【明治安田生命J1リーグ22節 川崎フロンターレvsガンバ大阪】川崎相手にシーズンダブルって本当ですか?!

良い流れは8月も続くか

15節の新潟戦から21節の柏戦までの7試合を6勝1分で駆け抜け、
夏のリーグ中断期間を迎えた我らがガンバ大阪は、
中断明けの初戦で川崎フロンターレとのアウェイゲームに臨んだ。

山本理仁と谷がベルギーのクラブに移籍したにも関わらず、
中断期間中に行った補強は水戸から唐山をレンタルバックしただけで、
名古屋が広島の森島、鹿島が甲府の須貝といった主力級を引き抜いているのと比べると、
物足りなさを感じるのが正直なところ。

また、ガンバは試合間隔が詰まっている方が良い試合をすることが多いので、
セルティックとの親善試合から2週間試合間隔が空いているという点は懸念材料ではあるけど、
ポヤトスがこの2週間で川崎に勝利するための術を落とし込んでくれていることを期待したい。

シーズンダブルへ向けて視界良好

土佐の地で高知ユナイテッドの挑戦を退けた川崎との一戦に臨むにあたり、
等々力のピッチに送り出された11人は以下の通り。

食野が起用されると思われた左のウイングに石毛が入ったのは、
対面の山根のケアを考えてのものだろうか。

また、この試合のスタメンを予想するにあたり、
最大の論点だった累積警告で出場停止の黒川の代役は藤春が担うことに。

今季ほとんど試合に絡めていない藤春が、
対面の家長と山根を抑えられるのか心配だったのだけど、
この日の川崎で目を引いたのは逆サイドのマルシーニョ。

対面の髙尾を何度もドリブルでぶっち切ってチャンスメイクするなど、
本当に故障明けなのかと疑いたくなるパフォーマンスで、
いつ川崎に先制点が入ってもおかしくないような展開が続く。

ところが、そんな劣勢の試合展開にも関わらず、先に試合を動かしたのはガンバ。

アラーノが右サイドからアーリー気味に低いクロスを上げると、
ゴール前でクロスを合わせ損ねたジェバリがスルーしたような格好になり、
ファーに走りこんでいた石毛にボールが渡る。

左足でシュートを打っておけばいいものを、利き足に持ち替えたものだから、
少し時間がかかってしまったかなと思ったのだけど、
石毛のシュートはポストを跳ねてゴールマウスに吸い込まれていった。

その後、登里のロビングのパスを受けた脇坂に見事な反転シュートを決められ、
スコアを振り出しに戻されてしまうも、
その直後に石毛がペナルティエリア内でシミッチに倒されてPKを奪取。

このPKをジェバリが決めてすぐさまガンバが突き放した。

この日の髙尾はマルシーニョとのマッチアップでは終始後手を踏んでいたけど、
1点目のアラーノをフリーにするオーバーラップだったり、
2点目の石毛のPK奪取につながったパスと言い、
攻撃面での貢献はまずまずだったので、評価が難しいところだな。

前半終了間際には川崎のディフェンスラインでのパス回しのミスにつけ込んだアラーノが、
GKのチョン・ソンリョンを交わしてゴールを決め、
前半で2点リードと理想的な展開でハーフタイムを迎えることになった。

壮絶な殴り合いの結末

選手交代無しで後半を迎えたガンバに対し、川崎はマルシーニョに代えて瀬川を投入。

正直、前半の川崎で一番怖かったのはマルシーニョだったので、
ベンチに下がってくれて助かったと思っていたのだけど、
その瀬川が試合の流れを変えることになろうとは。

2点を追いかけてるということもあってか、
かなりインテンシティ高めで試合に入ってきた川崎に対し、
ガンバは受ける時間が長くなっていく。

それでも、川崎の選手のシュートミスに助けられ、
なんとか失点せずに試合を進めていたのだけど、
鬼木監督が次々と交代カードを切って勝負出てくるのに対し、動かないポヤトス。

・・・と、言うか動きたくても動けなかったか。
ベンチを見てもこの状況で投入されて何か仕事が出来そうな選手いないしね。
そう考えると補強は必要だと思うんだけどな。

しかし、その静観の判断が裏目に出てしまい、川崎に傾いた流れは止まらず、
ゴール前の混戦から後半26分、30分と瀬川に立て続けにゴールを許してしまい、
再びスコアを振り出しに戻されてしまった。

その後も川崎のペースが続き、これは逆転されるのも時間の問題といった試合展開。

同点になってようやく投入された、宇佐美、食野、鈴木武蔵の一桁背番号トリオも、
宇佐美は脇坂に後方からタックルをかましてイエローカードをもらえば、
鈴木武蔵も繋ぎのパスがことごとく周りと合わずといった具合で、試合の流れを変えられない。

食野も投入されて以降、これといった仕事が出来ずにいたけど、
後半終了間際に食野の遠目からのシュートが川崎の選手に当たってゴールラインを割り、
CKを獲得。

ガンバが勝つとしたらこのCKを決めるしかないと言う展開だけど、
そんなに上手くいくわけないよな・・・なんて思っていたら、
”オーミアレジスタ”山本悠樹の蹴ったボールは吸い込まれるようにダワンの頭に合い、
叩きつけたヘディングシュートがゴールネットを揺らす。

ここ数年のガンバだったら、同点に追いつかれた時点で、
ズルズルと勝ち越しゴールを許してしまう試合展開だったけど、
再び相手を突き放すことが出来るなんて信じられない。

2005年の最終節を彷彿とさせる歓喜が爆発するアウェイゴール裏を見て、
古き良きあの頃を取り戻せる日もそう遠くないんじゃないかと、
期待せずにはいられなかったね。

神奈川シリーズ連勝といきましょう!

近年、散々辛酸を嘗めさせられていた川崎に対し、
11年ぶりのシーズンダブルは痛快以外の何者でもない。

次節の横浜F・マリノスも手強い相手だけど、ここ数年日産スタジアムでの戦績は良いし、
今のガンバであれば十分に勝機はあるはずだ。

おそらく次節では累積警告で出場停止明けの黒川が、
左SBのポジションに戻ってくると思うけど、
黒川にはこの日の藤春の姿を目に焼き付けて欲しい。

オーバーラップしても石毛やアラーノからはなかなかパスは出てこないし、
イエローカードも貰ってしまうしで、試合勘の不足は否めなかったけど、
それでも90分間献身的に左サイドのアップダウンを繰り返し、
セットプレーの守備の場面では逆サイドまでプレスを掛けに行く姿からは、
10年間ガンバの左サイドを担ったワンクラブマンの矜持を見た。

出場機会を失っていても準備を怠らず、
必要された時に必要とされるパフォーマンスを発揮できるベテランがいる限り、
青黒の勢いは8月以降も続くはずだ。

川崎フロンターレ34ガンバ大阪
’13 石毛秀樹
’27 脇坂泰斗
’30 イッサム・ジェバリ
’41 ファン・アラーノ
’71 瀬川祐輔
’75 瀬川祐輔
’90+6 ダワン