【明治安田生命J1リーグ27節 セレッソ大阪vsガンバ大阪】この2週間、何をやっていたのでしょうか??

2020年11月1日

大阪ダービーは絶対に負けられない戦いであって、いつでも勝てる戦いではない

23勝8分け9敗。

前節終了時点でのガンバ側から見た大阪ダービーの対戦成績である。

我らがガンバ大阪が大きく勝ち越しているが、我々とお隣の間に、
常に大きな力の差が横たわっていたなんておこがましいことを言うつもりはない。

彼らにだって多くの優秀な選手たちを揃え、J1で優勝争いを繰り広げていた時代はあった。
(まあ、結局リーグタイトルは獲得できていないが)

それにも関わらず、大阪ダービーの対戦成績でこれだけガンバが勝ち越しているのは、
チーム力以上に「この試合だけは絶対に負けられない」と言う
精神的な部分でピンクの連中を上回っていたからと言うのも間違いなくあると思う。

その点、この試合で長居のピッチに立っていたガンバの選手たちはどうだっただろうか。

ここ数年、チーム状態が悪くてもなんだかんだダービーだけは勝っていたので、
この試合も何となく勝てるだろうと思っていなかっただろうか。

1失点目の高尾、3失点目の藤春の軽率な対応を見ていると、
この試合に懸ける気持ちでセレッソの選手たちに負けていたように思う。

今回の大阪ダービーでの敗北は、再び残留争いに片足を突っ込んだと言うことに加え、
「絶対に負けられない」と言う気持ちで大阪ダービーに臨んでいた、
歴代の青と黒の戦士たちの顔に泥を塗るようなものに思えてならない。

バスク人指揮官の術中にハマる

5月の吹田でのダービーの時にも同じことを書いたけど、敵将のロティーナは計算高い監督だ。

自分たちのストロングポイントを前面に出すと言うよりは、
相手の良さを消すような戦いがこの知将の真骨頂である。

5月の対戦では、倉田のゴールでガンバが勝利を収めたけど、
その時の試合では、1週間前にアウェイで鳥栖相手に惨敗したことを受けて、
ガンバがドラスティックな布陣変更に踏み切ったことにより、
ロティーナが事前に用意していたプランを無効化できたのが勝因の一つだった。

しかしながらこの試合のガンバは、勝利を収めた2週間前の鳥栖戦と同じ戦い方で、
ホームチームと対峙した。

ロティーナにとって、ガンバの攻略法を考えるのに、
吹田での鳥栖戦とルヴァンカップのFC東京戦と言う教材、
そして2週間と言う時間があれば十分だった。

ピンクのシャツの選手たちが何度も繰り出すサイドチェンジに、
守備陣形をズタズタにされるガンバの選手たち。

ピッチの上に横たわっている問題を解決する術を選手たちに授ける事が出来なかった点で、
宮本恒靖とロティーナの監督としての力量差は歴然だったのかもしれない。

背番号18というソリューション

ただ、ロティーナとて万能の監督ではない。

僕個人のロティーナ評になるけど、彼は攻守をきっちり整備できる監督だけど、
意図的にごちゃごちゃした局面を作り出されると対応力は乏しい監督だ。
(最近のサッカー用語で”コントロールされたカオス”と言うらしい)

なので、今回の大阪ダービーに臨むにあたり、
ガンバに必要なのは”コントロールされたカオス”を作り出せる存在だと思っていて、
それができるのはパトリックの高さしか無いと思っていた。

ところがどう言うわけか、この試合のスタメンにパトリックの名前は無く、
宮本監督は、宇佐美と渡邉千真の2トップをピッチに送り出した。

宮本監督は勝っているチームをいじらない傾向があるので、
勝利した前節の鳥栖戦での戦い方をそのまま踏襲し、
決勝ゴールを決めた渡邉千真を先発で起用してきたのだろうけど、
そんなおまじないのような戦い方で勝てるほど今のピンクは甘い相手では無い。

また、パトリックがいないことによる影響は、攻撃面だけでは無く、
セットプレーの守備にもあった。

たらればの話になるが、もしパトリックがスタメンで出場していれば、
2失点目のセットプレーの場面で、ゴール正面の位置でヘディングを競りに行ったのが、
井手口なんて状況は生まれなかったんじゃないかと思う。

そんなパトリックは後半13分に渡邉千真に代わってピッチに投入されたけど、
ガンバはその時点で既に3点ビハインドを背負い、既に試合の大勢は決してしまっていた。

屈辱にまみれた敗戦の数々は生かされているのか

後半アディショナルタイムにアデミウソンのクロスがキムジンヒョンのミスを誘発し、
1点を返すことには成功したものの時既に遅し、リーグ戦の大阪ダービーでは7年ぶりの敗北。

また、複数得点差での大阪ダービーの敗北は、2003年以来ということで、
ガンバとしては16年ぶりに大阪ダービーで完敗を喫するという屈辱を味わってしまった。

世界一嫌いなチームに負けたということで、選手もサポーターも切り替えが難しいと思うけど、
そもそも、今季の数々の敗戦から選手たちは何かを学習しているのだろうか。

もし何も学習できていないというのなら、いっそのこと切り替えなんてしなくてよくて、
このダービーで味わった悔しさや怒りをそのまま次節の対戦相手の札幌にぶつけてほしい。

幸か不幸か、今節累積警告で出場停止だった鈴木武蔵とジェイが復帰するので、
次のフライデーナイトに相対する札幌はさぞかし骨のある相手になっているだろうからさ。

セレッソ大阪31ガンバ大阪
’8 ブルーノ・メンデス
’11 マテイ・ヨニッチ
’56 水沼宏太
’90+2 オウンゴール