【全国高校サッカー選手権大会 2回戦 東福岡vs尚志】あまりにも早く墜落した赤い彗星
この戦いに格上と格下は無い
福岡県の東福岡高校と言えば、高校サッカーファンにとってはお馴染みの高校だ。
90年代半ばから後半にかけて高校サッカー選手権連覇を含め、
公式戦で2年間無敗という圧倒的な強さを誇り、
赤いユニフォームを纏った選手たちは、”赤い彗星”と呼ばれるなど、
全国のライバルたちから畏怖される存在になった。
そんな東福岡と相対するのは福島県の尚志高校。
学校名だけで対戦すれば東福岡が圧勝するだろうけど、
今季、プリンスリーグ東北を制し、
来季からプレミアリーグEASTへの昇格が決まっている尚志は、
決して東福岡から見て格下の相手ではない。
実際、この試合で尚志が東福岡に対して見せた戦いは、
決して弱者のものではなく、同じ土俵の上で堂々と渡り合うものだった。
赤い彗星に感じた寂寥感
タッチライン一杯に広がった両翼から繰り出すサイドアタックというのが、
東福岡の代名詞だ。
ところが、この試合で東福岡に決定機が訪れるのは、
途中出場のモヨマルコムが繰り出すロングスローの時ぐらいで
ストロングポイントであるサイドアタックは尚志に封じられ、
流れの中からほとんどチャンスを作り出すことが出来なかった。
尚志の1点目はオフェンスのファウルを取られていてもおかしくなかったし、
後半にも尚志のハンドが見逃されるなど、不運な判定があったけど、
負けるべくして負けた前後半80分の戦いだったように思う。
一時代を築いた赤いユニフォームが早々と選手権のピッチから去っていくのは、
一抹の寂寥感がある。
国学院久我山に勝利し選手権を制した3年前のような戦いが、
また選手権のピッチで見られることを期待している。
プレミアEAST昇格の実力はフロックではない
持ち味を出せなかった東福岡に対し、
尚志は坂下と大川のダブルボランチが中盤を支配。
セカンドボールを回収し続けるポジショニングの良さも然ることながら、
攻撃面でも前線やサイドへ精度の高いパスを供給し続け、
尚志という船の舵取りとして頼もしすぎる働きぶりだった。
試合後のインタビューで尚志の仲村監督が、
「4-4-2のバランスを意識しながらチームを作ってきた」と言っていたけど、
そのバランスを司っているのがこのダブルボランチであることは間違いないだろうね。
3試合目と2試合目が交わる3回戦
尚志の次戦の対戦相手は前橋育英。
前回大会の王者は宇和島東相手によもやの苦戦を強いられていたので、
一見、付け入る隙はあるように思えるけど、厳しい戦いになることは間違いない。
と言うのも、1回戦から試合をしていて次戦が3試合目の尚志に対し、
1回戦をシードされている前橋育英は次戦が2試合目。
さらに尚志は、1回戦で神村学園、2回戦で東福岡と、
2試合続けてタフな相手と対戦しているので、
身体的な負荷を考慮すると、前橋育英有利と言わざるを得ない。
ただ、ここで前橋育英を破ることが出来れば、
一気に埼スタのピッチも見えてくるだろう。
明日の浦和駒場スタジアムで新進気鋭の東北の勢力の力が試されることになる。
東福岡0–2尚志
’31 坂下健将
’74 高橋海大