【全国高校サッカー選手権群馬県大会 決勝 前橋育英vs健大高崎】良い意味で裏切られる期待なら歓迎する

天気予報に嘘はつかれたけど

準決勝の前橋育英と桐生第一の試合が群馬県大会の事実上の決勝戦だと思っていたので、
決勝のカードが前橋育英と健大高崎に決まった時点で、
勝敗は決したようなものだから見に行く価値は無いかなと思っていた。

ただでさえも、先週、静岡県予選と埼玉県予選の決勝を見に行って、
一方的な試合を見せられて辟易したばかりだったからね。

試合時刻には雨が止むという天気予報もあり、
結局、ドライブがてら前橋へ行くことにしたのだけど、
結果的にこの判断は正解だったと思う。

好ゲームを演出したバイプレイヤー

前々回大会の選手権覇者であり、プリンスリーグ関東を戦う前橋育英と、
群馬県リーグを戦う健大高崎とでは実力の差があるのは明白。

前橋育英は大学受験の関係で、主将の渡邊と守備の要の松岡を欠いていたらしいけど、
そんな影響は感じられず、キックオフの笛が鳴るやいなや、
瞬く間に試合の主導権を握り健大高崎のゴールに迫った。

これは得点が入るのも時間の問題かなと思っていたのだけど、
前橋育英に得点がもたらされるまで後半25分まで待たなければいけなかったのは、
ひとえに健大高崎のGK倉石が大当たりだったからに他ならない。

健大高崎としてはあわよくば延長、PKまで持ち込める可能性はあったと思うけど、
それだけに、失点に繋がった自陣の深い位置でのミスが悔やまれるところやね。

結果的にこの試合で勝利し、全国行きの切符を掴んだのは前橋育英だったけど、
実力差がある両校の戦いを手に汗握る好ゲームにした健大高崎の21番には、
美しき敗者として拍手を送りたいと思う。

前橋育英にとってここは通過点だ

選手権の決勝で青森山田に5−0で敗れた95回大会から、
前橋育英の選手権での戦いは全試合スタンド観戦している僕ですが、
初めて前橋育英の試合を見る人に観戦ポイントをレクチャーをする機会があれば、
「とりあえずボランチの背番号14の選手を見とけ」と言うことにしている。

それに加え、今季の前橋育英で同校のエースナンバーを背負っている櫻井辰徳は、
2年生の選手だというのだから、
例年以上に前橋育英の中盤には熱い視線が注がれていることだろう。

この試合での櫻井は、CKで精度の高いストレート系のボールを多く蹴っていて、
そのキックの精度の高さで正田醤油スタジアムの観客をどよめかせていたけど、
流れの中では今ひとつ見せ場が無かったように思う。

名前を見る限り、親は野球選手にしたかったんだろうけど、
年代別の代表にも名を連ねた黄黒の若きボランチが、
サッカーの全国大会の舞台でどれだけできるのか今から注目やね。

また、キックの精度という視点で見れば、GKの高橋とCBの相原も良いキックを蹴る。

高橋は、神戸の飯倉のような低空のパントキックで、
ロングカウンターの局面で一発でチャンスを作り出せるし、
相原の左足から放たれる対角線のフィードは、
前橋育英が全国制覇を達成した年のCBである角田を彷彿とさせるものがある。

選手権のトーナメント抽選ではかなり厳しいブロックに入ってしまった前橋育英だけど、
今季も個人能力の高い選手が揃っているので、
上州のタイガー軍団が全国でどのような戦いを見せてくれるのか楽しみでならないね。

前橋育英10健大高崎
’65 熊倉弘達