【北米ワールドカップ アジア最終予選 中国vs日本】ピッチの幅や選手の背番号を変えたところで結果は変わらない

ハートは熱く頭は冷静に

インドネシアを0-4で降した我らが日本代表は、
2戦連続のアウェイゲームとなる中国との一戦に臨んだ。

中国代表には北米ワールドカップアジア最終予選の初戦で対戦し、
7-0という圧倒的なスコアで勝利しているけど、その後、中国は勝ち点を6まで伸ばし、
W杯の出場権の可能性が出てきているので、
この試合は何が何でも勝ち点を獲りに来るだろう。

中国の選手のラフプレーによるケガが心配だけど、
日本の経験のある選手たちであれば上手く流しながらやってくれると思うので、
気持ちよく勝って年内最後の試合を飾りたいところだ。

流れを持ってきたのはセットプレー

満員の観客が詰めかけた廈門白鷺スタジアムのピッチに立った日本のスタメンは以下の11人。

先日のインドネシア戦のスタメンから橋岡、堂安、守田、三笘、鎌田が外れ、
瀬古、伊東純也、田中碧、中村敬斗、久保が入った。

対する中国は、9月の埼玉スタジアムでの試合に出ていた選手の背番号を変更したり、
ピッチの横幅を狭めるなど、先述の通りあの手この手で日本対策をしてきた。

そんな日本対策の中でも驚いたのが、
ここ数年めっきり見なくなった中盤をダイヤモンド型にした4-4-2の布陣を採用してきたこと。

ファンタジスタ全盛の80〜90年代は一般的な布陣だったけど、
攻撃→守備の時にスムーズに2ラインを形成出来ないことや、
トップ下がいるためどうしても前と後ろの距離が伸びてしまうので、
近年ではほとんど見なくなった布陣だからね。
(Jリーグだとフィッカデンティ時代のサガン鳥栖以来見ていないと思う)

日本の布陣の噛み合わせを考えると、
WBの伊東純也と中村敬斗がフリーでボールを持つ状況が増えるだろうから、
日本が有利に試合を進められると思って見ていたのだけど、
中央を厚くした中国の前にボランチのところで起点を作れず。

中央を塞がれたのならサイドから前進すればいいのだけど、
メンバーを入れ替えた弊害からかWBにボールが入った時のフォローが遅く、
中国の守備陣の速いスライド(と狭めたピッチの幅)の前に攻撃をスピードアップ出来ない。

予想に反して難しい試合になってしまったなという印象だったけど、
日本の流れではない試合展開を変えたのは個の力。

右サイドでボールを持った久保が、「ここはラ・リーガ?」と、
錯覚するようなカットインからのシュートでCKを獲得すると、
そのCKから小川がヘディングでゴールネットを揺らし、前半39分にようやく日本が先制。

前半アディショナルタイムには伊東純也のCKをニアで町田がフリックしたところを、
ファーに詰めた板倉が頭で決めて追加点を奪い、2点リードしてハーフタイムへ。

中国のセットプレーのディフェンスはどうなんだ?と思う部分もあるけど、
なかなか試合の主導権を掴めない中でセットプレーから得点を奪うことが出来るのは、
強いチームの戦い方だなと思わされたね。

失点するも試合の大勢には響かず

後半に追加点を奪いたい日本だけど、後半開始直後のまさかの失点で出鼻を挫かれてしまう。

ウェイ・シーハオのパスを中央で受けようとしたシエ・ウェンノンを、
中央に絞った瀬古が潰しきれず、
瀬古がいたスペースに流れたボールを受けたリン・シャンミンにゴールを許してしまい失点。

WBにSB適性が無い選手を起用していないので、この戦術を採用する以上、
3バックの横のスペースを使われる危険性は常にあるよなと再認識させられたね。
(まさか中国戦で再認識させられるとは思わなかったけど)

今回のアジア最終予選でオウンゴール以外で初めて失点してしまった日本だけど、
失点から6分後に小川が伊東のクロスからゴールを挙げ、再び日本のリードは2点に。

これまで上田の代役という印象が拭えなかった小川だけど、
ここに来て俄然存在感を増しているので、上田もおちおち休んでいられないだろうね。

2点リードした日本は、南野と中村敬斗に代えて鎌田と三笘を投入。

前半からボールポゼッションこそ高かったものの、
中国の速いスライドやサイドを捨てて中央を固める守り方に手を焼いていた日本だけど、
シャドーに入った鎌田がポジションを崩して色々な場所でパスを受けはじめると、
一気に日本のビルドアップがスムーズになった。
(中国の選手たちの足が止まってスライドが遅くなったのもあると思うけど)

所属のクリスタルパレスではまだ本領発揮に至っていないようだけど、
こういう気が利いたプレーが出来る選手は貴重だなと思うと同時に、
今の日本は鎌田や守田といった、
一部の気が利く選手たちの個人戦術で成り立っている部分も大きいなと、
ちょっとした危うさも感じたね。

その後はスコアは動くことなく、1-3で試合終了の笛を聞くことに。

本音を言えば後半32分に小川に代わって投入された古橋には、
ゴールを決めてこれまで自身を干していた森保監督を見返して欲しかったけど、
惜しい場面はありつつもゴールネットを揺らすことは出来なかったね。

良い意味でグループCの蚊帳の外に居続けろ

これで2024年の日本代表の公式戦は全て終了。

この記事を書いている時点ではバーレーンvsオーストラリアの試合結果はわかっていないけど、
日本が所属するグループCは2位以下が大混戦で、
はたから見ている分にはとても面白い状況になっている。

まあ、日本としては、3月に行われるバーレーン、サウジアラビアとのホーム2連戦で、
2連勝を飾ってさっさとワールドカップの出場権を手にしてもらい、
グループCの他の試合を高みの見物といこうじゃありませんか。

中国13日本
’39 小川航基
’45+6 板倉滉
’48 リン・リャンミン
’54 小川航基