【天皇杯準決勝 横浜F・マリノスvsガンバ大阪】さあ、我らがキャプテン・宇佐美貴史が賜杯を掲げる舞台は整った

決勝のことは準決勝が終わってから考える

ミッドウィークに行われたリーグ戦で名古屋との打ち合いを制したガンバ大阪は、
4日前に鮮烈な逆転勝利を飾ったパナソニックスタジアム吹田に横浜F・マリノスを迎え、
天皇杯の準決勝に臨んだ。

日産スタジアムは土曜日にラグビーの日本代表戦が行われたことで使用できず、
三ツ沢も横浜FCのホームゲームと被って使用出来ずということで、
天皇杯のレギュレーションが適用されずにパナスタで準決勝が開催されることになったのが、
ガンバにとって功を奏することを願いたい。

準決勝まで勝ち進んでいるのでどうしても9年ぶりの戴冠を意識してしまう状況だけど、
先を見すぎると足元の石につまづいてしまうことは往々にしてあるので、
今は目の前のマリノスに勝利することだけにフォーカスしたいところだ。

ハマのプリンスの恩返し

累積出場停止でウェルトンを欠いた状態で大一番に臨む、青黒のスタメンは以下の11人。
(まあ、出場停止でなくてもケガしているのでどのみち出場できないが・・・)

名古屋戦のスタメンから美藤、坂本、食野が外れ、鈴木徳真、宇佐美、倉田が入った。

この手の重要な一戦でベテランの倉田の経験を生かそうとするあたり、
やっぱりポヤトスって浪花節な指揮官だよね。

カップ戦の準決勝と言うことで、失点を恐れて慎重な試合になるかと思っていたのだけど、
山根が山下を吹っ飛ばして前半2分にイエローカードが出るなど、
序盤から激しい球際に攻防が繰り広げられたこの試合。

そんな一戦で先手を奪ったのはガンバで、
半田とのポジションチェンジで右サイドに開いたダワンのクロスはマリノスに跳ね返されるも、
ペナルティエリア外にいた山田のビューティフルボレーが炸裂し、前半26分に先制。

リーグ戦だったら月間ベストゴールにノミネートされてもおかしくない一発だったけど、
古巣相手のゴールだったこともあってか、
そんなすごいシュートを決めてもセレブレーションは控えめだったね。

幸先良く先制したガンバだったけど、
ダワンのドリブルのタッチが大きくなったところを引っ掛けられると、
アンデルソン・ロペスのアウトサイドのパスを受けたヤン・マテウスに、
得意の角度からの左足の一撃を見舞われてしまい、わずか9分でリードを吐き出してしまった。

マリノスのストロングポイントである両ウイングには、2枚で挟んで上手く対応出来ていたけど、
この場面に関しては不用意なボールの失い方だったので対応が間に合わず、
強力なブラジル人2人の個人技でゴールを割られてしまったね。

前半終了間際には渡辺とのコンタクトプレーで山田が負傷してしまうなど、
前半の終盤はなかなか思うようにいかなかったね。

後半アディショナルタイムの漢・中谷進之介

前半終了間際に負傷した山田に代えて、後半頭から坂本を投入したポヤトスに対し、
前半と同じ11人をピッチに送り出したハッチンソン。

宇佐美のクロスをダワンが折り返したところに山下が詰めるも、
前半の飯倉との1対1に続いてここでも山下がミスショットしてしまい、
勝ち越しゴールは奪えない。

この試合のガンバは、右サイドでアイソレーションを作る攻撃を多用していたので、
山下は戦術上のキーマンだったと思うけど、ファウルを誘発する一方で、
どうしても最後の精度の低さが目立ってしまい、この日も試合を決める存在になれなかったね。

その後は、試合展開が膠着。

倉田に代えて名古屋戦で決勝ゴールを挙げた福田を投入して静観していただけのガンバに対し、
西村、宮市、天野を投入して選手交代で流れを持って来ようとしていたマリノスという構図に、
敵将の4枚替えに屈して勝ち点2を失った川崎戦が頭をよぎる。

ただ、マリノスは渡辺が負傷交代したことで、
天野と水沼という本職でない2人がダブルボランチを組む形になっていたので、
そこを突きたいところだったけど、後半終了間際に逆にやられてしまう。

天野が右サイドから左足で上げたクロスを中央で中谷がクリア出来ず、
ファーに流れてしまうと、宮市の落としを受けたロペスのシュートのこぼれ球を、
松原に押し込まれてしまい、後半43分に勝ち越しを許してしまった。

1点ビハインドになって切った交代カードが、黒川に代えて食野を投入し、
福田を左SBに下げるというものだったので、正直万事休すかと思っていたのだけど、
その食野のスローインを受けた鈴木徳真がクロスを上げると、
パワープレーで前に残ったままだった中谷がヘディングで叩き込み、
なんと後半アディショナルタイムでまたしてもスコアは振り出しに。

8月の神戸戦や、9月の京都戦然り、
普通に攻撃するよりも中谷を前線に上げてパワープレーをやっている時の方が、
点が取れそうな気がするのは僕だけだろうか。

かくして、どちらに転ぶかわからないシーソーゲームの決着は、
延長前後半の30分に委ねられることになった。

感情のジェットコースターと化した延長前後半30分

国立行きの切符を賭して臨んだ延長戦だったけど、
両チームともミッドウィークに試合をしているということもあってか疲労が色濃く、
プレーの精度が上がらない。

特に、山下に代えて延長前半から投入された江川が、
ヤン・マテウスとのマッチアップに苦戦するなど、試合に入りきれない。

それでもなんとか延長前半を折り返すことが出来たけど、延長後半のマリノスのCKの場面で、
天野のキックが美藤の腕に当たったとのことでVARのチェックが入る。

正直、VTRで見ても腕に当たっているように見えたので、
これはPKやむなしかなと覚悟していたのだけど、
OFRの結果なんとガンバボールでプレー再開という判定で命拾い。
(主審の木村さんがOFRからピッチに戻ってくる時にプッシングのような動作をしていたので、
おそらくハンドの前にポジションの取り合いでマリノスの選手のファウルがあったみたい)

ただ、その後もセットプレーから中谷や江川に決定機が訪れるもこれを決め切れず、
PK戦突入も頭をよぎる時間帯になっていく。

ところが、延長後半のラストプレーという時間帯に、
宇佐美がセンターサークル付近で体勢を崩しながら前線の坂本へパスを送ると、
坂本はマッチアップした畠中との1対1を制して左足でゴールネットを揺らし、
なんと延長後半15分+5分でガンバが勝ち越しに成功。

正直、安定感のある試合が出来ているとは言えないけど、一時期の得点力不足が嘘のように、
ビハインドの状況になってもひっくり返せるようになってきているので、
この火力を維持しつつ守備を修正して、11月以降の戦いに向かいたいね。

賜杯を掴み取れ

15時から行われた準決勝の第2試合で、神戸が京都を降したことで、
11月23日に行われる天皇杯決勝のカードは、ガンバvs神戸に決定。

まあ、決勝まで1ヶ月近くあるとは言え、
決勝までの1ヶ月間で公式戦は磐田とのリーグ戦1試合しかないので、
試合勘が鈍らない様に上手く調整して欲しいね。

関西勢同士の決勝なので関西で開催してもいいような気がするけど、
ガンバサポは頭がおかしい(褒め言葉)人が多いので、
吹田から500km以上離れた千駄ヶ谷にも大挙して押し寄せるだろう。

そして、国立にパナスタの雰囲気を作り出せれば、
試合後には我らがキャプテン・宇佐美貴史が賜杯を掲げる姿を見ることが出来るはずだ。

横浜Fマリノス23ガンバ大阪
’26 山田康太
’37 ヤン・マテウス
’88 松原
’90+3 中谷進之介
’120+5 坂本一彩