【明治安田生命J1リーグ4節 清水エスパルスvsガンバ大阪】サンキュー、カズマ!サンキューな!

2020年11月1日

戦えオジェソク

前節の名古屋戦後に発表されたオジェソクの名古屋への完全移籍。

ピッチ内外でガンバサポーターに愛された選手だけど、
宮本監督になってからは構想から外れている感があって、
昨季のFC東京へのレンタル移籍の時と同様に、
今回の移籍発表に対しても驚いたというよりは「やっぱりな」と感じの方が大きかった。

宮本監督が志向する3-5-2では、DFラインの選手は守備力だけでなく、
ショートパスやロングフィードといったビルドアップ能力が求められるし、
かと言って小野瀬や藤春のポジションで起用できるほどの攻撃力も無いしね。

開幕節のマリノス戦ではスタメン起用されていたけど、
その試合で採用した布陣がマリノス戦限定シフトであることは、
奇しくもオジェソクの口から語られたことだったし。

プロである以上試合に出場できる環境へ身を置こうとするのは自然な流れだし、
守備に重きを置くフィッカデンティ監督の下であればオジェソクの良さも引き出してもらえると思う。

2014年の3冠達成などガンバ大阪の多くの勝利に貢献し、
奮闘した背番号22の今後のキャリアが素晴らしいものになることを願うね。

ただ、別れはあっても試合は続いていくのであまり感傷的になっていてもいられないけどね。

生みの苦しみ

2試合続けて勝ち点3を逃しているという状況に鑑みて、
今節は3-5-2から4-4-2に布陣を変更してきた宮本監督。

対する清水は、昨季までマリノスのポステコグルーの右腕だったクラモフスキーを監督に招聘し、
極端なポゼッションスタイルにチャレンジしている最中。

ここまで開幕3連敗とポステコグルー初年度のマリノスのように苦しんでいるけど、
ハマった時の攻撃力は昨季のマリノスで実証済みなので、
ガンバとしてはまだ構築段階のこのタイミングで清水と対戦できるのは運が良いのかもしれない。

まあ、宮本体制3年目なのに、
まだ確固たるスタイルが構築できていないウチが言うのもなんだけど。

そんな清水と相対するにあたり、ある程度ボールを持たれることは予想できたのだけど、
奪ってからカウンターという形がなかなか作れなかった。

4-4-2にしてアンカー脇のスペースを使われることは無くなったけど、
ダブルボランチの井手口と矢島が動きすぎるあまりバイタルエリアがスカスカになり、
清水に深い位置まで攻め込まれたことで、せっかくマイボールになっても、
前に出ていくパワーが失われていたように思う。

そんな中でガンバに訪れたチャンスは、
清水の期待の新鋭・梅田透吾のスーパーセーブに阻まれたアデミウソンのシュートぐらいで、
得点の匂いはホームチームの清水の方にプンプンしていた。

ところが、そんな状況でガンバが先制点を挙げるんだからサッカーはよくわからない。

左サイドのタッチライン際から、
宇佐美がインナーラップした藤春にパスを送ると、藤春は中へグラウンダーのクロス。

これを中央でスルーした小野瀬が、ファーサイドにいたアデミウソンからの折り返しに対し、
ゴールへパスを送るような優しいシュートでゴールネットを揺らしてみせた。

まだ4節だけど、今季のこれまでのガンバの攻撃で、一番美しい崩しだったように思う。

2試合続けて歓喜をもたらした漢

1点ビハインドで前半を折り返すと、前半とは一転して良い入り方をした後半のガンバ。

しかし、その良い時間帯で追加点を挙げられずにいると、徐々に清水に試合の流れが傾き始め、
後半の中盤ぐらいには前半と同じような劣勢の展開になってしまった。

それでもなんとか失点せずに凌いでいたけど、
右サイドで犯したファウルで献上したFKをクイックリスタートされ、
ファーサイドから立田に打点の高いヘディングで叩き込まれて同点に追いつかれてしまった。

後半29分にアデミウソンと宇佐美に代えてパトリックと渡邉千真を投入したのは、
攻撃面だけでなく、セットプレーの際の守備の強化という意図もあったと思うけど、
身長191cmの立田を藤春と髙尾がマークしているという時点で、
その選手交代の意図がピッチ内に伝わっていたのかと疑問に思うね。

ところがその3分後、左サイドを抜け出した藤春からのマイナスのグラウンダーのクロスを、
渡邊千真が持ち込んで逆転ゴールを叩き込んだことで結果的に選手交代が的中したのだから、
宮本監督も安堵したことだろう。

パスを受けた後、一回、ペナルティエリアを出てしまったので、
ワンタッチ多いんじゃないかと思ったけど、
あそこから腰が回ってゴール左に強烈なシュートが打てるあたり、
今、とてもコンディションが良いんだなというのが窺えるね。

昨夏の天皇杯で法政大学相手に敗れた試合で、
大学生のディフェンス相手に何もさせてもらえなかった渡邉千真を見て、
もうダメなんかなと思ったものだけど、その頃と動きのキレを比べると雲泥の差があるわ。

ここまでくるとスタメンで見てみたい気持ちもあるけど、かつてのリンスや長沢のように、
相手選手の足が止まってスペースが出来てきた後半の方が活躍できるという選手もいるし、
今後、宮本監督が渡邉千真をどう起用するのか見モノやね。

真夏の連戦の中で訪れたインターバル

まあ、勝つには勝ったけど、CKからファンソッコが放ったヘディングが後藤に当たったり、
金子のフリーのヘディングが枠外に逸れたりと、相手に助けられた場面もあったし、
藤春が金子を突き飛ばした場面はファウルを取られてもおかしくなかったので、
全体的に運が良かった感は否めない。

次節の対戦相手の大分トリニータを率いる片野坂知宏は、
こんなにわかりやすく弱点を露呈している敵軍に対し、
攻略する術を自軍に授けられる監督であるというのは、
わざわざガンバサポーターに説明するまでも無いだろう。

幸い、次節まで中5日空くので、この3連戦で噴出した課題を修正し、
ホームでの”有観客試合”開幕戦に備えて欲しいと思います。

清水エスパルス12ガンバ大阪
’40 小野瀬康介
’86 立田悠悟
’89 渡邉千真