【全国高校サッカー選手権大会 準決勝 山梨学院vs帝京長岡】成人の日の埼スタに駒を進めたのは…
その無観客に意味はあるのだろうか
大晦日に開幕した高校サッカー選手権大会もこの日が準決勝。
学校関係者と選手の保護者に限定して観戦が許可されていた今大会だけど、
先日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
1都3県に緊急事態宣言が発出されたことを受け、
準決勝から無観客での開催に。
可能であれば大勢の観客の前でプレーさせてあげたかったけど、
2020年度は学生のスポーツ大会が次々に中止となる中、
ここまで棄権する高校が1校も無く大会を完走出来る見込みというだけでも、
一定の成果を挙げたと言えるかもね。
ただ、スタジアムでの観戦は出来なくなったけど、
学校の体育館などで生徒や生徒の保護者が集まって応援しているのであれば、
スタジアムを無観客にした意味があまり無いように思うのは僕だけだろうか。
屋外のスタジアム観戦よりも、屋内の体育館観戦の方が、
どう考えても感染リスクが高い気がするんだけども。
かつて手にした深緑の優勝旗
前回大会準優勝の青森山田に加え、
帝京長岡と矢板中央も前回大会に続いてベスト4に進出するなど、
近年の同大会で結果を残しているチームが、
順当に勝ち上がってきているなという印象を受ける中、
優勝候補の一角と目されていた昌平を準々決勝で降し、
山梨学院がベスト4に進出したのには驚いた。
88回大会で初出場初優勝という離れ業をやってのけた山梨学院だけど、
それ以降は2018年のインターハイ優勝はあるものの、
高校サッカー界に於いてそこまで存在感があったわけではなかったからね。
それに対し、帝京長岡は、
準々決勝で内容の伴ったサッカーで市船を降してきているので、
個人的には帝京長岡有利と見ていたのだけど、
キックオフの笛の余韻も残る前半21秒で山梨学院が先制したのだから驚いた。
ポストを叩いたこの試合のファーストシュートも見事だったけど、
その後、立て続けに2本目、3本目のシュートを放ち、
3本目のシュートで得点を挙げたあたり、キックオフして間もないのに、
よくあそこまで前線に詰めていたなと思ったね。
1点ビハインドを背負った帝京長岡は、ストロングポイントである
フットサル仕込みのパスワークとドリブルで試合の主導権を握ろうとするも、
前線から奪いに来る山梨学院の守備を前に、
なかなかチャンスを作ることが出来なかったね。
準々決勝に続いて輝いた帝京長岡のエースナンバー
帝京長岡の古沢監督は、トップの位置でスタートした酒匂を、
右のサイドハーフやサイドバックにポジションを変えるなど、
選手の配置を変えて状況を打開しようとするも、
後半開始早々にロングスローから一瀬に決められ、
2点ビハインドを背負ってしまった。
その後も帝京長岡は、ボールは保持するもののチャンスを作れず、
難しい時間を過ごしていたけど、そんな中、帝京長岡に流れを持ってきたのは、
準々決勝の市船戦でも抜群の存在感を発揮していた14番川上。
後半14分に3列目からDFラインの裏へ飛び出すと、
後ろから来たボールを見事にコントロールして、
ニアポストの天井を打ち抜くテクニカルなシュートを決めて1点を返すと、
後半33分にはPKを決め、試合を振り出しに戻してみせた。
同点ゴールをもたらしたPKの場面は、
非常にプレッシャーがかかる場面だったと思うけど、
そんな状況でパネンカを披露してゴールネットを揺らすあたり、
相当な強心臓の持ち主だなと思わされたね。
山梨学院としては、優位に試合を進めながら、
後半に立て続けに失点して主導権を手放し、同点に追いつかれてしまったけど、
ずるずる行きそうな雰囲気の中、勝ち越しゴールは許さず、
PK戦にまで持ち込んだのには意地を感じられたね。
PKは時の運と言うけども
PK戦に委ねられた勝敗の行方だけど、
PK戦は往々にしてそれまでの戦いで押されていた側が有利と言われることが多い。
この試合も例外には当てはまらず、
後半に同点となってから守勢を強いられた山梨学院のGKの熊倉が、
帝京長岡の1人目のキッカーの川上のPKを止めて流れを持ってくると、
帝京長岡はその後PKを2本失敗。
対する帝京長岡の1年生GKの佐藤も、
山梨学院のPKを2本ストップするなど奮闘したけど、
結果、3-1で山梨学院が決勝に進出することになった。
第2試合で青森山田が矢板中央を0-5の大差で降して決勝進出したため、
成人の日に行われる決勝戦のカードは山梨学院vs青森山田。
どういう巡り合わせか知らないけど、山梨学院が選手権で優勝を飾った、
88回大会の決勝と同じ顔合わせになったね。
ただ、ここまでの青森山田の戦いを見ていると、
矢板中央のようにシンプルに蹴ってくるチームよりも、
帝京大可児や昨年度の決勝で対戦した静岡学園のように、
後ろから繋いでくるスタイルのチームを苦手にしている感がある。
どちらかというとシンプルにサッカーする山梨学院よりも、
後ろから繋ぐスタイルの帝京長岡が決勝に行ってた方が、
青森山田に勝てる可能性は高いんじゃないかと思っているのだけど、
88回大会も青森山田が絶対有利と言われながら山梨学院が優勝したし、
こればっかりはやってみないとわからないしね。
なんにせよ、11日は、コロナ禍の鬱屈とした雰囲気を吹き飛ばすような、
良い試合が見られることを期待したいね。
山梨学院2-2帝京長岡
PK(3-1)
‘1 石川隼大
’50 一瀬大寿
’69 川上航立
’78 川上航立