【明治安田生命J3リーグ29節 ガンバ大阪U-23vsいわてグルージャ盛岡】柔よく剛を制すとはいかず

オーバーエイジを使えば強くなるとは限らない

U-23チームと対戦するJ3のクラブからたまに聞こえてくる声として、
「本来トップチームでプレーしている選手が、
故障明け等の原因により調整目的でJ3の試合にオーバーエイジとして出場すると、
コンペティションの公平性が損なわれる」というものがある。

ただ、今季、U-23のチームを追いかけていて思うのが、
普段、トップチームでプレーしている選手がU-23のチームに入っても、
練習不足からか連携面がままならないことが多いので、
全員がU-23の選手で構成したチームの方が良いサッカーをする場合もある。

先週のミッドウィークに行われた前節の試合には、目下、無敗で首位を独走する秋田に対し、
ユース所属の選手が7人という構成で臨んだのに対し、
今節の盛岡戦には、三浦と新里がオーバーエイジで出場。

トップチームのキャプテンでもある三浦弦太が最終ラインに名前を連ねたことで、
一気にメンバーが豪華になったような印象を受けたけど、
先述の通り、メンバー表の豪華さが試合結果に繋がらないというのが、
このU-23チームのオーバーエイジの難しさでもある。

肉弾戦は苦手です

今節の対戦相手の盛岡は、順位こそガンバ大阪U-23の1つ上にいるチームだけど、
格闘家のような筋肉の鎧を身に纏う最前線のブレンネルをはじめ、
フィジカルを前面に押し出してくるタイプのチームなので、
軽量級の選手が多いU-23にとっては組み難い相手である。

9月のアウェイでの対戦で1−0の敗北を喫した相手をホームに迎えたU-23は、
GKはイ・ユノ、DFは右から松田、三浦、新里、中盤は右から高木、芝本、菅野、山口、
塚元と中村仁郎をシャドーに置き、1トップに坂本という布陣を採用。

否応にもオーバーエイジで出場した三浦のプレーに注目が集まるところだったけど、
新里が出したパスが受け手の菅野との意思が合わずにルーズボールとなり、
盛岡の選手にカットされると、右サイドからカットインしたモレラトに豪快に脚を振られ、
前半8分という早い時間帯に先制点を献上してしまった。

パスが合わなかったのは仕方ないにしても、
モレラトがシュートを打つ場面ではU-23の選手は3人寄せていたので、
誰か1人が体を投げ出してでもブロックに行って欲しい場面だったね。

早い時間帯に失点を許したU-23だったけど、その後は立て直し、
芝本を中心にボールポゼッションを高めて盛岡のゴールに迫ったものの、
如何せん前線が坂本と中村仁郎の高校2年生コンビでは馬力不足。

シュートは本数こそ打っていたものの、
筋骨隆々な盛岡のバックラインに体を寄せられてバランスを崩す場面が多く、
良い体勢で打てたシュートというのは、
坂本と中村仁郎でそれぞれ1本ずつぐらいじゃなかっただろうか。

同じユニフォームの中でも別れる明暗

そうは言っても、この試合のベンチには攻撃の選手が1人もいなかったので、
スタートのメンバーで盛岡からゴールを奪わなければいけないわけだったのだけど、
そんな中、1人で気を吐いたのが塚元大。

先週、アウェイでの八戸戦でもゴラッソを決めた19歳は、この試合でも、
右サイドからカットインしてクロスバー直撃の強烈なシュートを放っただけでなく、
フィジカルに長けた盛岡の選手を引きずってドリブルで前にボールを運ぶなど、
獅子奮迅のパフォーマンス。

ただ、八戸戦後のブログでも書いたけど、塚元がいるべきはJ3のピッチじゃない。

この日、埼玉スタジアムで行われたトップチームの試合では、
川﨑と唐山が同時にピッチに立っていたけど、
能力的に、ここに塚元が加わっていても遜色はないと思うんだけどね。

そんな塚元の奮闘を結果に結びつけたかったところなのだけど、
結局、最後まで盛岡のゴールを割ることが出来ず。

守備陣は、オーバーエイジの三浦が前半でベンチに退いても、
交代で入ったタビナスをはじめ、全員が集中してゴールを守ることが出来たけど、
本来、攻撃でチームを牽引すべき立場であるはずのオーバーエイジの高木は、
右WBで出場したこの試合でも仕事が出来ず、
後半8分に村上と交代させられてしまった。

自分で仕掛けても良い場面でもパスを選択したりと、消極的なプレーが目立ったし、
結果が出ていないことで自信を無くしてしまっているのだろうか。

一度、自分の過去のプレー映像でも見返すなどして、
ヴェルディや山口でプレーしていた頃の、
突貫小僧のようなプレースタイルを思い出して欲しいのだけども。

たかが5試合されど5試合

21節の富山戦で勝利して以来、すっかり勝利から見放されているU-23。

まあ、ケガ人の増加に伴いトップチームに帯同する選手が増えているので、
シーズン開幕当初のチームに比べると随分と様変わりしていることもあり、
難しい試合を強いられるのは必然と言えば必然。

しかしながら、シーズン開幕当初に何度も書いた言葉ではあるけど、
U-23チームとは言えプロである以上結果にこだわって試合に臨んで欲しい。

ましてや、U-23は今季で活動停止するため、チームとしても残りの試合はあと5試合。

たかが5試合かもしれないけど、
その5試合が今後のサッカー人生が大きく左右されるかもしれないので、
悔いのないように残り約1ヶ月となった今季の戦いに臨んで欲しいね。

ガンバ大阪U-23 0−1 いわてグルージャ盛岡
’8 モレラト