【パリオリンピック グループD2節 日本vsマリ】君は小久保玲央ブライアンを見たか

他会場の結果は気にせず目の前にいる相手に勝利するのみ

パリオリンピックのグループDの初戦で、
南米の強豪・パラグアイを相手に大勝を収めた我らが若き日本代表はマリとの第2戦に臨んだ。

過密日程を考慮するとこの試合で決勝トーナメント進出を決めて、
第3戦のイスラエル戦を消化試合にして主力を休ませたいところだけど、
先のことばかり考えて取らぬ狸の皮算用になってしまっては元も子もないので、
目の前のマリ戦に勝利することに集中したい。

パラグアイ戦で負傷した平河はグループステージでの復帰は難しいみたいだけど、
そのパラグアイ戦で平河に代わって出場した佐藤恵允が穴を埋めていたように、
マリ戦でも選手層の厚さを証明してくれるはずだ。

それは相手だって研究してくるわけで

3日前にパラグアイと試合したばかりのボルドーのピッチに、
大岩監督が送り出したスタメンは以下の11人。

パラグアイ戦のスタメンから三戸、木村、平河が外れ、荒木、西尾、木村が入った。

初戦でパラグアイに大勝したからか、斉藤がボールを持つたびにマークが2人ついたり、
細谷がポストに入るとすぐに潰しに来たりとだいぶリスペクトされているなと感じたね。

また、日本の後方でのゆったりとしたパス回しに対し、
パラグアイは前線からボールを奪いに来てくれたので、
日本は敵陣に出現したスペースを使って裏返すことが出来たけど、
この日のマリはなかなかボールに食いついてこなかったので、
逆に日本の選手が焦れてDFラインからボールを運ばされる場面が目についた。

その最たる例が、西尾の不用意なボールロストからカウンターを食らい、
小久保のファインセーブでなんとかピンチを凌いだ前半11分の場面だったように思う。

西尾はマリの選手の裏への抜け出しを止めて前半でイエローカードを貰う場面もあったし、
パラグアイ戦でスタメン出場していた木村に比べると、
ちょっとバタバタしている感は否めなかったね。

攻撃面では、この日も中盤の底の藤田が長短のパスを織り交ぜてゲームメイクしていたけど、
ナイトゲームということで試合前の散水の乾き具合が違ったようで、
マリのDFラインの裏を狙ったパスが伸びてしまう場面が多く、
なかなかシュートチャンスを作り出せなかった。

結果的に前半をスコアレスで終えることになったけど、
パラグアイ戦と比べて攻守ともにあまり上手くいってないなと感じる前半だったね。

日本を勝利に導いた背番号1

両チームとも選手交代無く迎えた後半。

ゴールを奪いたい日本だけど、
後半になって積極的に前に出てくるようになったマリの圧力をまともに受けてしまい、
前半に比べてボールを前に運べなくなってしまった。

この状況を打破すべく大岩監督は、後半12分に斉藤と荒木に代えて藤尾と三戸、
後半24分に山田に代えて佐藤恵允を投入するも、試合の流れが好転するどころか、
選手を交代させるたびにどんどんマリのペースになっていく。

そんな悪循環でなんとか日本が持ち堪えることが出来ていたのは、
最後尾に構える小久保の絶対的な安定感があったからこそ。

最近あまりちゃんと小久保のプレーを見れていなかったんだけど、
セービングやハイボール処理の安定感はもちろんのこと、
相手選手にプレッシャーをかけられても落ち着いてパスを繋ぐことも出来るし、
こんなに良い選手だったのかと正直驚いたね。

そんな小久保の奮闘がようやく攻撃陣にも伝播したのは、後半37分。

ロングカウンターで細谷が右サイドをドリブルで駆け上がり、
グラウンダーのクロスを送ると、佐藤恵允のシュートはマリのGKに阻まれてしまうも、
こぼれ球に詰めていた山本理仁が押し込み、日本に待望の先制点が入る。

山本はガンバが育てた・・・と言いたいところだけど、
ガンバでの1年足らずの在籍期間で山本を輝かせることは出来なかったので、
「ガンバがリハビリの場所を提供してベルギーに送り出した」と控え目に胸を張ることにする。

終盤に1点リードして、あとは試合をコントロールしてクローズするだけ
・・・のはずが、試合をクローズするために山本に代わって投入されたはずの川﨑が、
ペナルティエリア内でハンドを取られてPKを献上してしまう。

試合の最終盤に訪れた絶体絶命のピンチだったけど、
キッカーのドゥンビアのシュートコースを小久保が完全に読み切って、
ドゥンビアのシュートミスを誘発し、日本は難を逃れることが出来た。

アジアカップで日本のゴールマウスを守った鈴木彩艷もパリオリンピック世代だけど、
今大会の小久保の傑出したプレーの数々を見たら、
鈴木彩艷を招集できなかったことが逆に功を奏したように思えるね。

結局、日本は終盤に挙げた山本のゴールを守り切り、ウノゼロで勝利。

負けてもおかしくないような試合展開だったけど、そんな中でも、
注文通りグループステージの最終戦を残して決勝トーナメント進出を決めたことに、
これまでの日本にはあまり感じられなかった勝負強さを感じる一戦だったと思う。

決勝トーナメントを見据えたグループステージ3戦

パリオリンピックグループDの最終戦は、
舞台をボルドーからナントへ移してのイスラエル戦。

日本は、既に決勝トーナメント進出を決めている上、
2位のパラグアイと得失点差で9点差もあることを考えると、
余程のことが無い限り1位通過は間違いないので、
決勝トーナメントでの戦いを見据えてメンバー編成をマネジメントして欲しいと思う。

一方で、日本に勝てば決勝トーナメント進出の可能性を残しているイスラエルは、
高いインテンシティで試合に臨んでくることが予想されるので、
ケガとカードには気をつけて戦いたいところだね。

日本10マ
’82 山本理仁