【明治安田生命J1リーグ11節 ガンバ大阪vsセレッソ大阪】何の効果も生み出さなかったダービーという劇薬

絶対に勝つしかない戦い

カシマスタジアムでのショッキングな敗北から中3日、
我らがガンバ大阪は最悪のチーム状態でホームでの大阪ダービーの日を迎えた。

とは言え、2018年シーズン、そして翌2019年シーズンと、
2年連続で最悪のチーム状態でダービーを迎えたけど、
いずれも大観衆のパナソニックスタジアム吹田で勝利を収めていることからも、
ダービーにチーム状態は関係無いと言える。

チーム状況を好転させるためにダービーという劇薬に縋るしかないというのは、
情けないことではあるけど、
二度ある事は三度あるとばかりにホームでピンクを蹴散らして欲しい。

何度も目にした先制点の光景

ダービーに向けて「何も変える必要がない」と語っていたポヤトスが、
吹田のピッチに送り出した青黒の11人は以下の通り。

前節の鹿島戦のスタメンから髙尾と杉山が外れ、半田と食野を起用してきた。

まあ、ここ数試合の杉山のプレーが良くなかったのは事実だけど、
ポヤトスのサッカーにフィット出来ずにカップ戦要員に成り下がっていた食野を、
あえてこの大一番でスタメン起用し、さらにベンチに石毛ではなく倉田を置いたのは、
下部組織出身者はこの試合に燃えるものがあると踏んだのだろうか。

試合は、序盤から激しいコンタクトプレーが目立つなど、
これぞダービーという熱を持って立ち上がる。

ここ数試合のガンバは、ポゼッションとは名ばかりで、DFラインでのパス回しに終始し、
なかなかボールが前に進まないという展開が多かったけど、
この試合では、DFラインからシンプルに前線に長いボールを送る場面が多く、
いつもより縦への意識が強いように見えた。

ただ、アタッキングサードに進入する場面はありながらも、
判断の遅さや強引さが足りずにシュートチャンスに繋がらない場面が多く、
決定機らしい決定機はポストを叩いた宇佐美のFKぐらいだっただろうか。

対するセレッソもチャンスを作れずにいたのだけど、
左サイドの山中を起点に中央の奥埜を経由して右サイドの松田にパスが繋がると、
松田のクロスをレオ・セアラにヘディングで決められ、前半28分に先制点を献上。

2019年の長居でのダービーでブルーノ・メンデスに許した先制ゴール以降、
セレッソはガンバ攻略法として、
左右に大きく揺さぶってからクロスという攻撃を多用してくるけど、
ガンバの選手たちは何も学習していないのか、また同じ形でやられてしまった。

とは言え、まだ前半は15分以上残っていたので、
スコアを振り出しに戻してハーフタイムを迎えたいところだったけど、
ビハインドを背負っているにも関わらずガンバの選手たちのギアは上がらないまま、
前半終了の笛を聞くことになってしまった。

またしても繰り返した試合終了間際の悪夢

後半に逆転を期すガンバは、
食野のパスを受けた宇佐美が左サイドの深い位置からグラウンダーで折り返すと、
これをニアでジェバリがスルーし、後ろにいたドフリーのダワンが決めて、
後半11分にガンバがスコアを振り出しに戻すことに成功。

横浜FC戦に続いてジェバリのスルーから得点に繋がったけど、
そろそろジェバリの得点を見たいと思っているのは僕だけじゃないはずだ。

ところが、同点になった直後、競り合いで奥埜の指が食野の目に当たり、
食野が山見と交代になるアクシデントが発生。

この試合での食野のパフォーマンスは良いとは言えなかったけど、
悔しさのあまりベンチで涙を流す食野の姿を見て、
「この熱さがあれば、逆転することも可能だ」と思わざるを得なかったね。

その食野の気持ちが乗り移ったのか、そこからはガンバが試合の主導権を握り、
キム・ジンヒョンの守るゴールに攻め立てる時間が続くも、
何度セットプレーのチャンスを得ても宇佐美のキックは誰かに合いそうな気配も無く、
交代で入った山見もアラーノやジェバリとプレーの意図が合わない場面が目立つ。

そんな状況を打破すべく、ポヤトスはダワンに代えて倉田を投入し、
数々のダービーでの勝利を知る10番に勝敗の行方を託す。

その倉田はCKを得た後、ホームゴール裏を煽ってゴールへの機運を高めようとするなど、
ベテランらしくスタジアムの雰囲気を味方につけようと振る舞うも、
その先に待っていたのは悪夢だった。

後半もアディショナルタイムに入ろうかという時間帯に、
得点を奪いに前がかりになったところでカウンターを食らうと、
山中のクロスを加藤に決められ、ジ・エンド。

思えば、昨年の吹田での大阪ダービーも、
試合終了間際にカウンターからジェアン・パトリッキに決勝ゴールを許したっけ。

いつから大阪ダービーはお隣のピンクを喜ばせるためのイベントになったのだろうか。

選手たちは、ガンバの勝利を期待してスタジアムを埋め尽くした観客が、
肩を落としてスタジアムを後にする光景から何かを感じて欲しいね。

退路を絶って豊田へ向かえ

ダービーは内容度外視で結果を求められるというのは、
スペイン出身のポヤトスなら理解できるはずだと思うんだけど、
試合後に「内容は良かった」なんて言っているのを聞いて呆れてしまった。

今季はじっくりと時間をかけてポヤトスのサッカーを浸透させる年だと割り切っていても、
さすがに11試合を終えて1勝4分6敗という成績に擁護できる余地は無く、
ポヤトス解任論が出てもやむなしという状況だろう。

そんな状況で迎える次節の対戦相手は好調の名古屋グランパス。

長谷川健太のチームがこの手のポゼッションスタイルのチームを得意としていることは、
かつて同監督の下で栄光を味わったガンバサポーターにわざわざ説明するまでも無いけど、
だからと言って戦わずして負けを認めるわけにはいかない。

ポヤトスもガンバの選手たちも、この試合を落としたら後は無いぐらいの気持ちで、
トヨタスタジアムから勝ち点3を持ち帰って欲しいと思います。

ガンバ大阪12セレッソ大阪
’28 レオ・セアラ
’56 ダワン
’90 加藤陸次樹