハイ
’45 南野拓実
’45+4 中村敬斗
’85 上田綺世