【明治安田生命J3リーグ12節 ガンバ大阪U-23vsSC相模原】夏の終わりに吹田の夜空を彩った3発の花火

2020年11月1日

遠藤の後継者とも言われた男

ガンバユースが高円宮杯プレミアリーグWESTを制したのは2015年の話。

惜しくもチャンピオンシップでは鹿島ユースに敗れたけど、堂安、髙木、食野、初瀬など、
その後、トップチームに昇格する選手たちを多く抱えたチームは、
とても魅力的なサッカーを繰り広げていた。

そんな魅力的なサッカーをするチームに於いて、
キャプテンマークを巻き、前線のタレントを操縦していたのが、
前節の秋田戦後にJ2琉球への期限付き移籍が発表された市丸だった。

当時、「この選手は今後どういうキャリアを描くのだろう」と、
ワクワクしながら想像した内容と比較すると、
現在、市丸が置かれている状況は寂しいものだと言わざるを得ない。

昨季、トップチームで実力不足の烙印が押されていた高や髙江でも、
U-23の一員としてJ3のピッチに立てば、違いを見せていた一方で、
市丸は、昨季、岐阜でJ2のピッチを経験しているにも関わらず、
今季のU-23のチームで凡庸なプレーに終始するなど、悪い意味でJ3に馴染んでしまっていた。

昨季の岐阜への移籍と同様、琉球へも期限付き移籍という形ではあるけど、
ガンバの公式サイトに掲載されたコメントを見る限り片道切符と見ていいのだろう。

必要とされて移籍していく以上、岐阜では出来なかった完全移籍を勝ち取り、
沖縄に骨を埋める覚悟で頑張って欲しいと思う。

日増しに存在感を増す背番号30

今節のU-23の対戦相手は現在3連勝中と好調の相模原。

相模原と言えば、先日、ガンバでもプレーした藤本淳吾の入団が発表されたけど、
さすがに今節の大阪遠征には帯同していなかったね。

そんな相模原と対峙したU-23は、
普段であれば、4-2-3-1かトップチームと同じ3-5-2で試合に臨むのだけど、
この試合では、守備時は黒川、山口、タビナス、松田の4バック、
攻撃時は黒川が前線に上がって3バック化し、左CBの山口もオーバーラップする場合は、
ボランチの奥野が右CBの位置に落ちるという、攻守で可変且つ、左右非対称のシステムを採用していた。

なんだか、ここ数試合うだつの上がらない試合を続けているトップチームよりも、
戦術が浸透しているように見えるのだけど気のせいだろうか。

前半は、序盤こそ相模原に押し込まれる場面が目立ったものの、
相模原のシュートミスなどに助けられて失点せずに試合を進めると、
前半21分、華麗なターンで右サイドを突破した白井がゴール前にクロスを送ると、
ニアで唐山がつぶれたところをファーで塚元が押し込んでGET。

昨季からU-23の試合に出ていた塚元だけど、昨季と比べて随分体つきがゴツくなっていて、
トップ下のポジションで厳しいチャージに晒されても簡単に当たり負けしなくなっているね。

今季のユースからの昇格組の3人の中では、
開幕節から結果を残していた唐山と川﨑の影に隠れている感はあったけど、
ここ最近は試合を経るごとにピッチ上での存在感を増しているし、
今後も3銃士で切磋琢磨して右肩上がりの成長曲線を描いてほしいね。

この攻撃力こそU-23の真骨頂

先制点を挙げてからも、川﨑や白井に決定的なチャンスが訪れたけど、
相模原のGKのビクトルに阻まれて追加点を奪うまでには至らず。

今季、U-23を真剣にウォッチするようになってから、J3の試合を見る機会が増えたのだけど、
この相模原の守護神はいつもハイレベルなプレーをしている。

J3でプレーさせておくにはもったいない選手だと思うのだけど、
J1、J2のクラブで獲得に動くチームは無いのかね。

U-23の守備力を考えると1点リードは心許無いのだけど、
そんなビクトルの守るゴールを揺らすことが出来ないまま、
試合は後半アディショナルタイムへ。

厳しい暑さの中での試合だったので、後半の終盤あたりから、
U-23の選手たちの動きには疲労の色が見られたのだけど、
U-23のベンチには高校生しかいないので有効な交代のカードを切れないのよね。

なんとかこのまま逃げ切ってくれないかなと思って見ていたのだけど、
U-23が自陣からカウンターを発動させると、
左ひざの治療でピッチから出ていた唐山が上手い具合に前線に戻っていて、
追いすがるディフェンスをぶっちぎってゴール。

さらには後半アディショナルタイムのラストプレーで、
川﨑が一人で持ち込んでゴールを陥れ、終わってみれば3-0の快勝。

昨日、トップチームが情けない試合をしたパナソニックスタジアム吹田のピッチで、
弟分が胸をすくような試合を見せてくれたことで、
留飲を下げたガンバサポーターは僕だけじゃないだろう。

トップチームとU-23の調子が反比例するのは毎年恒例行事

6連敗を喫した時はどうなることかと思ったけど、
沼津戦で連敗を止めてからルヴァンカップの湘南戦も含め3勝2分け。

さらに今節に関しては今季初の完封勝利と、完全に別のチームになった感があるね。

次節は中2日で福島戦、さらには中2日で藤枝戦と、
猛暑の中でタフな連戦が続くので選手は大変だと思うけど、
今のトップチームの状態だとU-23の選手に声がかかる可能性は十分にあるので、
モチベーション高く次節でも勝ち点3を目指して戦ってほしいね。

ガンバ大阪U-23 30SC相模原
’21 塚元大
’90+3 唐山翔自
’90+5 川﨑修平