【明治安田生命J1リーグ12節 鹿島アントラーズvsガンバ大阪】良き好敵手よ、また会おう

2020年11月1日

ダンケ、ウッシー

今節の鹿島戦の前に突如として発表された内田篤人の現役引退。

中盤の選手と絡んでサイドバックがゲームメイクに参加するというプレーは、
今でこそ世界的なスタンダードになっているけど、
タッチライン際を上下動することがサイドバックの仕事だとされてきた時代に現れた
内田篤人という選手は、日本サッカー界の常識に新風を吹き込んだものだった。

個人的にも、7年前にドイツを旅行した際に、
内田が出場していたシャルケvsドルトムントの
レヴィアダービーをフェルテンスアリーナで観戦したことは、
僕のサポーター人生に於いても重要な1ページになっている。

ただ、引退発表するタイミングはガンバ戦の前で良かったのかなとも思う。

なぜならガンバって、相手チームの○○周年記念試合や、
試合後に選手の退団セレモニーが控えているという試合で、
空気を読まずに勝ってしまうことが多いからね。

プラン通りだったのか結果的にこうなったのか

今季のガンバは、DFラインから繋ぐサッカーを志向しているけど、
この試合では今季のリーグ戦では初めてパトリックを先発起用したこともあってか、
中盤を省略してパトリック目掛けてロングボールを蹴り込む場面が多かった。

対する鹿島は、今季からザーゴ監督の下で、
ポゼッションスタイルのサッカーを志向していることもあり、
必然的にホームチームの鹿島がボールを握る試合展開になった。

しかし、そんな試合展開にも関わらず先制点を奪ったのは、
キックオフからほとんどの時間を守備に費やしていたガンバ。

左サイドの裏を取った倉田がグラウンダーのマイナスのクロスを送ると、
中央の宇佐美には合わなかったものの、ファーに流れたところを小野瀬がGET。

シュートコースはボール1つ分の幅しか無かったと思うけど、
そこを見事に撃ち抜いたシュートの技術は見事だったね。

ただ、1点だけでは心許ないので、早めに追加点を奪いたいところだったけど、
同点に追いつくべくさらにポゼッション率を高めて攻勢を強める鹿島に対し、ガンバは防戦一方で、
たまにマイボールになってもパトリック目掛けたロングボールは簡単に跳ね返されるばかり。

なんだか長谷川健太時代末期のガンバを見ているかのような試合展開だったけど、
そんな長谷川健太時代のガンバでも3冠を獲得した2014年シーズンは、
宇佐美とパトリックの2人だけで攻撃を完結できたものだけど、
今の2人のプレーに当時のようなキレは無く、あんな時代もあったよねと寂寥感を覚えてしまう。

DAZNで解説を務めていた岩政は、攻撃を捨てて守りに徹するガンバに対し、
「この試合のガンバのプランだ」というのを強調していたけど、
試合後の宮本監督のインタビューを聞く限り、
ここまで割り切った戦い方にするつもりじゃなかったようにも聞こえた。

今まで宮本監督がパトリックをスタメンで起用しなかった理由って、
パトリックが前線にいると否応にも”戦術パトリック”になってしまい、
選手が後方からのビルドアップを放棄してしまって、
この試合のようになる危険性があるからという考察は邪推だろうか。

ガンバの牙城を崩したこの試合の主役

後半に入っても、相変わらず東口の守るゴールにはひっきりなしにシュートが飛んでくるのだけど、
東口だけでなく、三浦、昌子、キムヨングォンの3バックも非常に集中した守りを見せていた。

昌子にとっては、ガンバ加入後初めての古巣対戦になったわけだけど、
鹿島のサポーターに「やはり昌子っていい選手だね」と再認識してもらえるプレーは、
出来ていたんじゃないかな。

そんな守備陣の奮闘により、
1点リードを保ったまま後半アディショナルタイムまでこぎつけることが出来たのだけど、
荒木が左サイドからあげたクロスを、オーバーラップしてきたCBの犬飼に決められ、
土壇場で勝ち点2を落としてしまった。

ボールウォッチャーになって後方から入ってくる犬飼に全く気が付かず、
3試合連続で失点に直結する場面に登場することになってしまった藤春には、
文句の一つや二つは言いたいところだけど、その中でも目を引いたのが、
この犬飼の得点の場面で左サイドへ展開したのは右SBの内田篤人だったこと。

この試合の鹿島のスタメン右SBは広瀬だったのだけど、
前半16分という早い時間帯で、まるで空気を読んだかのように負傷交代すると、
ピッチに現れた鹿島の背番号2。

予定していたよりも長い時間のプレーになったはずなのに、
そのプレーは、まだまだやれるんじゃないかと思わせるものだった。

ただ、右ひざに巻かれた痛々しいテーピングを見る限り、この試合で見た内田のプレーは、
蝋燭の火が消える前に、一瞬、火が大きくなる現象と似たものだったのかもしれない。

ガンバ大阪のサポーターの僕は彼のキャリアをずっと見てきたわけでは無いので、
あんまり軽々しく語るのもどうかというところはあるけど、
チャンピオンズリーグでベスト4まで勝ち上がったドイツでの経験、
再起不能と言われた大ケガを乗り越えてピッチに戻った経験、
それらをこれから始まるセカンドキャリアで日本サッカー界に還元していって欲しいと思う。

再浮上希望

ついこの間まで2位につけ、
「例年はスロースターターなのに今季はスタートダッシュが上手くいったね」
なんて言っていたのに、浦和に負け、鹿島に引き分けたことで、
気が付いたらいつもと同じ中位のポジションまで落ちてきてしまった。

この悪い流れを食い止めるべく、次節対戦する相手はFC東京。

久しぶりにブログで長谷川健太の話を出したタイミングで対戦するなんて、
どんな因果かとも思うけど、ホームでは割と相性の良い相手なので、
試合までの中5日で良い準備をして、
ここ最近当たりが止まっているFW陣の得点で勝ち点3を上積みしたいところやね。

鹿島アントラーズ11ガンバ大阪
‘6 小野瀬康介
’90+5 犬飼智也