【明治安田生命J1リーグ14節 ガンバ大阪vs横浜F・マリノス】四半世紀ぶりに5つ並んだ黒星

スタイルの構築を取るかJ1残留を取るか

浦和サポーターの「J2大阪」コールを背に埼玉スタジアムを後にした一戦から中5日、
大型連休の大阪ダービー以来となるホームゲームに、
昨季のJ1リーグチャンピオンである横浜F・マリノスを迎えた。

おそらくガンバのフロントは、堅守速攻スタイルから脱却し、
ポゼッションサッカーでJ1リーグの覇権を取ったマリノスの二匹目のドジョウを狙って、
ポヤトスを招聘したのだろうけど、ポゼッションサッカーの浸透が進むどころか、
ここ2試合はボールを持つことを放棄する戦いに終止したうえ試合にも勝てず。

スタイルの構築のために結果が出ていなくても我慢してきたけど、
ポゼッションサッカーをやらないのであれば監督はポヤトスじゃなくてもいいわけで。

ガンバの選手たちが、まだポゼッションサッカーにチャレンジしたいという意思があるなら、
この試合でマリノスの選手たちがどういう風にプレーしているのかを見て、
今季の序盤に出来ていたプレーを思い出してくれればいいのだけど。

戦い方のプランはいくつある?

ゴール裏のサポーター連合がこの試合の応援を放棄したことで、
いつもと雰囲気が違うパナソニックスタジアム吹田のピッチに送り出された青黒の11人は以下。

家庭の事情で一時帰国していたネタ・ラヴィが、
山本理仁に代わってアンカーのポジションに入ったのは予想通りだし、
マリノスが相手ということで守勢の時間帯が長くなることを想定して、
左インサイドハーフに石毛を起用したのも納得だけど、
ここに来て今季初めて倉田と佐藤をスタメン起用してきたのには驚いた。

特に佐藤に関しては、昨季所属した仙台からレンタルバックされてきたものの、
ポヤトスのやりたいサッカーと佐藤のプレースタイルがマッチせず、
移籍先も見つからなかったので仕方なく今季もガンバに所属しているものと思っていたからね。

試合の方は、序盤からガンバのマンツーマン気味の前線からのプレスがハマり、
短いパスと長いパスを使い分けてマリノスのDFラインの裏へ効果的なアタックを繰り返すなど、
良い試合の入り方が出来たと思う。

しかしながら、ジェバリのシュートが枠を捕らえられず、得点を上げるまでには至らない。

すると、マリノスが選手のポジションのローテーションや、
対角線のロングフィードを多用することでガンバの前線からの守備の狙いを外しはじめると、
徐々にマリノスに試合の主導権が傾いていく。

さすがの戦術の引き出しの多さを見せるJ1のディフェンディングチャンピオンは、
自分たちの時間帯で得点を忘れるなんて稚拙なことはせず、
前半37分、永戸のCKを西村が沈め、先制点を奪ってみせた。

西村のマークには半田がしっかりついていたけど、
その半田のマークをモノともせず東口の届かないコースへヘディングを飛ばした技術は、
敵ながら見事だったと思う。

1点ビハインドになったガンバは、前半のうちに反撃の狼煙をあげることが出来ないまま、
前半終了のホイッスルを聞くことになってしまった。

悪い時は判定も運も味方につかない

後半に逆転を期すガンバだったけど、
なぜか後半に入って存在感を増したのは木村博之主審。

アラーノが畠中に足の裏を見せたタックルを見舞われるも、
このプレーに対し畠中に出たのはイエローのみという不可解判定に始まり、
さらにその7分後には、ジェバリのクロスがエドゥアルドの足に当たった後に手に当たるという、
6日前に埼玉スタジアムで福岡がPKを取られたシチュエーションと同じプレーが起きるも、
なぜか今回のエドゥアルドのプレーはPK無しという判定で、反撃ムードに水を差されてしまう。
(まあ、そもそもジェバリはあのクロスをDFにぶつけないで欲しかったけど・・・)

その直後に松原がこの日2枚目のイエローを貰い、ガンバが数的優位に立つことが出来たけど、
マリノスがポジションの修正に追われている間に訪れたチャンスも、
ダワンのヘディングシュートは飯倉の正面を突き、得点に至らない。

この状況を打破すべく、ポヤトスは倉田と石毛に代えて宇佐美と福田を投入し、
攻勢を強めようとしたけども、皮肉も次にスコアを動かしたのはアウェイチーム。

アンデルソン・ロペスがカウンターで自陣から1人で持ち上がって得たFKを、
永戸に直接決められ、1人少ないマリノスに痛恨の2点目を献上。

先日、Jリーグ30周年企画のベストゴールFK部門で、
中村俊輔がマリノス時代にパナスタで決めたゴールが最優秀賞に選ばれていたけど、
パナスタはマリノスの選手にとって直接FKを決めやすいスタジアムなんだろうか?

2点ビハインドになってからアラーノに代えて鈴木武蔵を投入するも、
二度決定機を迎えるもいずれも決めることが出来ず、タイムアップ。

25年ぶりの5連敗となった今節の敗戦は、ゴール裏のゴタゴタも相まって、
いつも以上に後味の悪いものとなってしまったね。

成功者は日本海側にもいる

次節は新潟とのアウェイゲーム。

新潟は、現・FC東京監督のアルベルの下、今のガンバのようにスタイルの構築に取り組み、
J2時代に構築したポゼッションサッカーで現在のJ1を戦っているので、
言わばガンバがやりたいことに成功しているチームとも言える。

ただ、新潟は現在のスタイルの構築に行き着くまでにJ2で5年の月日を過ごしていることを思うと、
J1に残りながらスタイル構築に取り組んでいるガンバは、
非常に困難なミッションに挑んでいるということを再認識させられる。

とは言え、スタイルの構築にこだわるあまりJ2に降格してしまっては元も子もないので、
今季のスタイル構築は諦めてJ1に残留するためのサッカーにシフトするのか、
見極める時期が近づいていると思う。

17位との勝ち点差が1勝以上に広がってしまった今、
少なくともポヤトスサッカーの完成を目にするためには、
次の週末のビッグスワンで連敗を止めることがマストだろう。

ガンバ大阪02横浜Fマリノス
’37 西村拓真
’79 永戸勝也