【明治安田生命J1リーグ28節 浦和レッズvsガンバ大阪】ガンバが浦和に勝つのは秋の風物詩です
チャームポイントは空気を読まないことです
土曜日に行われた試合で川崎が大分に勝てば優勝決定だったのだけど、
谷口の退場&PK献上が響き、よもやの敗戦を喫したことで、
優勝の行方は日曜日の浦和とガンバの試合結果に委ねられることに。
ガンバが浦和に引き分け、もしくは負けだと、
川崎の優勝が決まるという条件だけど、
川崎とすれば25日に行われる等々力でのガンバとの直接対決に勝利し、
ホームの観客の前でシャーレを掲げたいはず。
しかしながら、長年、ガンバ大阪のサポーターをやっていて思うのが、
我々は良い意味でも悪い意味でも空気を読まないからね。
奇しくも今節と同じ11月22日に行われた、
6年前の埼玉スタジアムでの浦和戦のように、
優勝を待ち望んでいるサポーターの前で勝利を収め、
ホームスタジアムを静まり返らせる可能性だって十分あるし。
ただ、空気を読まないという意味では、ガンバが浦和に勝つことが出来ず、
J1史上初めて試合が無い日に優勝を決定させてしまう可能性もあるわけで、
ガンバサポとしては後者にならないことを祈るばかりだった。
お互いに流れを掴み切れない前半
前節の仙台戦の大敗を受けて、メンバーの変更はあるだろうなと思っていたけど、
宇佐美とキムヨングォンの復帰は想定通りとして、
山本と矢島でダブルボランチを敷いてきたのは驚いた。
2人ともゲームメイカータイプのボランチなので、
中盤の守備の強度が気になるところ。
また、左SBが福田ではなく藤春だったのは、
対面のマルティノスのスプリント力対策ということだったのだろう。
この試合が最初に動いたのは、
レオナルドがDFラインの裏へ抜け出した興梠にパスを送り、
その興梠にキムヨングォンが後ろからチャージした場面。
笛が鳴らなかったので、キムヨングォンが先にボールに触れたのかと思ったけど、
VTRで見たらボールに触れずにがっつり興梠の脚を引っ掛けていて、
レッドカードを出されていても文句が言えないようなプレーだった。
もしこの前半の早い時間帯で10人になっていたら確実に試合が壊れていたので、
この試合を裁いていたのが家本主審だったことが幸いしたね。
対するガンバも攻勢に出たいところだったけど、
飲水タイム中に小野瀬が福田と交代になるアクシデントもあり、
イマイチ流れを掴み切れない。
昨季は、ゴールから離れたポジションにも関わらず8得点を挙げた小野瀬だけど、
過密日程にも関わらず酷使されすぎているせいか、
今季は明らかにプレーにキレがない。
今回の故障の原因が疲労の蓄積によるものなのかどうかはわからないけど、
もうちょっと上手く休ませながら使ってあげたかったなと思う部分はあるね。
その後も両者の攻防は続いたけど、試合展開に動きがあったのは、
宇佐美のCKを興梠がオウンゴールしそうになった場面ぐらいで、
全体的に動きの少ない前半だったように思う。
殴らせておいてからの…
川崎の優勝の行方云々抜きに、来季のACL出場圏内である3位以内、
今季の天皇杯出場圏内である2位以内を死守したいガンバは、
後半に何としても得点をしたいところだったけど、最初に試合を動かしたのは浦和。
ショートコーナーでマルティノスのCKを受けた山中が、
ファーサイドにいたトーマス・デンへピンポイントのクロスを送ると、
トーマス・デンが折り返したボールを槙野に決められ、先制点を献上。
槙野が喜んでいる顔を見るのは腹立たしいけど、
敵ながらデザインされた見事なセットプレーだったと思う。
先制を許した時点で後半の残り時間はアディショナルタイムも含めて30分少々と、
時間は十分に残されていたけど、
ここ数試合のガンバの得点力の乏しさを考えるとやや不安があった。
しかしながら、先制されてから4分後、
福田のシュートのこぼれ球を拾った宇佐美が、
西川の守るゴールのネットを揺らしてスコアを振り出しに戻すと、
後半36分に獲得したCKから山本→髙尾の関西学院ホットラインが開通し、
鮮やかにスコアをひっくり返してみせた。
J1初ゴールが貴重な決勝ゴールとなった髙尾は、
これまでの試合でも何度も得点チャンスはあったけど、
後輩の山本のお膳立てでようやく決めることが出来たね。
また、逆転勝利自体も気分が良いものだったけど、
この試合で同点ゴールを挙げた宇佐美や、ゲームキャプテンを務めた倉田を下げても、
髙尾や山本、奥野、川﨑、唐山といった若い選手たちで堂々と戦っているガンバに対し、
武藤や宇賀神といった”昔の名前で出ています”という選手に
未だに頼らざるを得ない浦和という構図は実に痛快なものだった。
シャーレは日本平で掲げてください
ガンバが浦和に勝利したことで、今節で川崎の優勝は決まらず、
優勝の行方は次節の等々力での直接対決に持ち越しへ。
まあ、数字上は可能性が残っているものの、勝ち点差や得失点差を考えると、
ここからガンバが逆転優勝を達成するなんてシナリオは、
少年漫画でも現実離れしすぎてボツになるだろうけど、
だからといって、目の前で優勝を決められるのも気分が悪い。
川崎は中3日、ガンバは中2日での試合と、コンディション面の不利もあるし、
浦和戦で痛めた小野瀬と藤春のケガの具合も心配ではあるけど、
川崎のサポーターにもうしばらく焦らしプレイを楽しんでもらうべく、
等々力から勝ち点3を大阪に持ち帰って欲しいね。
浦和レッズ1-2ガンバ大阪
’62 槙野智章
’66 宇佐美貴史
’81 髙尾瑠