【明治安田生命J1リーグ31節 ガンバ大阪vs柏レイソル】宇佐美の戦線復帰がJ1残留を約束するわけではないということ

王の帰還

先月、残留争いの大一番である神戸戦に敗れ、
自動降格圏の17位に順位を下げた我らがガンバ大阪。

そんな不振に喘ぐチームに、約7ヶ月ぶりに背番号39が帰って来た。

半年以上戦列を離れていた宇佐美に過度の負担はかけたくないというのが正直なところだけど、
パナスタで3年ぶりにチャントが解禁されるこのタイミングで戦線復帰してくることに、
運命めいたものを感じずにはいられない。

対戦相手の柏レイソルは現在6位と好調だけど、
5月にアウェイで対戦した時はガンバが勝利を収めているので、
今度はホームで再現を狙いたいところだ。

雲散霧消した先制ゴール

3年ぶりにホームサポーターのチャントで迎え入れられた青黒のスタメン11人は以下の通り。

前節の神戸戦のスタメンからパトリックが宇佐美に変わっただけで、残りの10人は同じ顔ぶれ。

また、今夏の移籍市場で獲得したものの、
移籍後のメディカルチェックで故障していることが判明し、
戦線離脱していた山本理仁がダワンに代わって今季初めてベンチに入った。

さすがの宇佐美でも7ヶ月も実戦から離れていたら感覚が鈍っているだろうなと思っていたけど、
2トップの一角でプレーしながら頻繁に中盤に降りてビルドアップに参加し、
機を見て自分でもミドルシュートでゴールを狙うその姿は、
僕が知っている宇佐美貴史そのものだった。

宇佐美を加えたビルドアップで序盤からボール支配率を高めたガンバは、
齊藤の浮き球のパスからレアンドロ・ペレイラがシュートを放つ場面を作り出すなど、
良い形で試合に入ることが出来たように見えた。

対する柏は、攻撃時はアンカーを置く3バックと言う、
宮本監督時代のガンバを思わせるような布陣を敷いているけど、
守備の時は両WBがディフェンスラインに下がり、
2トップの一角の細谷も中盤に下がって5−4−1の布陣でリトリートする戦い方を採用。

降格圏にいるガンバ相手に随分と慎重な戦い方をするんだなと思ったけど、
そんなFWにとってサポートが少ない状況でも仕事をするのが、
広島、清水、神戸と行く先々でガンバキラーとして鳴らしてきたドウグラスという選手。

左サイドから三丸が上げたクロスをゴール前でヘディングで合わせた場面では、
思わず「やられた!」と思ってしまったけど、
これは東口がスーパーセーブで凌いで難を逃れることが出来た。

その後も、お互いにチャンスはあるものの、
東口と佐々木の両軍のGKの活躍もあり、前半はスコアレスのまま終盤へ。

このまま前半は0−0で終えて後半に選手交代なども絡めて勝負かなと思っていたら、
前半44分に宇佐美が蹴ったCKがファーサイドにいた食野に届くと、
食野は対峙した古賀太陽を振り切って左足でシュートを放ち、ゴールネットを揺らしてみせた。

値千金の先制ゴール・・・と思ったら、
このシュートは食野が宇佐美のCKをトラップした時に手にボールが当たっていたと判断され、
ハンドの判定でノーゴールになってしまった。

ただ、山本主審は随分と自信満々にハンドの判定を下していたけど、
VTRで確認しても食野の手がボールに触れていると断定できなかったので、
一体何を根拠にこの判定を下したのか疑問なんですが。

また、この日の山本主審は、選手の進路の妨害となるようなポジショニングも多く、
選手が戦う相手を増やしているような印象すら受けたね。

東口1人で手繰り寄せた勝ち点1

お互いに選手交代無く迎えた後半。

宇佐美の直接FKがゴール右に外れた時は、後半も良い入りが出来たなと思ったんだけど、
どうやらこの日の宇佐美はこのFKで電池が切れてしまったようで、
その後は試合から消えてしまった。

まあ、もともと宇佐美はそんなにスタミナのある方ではないけど、
さすがにブランクが長ったこともあって、
テクニックの面では問題無くても試合を90分戦う体力は戻っていない感じだったね。

ただ、そんな宇佐美を後半28分までピッチに置いておくなど、
この日の松田監督は全体的に選手交代が遅かったように思う。

その後も、山本悠樹のクロスからペレイラがヘディングシュートを放つ場面は作ったものの、
宇佐美のガス欠により中盤でボールを持てなくなったガンバは、
柏に攻め込まれる時間が長くなってしまった。

特に後半22分、三丸のクロスからドウグラスと言う、
前半と同じような形でヘディングシュートを打たれた時は、
今度こそ「やられた!」と思ったけど、ここも東口が左足でシュートを弾き、
ゴールを守ってみせた。

そんな獅子奮迅の活躍を見せる東口の頑張りに攻撃陣が応えたいところだったのだけど、
宇佐美との交代で入ったパトリックや、ガンバの選手として初出場となった山本理仁らは、
試合の流れを変えることが出来ず。

反対に柏の交代選手の武藤には何度もシュートチャンスが訪れたけど、
ここも東口が立ちはだかり、スコアレスドローで決着。

今季も東口に救われた場面は何度もあったが、
昨季までと比べると神懸かり的なセービングが少なくなったなという印象を受けていたのだけど、
この日の東口は守護”神”そのものだった。

ガンバはこれまでも東口には頼りっぱなしだったけど、
ガンバがここから奇跡のJ1残留を達成するには東口の神通力は必要不可欠なので、
引き続きよろしく頼みます。

3じゃなきゃダメなんだよ

半年前だったら、こんな試合をしても「よく引き分けに持ち込んだ」と評価出来たけど、
自動降格圏に沈んでいる状況で勝ち点3を取り損ねたというのは、
痛恨という言葉だけでは表し切れない。

そんな悩めるガンバの次節の対戦相手は首位の横浜F・マリノス。

ここ2年は、ガンバが日産スタジアムで勝利を収めているというまさかの戦績が残っているけど、
マリノスは、ガンバ戦の結果如何で今季のJ1リーグ優勝が決まるので、
ホームの観衆の前で何が何でも勝ちに来るだろう。

ここのところガンバの中盤の要として存在感を放っている齊藤が、
累積警告で出場停止なのはかなり痛いけど、
石に齧りついてでも横浜から勝ち点を大阪に持ち帰って欲しいと思います。

ガンバ大阪00柏レイソル