【全国高校サッカー選手権静岡県大会 決勝 静岡学園vs富士市立】あまりにもあっけなく決着がついた頂上決戦

サッカー王国の代表校を決める戦い

例年、高校サッカー選手権の地区予選の決勝は、
千葉県大会の決勝を見に行くのがここ数年の慣習だったのだけど、
今年はガンバの試合と時間が被っているので断念。

その代わりと言ったら何だけど、
今年は少し足を伸ばして静岡県大会の決勝を見にエコパスタジアムまで行ってきた。

サッカー王国・静岡を代表する名門と称されながらも、
ここ数年は選手権の舞台から遠ざかっている静岡学園と、
今季、プリンスリーグ東海に初昇格し、今大会も決勝まで勝ち進んできた新興勢力の富士市立。

両校とも攻撃面に特徴のあるチームだけに
面白い試合が見られるんじゃないかと期待していたのだけど、
隣のエコパアリーナで開催されていた
LDHLANDに行った方が満足できたんじゃないかと思うほど、期待ハズレな試合だった。

富士市立の左サイドを制圧した静学の10番

富士市立ボールのキックオフで始まったこの試合。

しかし、試合開始10秒も経たない間に、富士市立がビルドアップでミスを犯し、
静岡学園があっさりと先制。

得点者の松村優太という選手は、派手なフェイントは使わないものの、
ドリブルのスピードが速く、コースどりも非常に秀逸で、良い選手だなと思っていたのだけど、
それもそのはず来季から鹿島への加入が内定しているのだとか。

鹿島はこの手の色のついていない高校生を育てるのが上手いので、
静岡学園の10番がJリーグの常勝チームでどのように化けるのか見物やね。

勝つためにスタイルを捨てた静学と貫いた富士市立

プリンスリーグ東海での両校の直近の対戦は、4−3と打ち合いになっているので、
試合開始直後の1失点は許容範囲なのかなと思っていたら、
その後も揺れるのは富士市立側のゴールネットばかり。

同じカテゴリーに属している両校なので、実力的にはそこまで差は無いと思うのだけど、
結果的に大差がついてしまった要因はこの試合へのアプローチの違いだったのかなと思う。

全国行きの切符がかかった大一番だったけど、
富士市立は静岡学園の良さを消そうというような戦い方はせず、
低い位置からパスを繋ぎ、ドリブルで相手の守備陣形を撹乱させる、
いつもの自分たちのサッカーでこの試合に臨んだように見えた。

それに対し静岡学園は、ハイプレスで富士市立の低い位置からのパス回しをカットし、
手数をかけずにショートカウンターで多くのチャンスを作り出していた。

どちらかと言うと、普段の静岡学園のスタイルって、
富士市立と近いものがあると思うのだけど、この試合での静岡学園は、
事前に練ってきた富士市立対策をきっちりと遂行してきたように見えた。

静岡学園がハイプレスを仕掛けてくるのであれば、
ミドルレンジ、ロングレンジのパスを使って、
薄くなった後のスペースへボールを送るという選択肢もあったと思うけど、
富士市立の選手たちはそこまで臨機応変な対応は出来ず、
最後まで自分たちのスタイルにこだわって、静岡学園に一方的に攻め続けられてしまった。

とは言え、富士市立の選手たち個々のボールを扱うスキルは高いと思ったので、
最適な策を授ければこんなワンサイドゲームにはならなかったと思うだけに、
もったいないと言うか、残念な試合だったね。

今年こそ王国の復権なるか

サッカー王国・静岡と上述したけど、静岡の高校が選手権で勝てなくなって久しく、
Jリーグに目を向けても清水や磐田は残留争いに巻き込まれている。

そんな状況でサッカー王国と称するのは憚るところもあるのだけど、
11人対11人で1つのボールを追いかけるこのスポーツが、
これだけ老若男女に愛されている地域は静岡だけだと思う。

それだけに、全国行きの切符を掴んだ静岡学園には、
静岡県勢ここにありと言うような戦いを見せて欲しい。

逆に敗れてしまった富士市立はサッカー部への強化を始めてまだ歴史の浅い高校なので、
この大敗を糧にして、また全国行きへ挑戦して欲しいと思う。

静岡学園61富士市立
’1 松村優太
’25 加納大
’33 小山尚紀
’34 小山尚紀
’39 進藤克樹
’50 加納大
’67 小山尚紀