【明治安田生命J1リーグ12節 セレッソ大阪vsガンバ大阪】この試合の決着は8月に観客がいる吹田で着けよう

本当の意味での大阪ダービーのキックオフの笛は鳴らない

4ヶ月以上にも及ぶカレンダーの空白期間を経て、
我らがガンバ大阪がセレッソ大阪と対戦したのは昨年の7月の話。

TVに映し出された観客が1人もいないパナソニックスタジアム吹田の異様な光景に、
このような試合を見るのは最初で最後にしたいなと思ったことは、
まだ自分の中で比較的新しい記憶として脳裏に残っている。

あれから約10ヶ月が経ったけど、僕の自宅のTVには、
観客が誰もいない長居スタジアムの光景が映し出されていた。

2019年シーズンのガンバホームでのダービーの時、宮本監督が、
「ダービーだからと言って選手たちに特別な言葉はかけていない。
ピッチに入場した時にサポーターが作り出す雰囲気を感じれば、
自ずとこの試合が特別なものと認識するはずだ」と言っていた。

この宮本監督の言葉に表れているように、
大阪ダービーは両チームのサポーターが作り出す、
「この試合は特別なもの」という雰囲気があってこそのものだと思っている。

あの熱気に満ちたスタジアムの雰囲気が遠い昔の記憶にならないように、
一日でも早くかつての日常を取り戻したいところだけど、
とりあえず出しときますといった具合で繰り返される緊急事態宣言、
遅々として進まないワクチン接種といった状況に鑑みると、
あまり期待できそうにないのが悲しいところなんだけども。

PKの場面で東口に乗り移ったものは…

この日のガンバのスタメンは、GKに東口、DFラインは右から福田、三浦、昌子、黒川、
中盤はアンカーに山本を置き、インサイドハーフに井手口と矢島、
そして前線は右から小野瀬、レアンドロ・ペレイラ、宇佐美の3トップを敷いてきた。

奇襲の意味合いもあったのか、開幕戦の神戸との試合以来、
お蔵入りになっていた4-3-3をこのタイミングで採用してきた。

これはセレッソの事前のスカウティングには無かったようで、
ライン間で1枚浮く形になった山本を起点にパスが回り、
良い形で試合に入ることが出来たと思う。

しかしながらそんな状況をほったらかしにしておくほどセレッソも愚かではない。

2019年の長居でのダービーで、サイドチェンジを多用する戦術で
ガンバに勝利を収めたことに味を占めたのか、
その後の対戦でも同じような戦術を採用してきたセレッソだけど、
この試合でも例に違わず長いボールで左右に大きく揺さぶりをかけてきた。

これにより、井手口と矢島の位置が押し下げられ、
サポートを失ったレアンドロ・ペレイラが前線で孤立すると、
攻撃に出れなくなってしまった。

年甲斐もなくハッスルプレーでガンバのゴールに迫っていた38歳のおじ久保さんが、
ハムストリングを負傷してピッチから退いた時は、
これで相手の士気も下がるかなと思ったんだけど、
ガンバも小野瀬を負傷で失い、なかなか流れを掴むことが出来ない。

そんなガンバに訪れた前半最大のピンチは、福田のハンドで与えたPK。

ここまで鬼神の如き働きでセレッソにゴールを許さなかった東口だけど、
PKではキッカーより先に動いてしまい逆を取られることが多く、
ストップした場面をあまり見たことが無い。

それだけに、PKになった時はまずいかなと思ったんだけど、
東口にコースを読まれたことに焦ったキッカーの豊川が、
左のポストに当ててくれて何とか難を逃れることに成功。

PKは止められないけど、相手が勝手に枠を外してくれるなんて、
往年の藤ヶ谷のプレーを思い出してしまったけど、
なんにせよ、前半はスコアレスで折り返すことが出来たね。

無観客の一戦の雌雄は決せず

後半のガンバの得点に期待したいところだったけど、
後半になってもセレッソペースの試合展開は変わらず。

レアンドロ・ペレイラはセレッソのCBのチアゴとダンクレーの前に、
攻撃の起点を作ることが出来ず、
負傷した小野瀬に代わって前半途中から出場していたチアゴ・アウベスも、
利己的なプレーで安易なロストを繰り返すばかりで、
なかなか攻撃の形を作ることが出来なかった。

そんなガンバを尻目に、敵軍の将、レヴィー・クルピは、
坂元とアダム・タガードに代えて、中島と加藤を投入。

アダム・タガードは負傷した大久保に代わって前半途中からの出場だったので、
随分見切るのが早いなと思ったんだけど、
その交代で入った中島が先制ゴールを挙げ、まさかの采配的中。

3年前にガンバを指揮していた時は、モウロクしたような采配ばかりしていたのに、
わざわざこの試合に限って交代選手が結果を出すなんて、もしかしてクルピは、
本当にセレッソからガンバに送られたスパイだったんじゃないだろうか。

そして、今季ここまで7試合で1得点しか挙げることが出来ていないガンバにとって、
この失点で背負った1点ビハインドは致命的な数字のように思えたんだけど、
相手に起きた事が自分たちにも起きるということがあるもので、
今度は加藤のハンドでガンバがPKを獲得。

セレッソの選手たちは随分抗議していたけど、
あれがPKじゃないって言うのなら、前半の福田のハンドだってPKじゃないよね。

このPKをレアンドロ・ペレイラとの交代でピッチに入っていたパトリックが決め、
ガンバが試合を振り出しに戻すことに成功。

その後は、同点に追いついた勢いからか、
ガンバが攻勢に試合を進めることが出来たけど、
結局、勝敗を決する次のゴールはどちらのチームにも入らず、ドロー決着。

守勢を強いられる時間帯が長かったので、
負けなくてよかったという見方も出来るけど、
大阪ダービーでそれは許されないのは選手もよくわかっているはずだろう。

8月のホームでの対戦の時には、必ず勝利を収め、
本当の大阪がどちらかというのをはっきりさせて欲しいと思う。

スーパーカップの激闘をもう一度

次節はホームで川崎との対戦。

先日、豊田スタジアムで行われた名古屋と川崎の試合で
名古屋を造作も無く退けた川崎の強さを見る限り、
今のガンバが川崎に勝てる可能性は限りなく低いように思える。

ただ、もう随分前の話のように思えるけど、
2月のスーパーカップでそんな川崎相手に、
あと一歩でPK戦という競った試合をしたのは我らがガンバ大阪だったはず。

次節も無観客での開催になるみたいだけど、あの2月の試合で感じた可能性を、
もう一度思い起こさせるような試合を期待したいね。

セレッソ大阪11ガンバ大阪
’74 中島元彦
’83 パトリック