【天皇杯決勝 川崎フロンターレvsガンバ大阪】川崎の強さを再確認しただけの2021年の正月

当たり前だった日々が戻って来ることを願う2021年

オフシーズンが短くなるという理由で、
天皇杯の決勝の元日開催を見直そうという声もあるけど、
やはり1月1日に自分が応援しているクラブが、
国立の神聖なピッチでプレーするというのは、
サポーター冥利に尽きるものがある。

特に2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
当たり前のことが当たり前でなくなってしまい、
サッカーのある日常が奪われてしまっただけに、
2021年のスタートから愛するクラブを応援できること自体に感謝したい。

昨今の新型コロナウイルスの感染状況を見ると、
2021年もこの厄介な病原体との戦いが続くのは間違いないけど、
スタジアムでチャントを歌いながら愛するクラブをサポートする、
あの当たり前だった日々がいつか戻って来ることを信じて、
今の特異なフットボールライフを過ごしていかないとね。

守っているのではなく生かされているだけ

準決勝の徳島戦のスタメンから、
渡邊千真と宇佐美が変わっただけのガンバのスタメンを見て、
準決勝と基本的な戦い方は変えずに行くのかなと思っていたのだけど、
蓋を開けてみると、ここに来て3バックを採用。

ガンバサポーターには不評の3バックだけど、
3バックを採用した今季のホームでの川崎戦は、
敗れはしたものの前線からの激しいプレスと後方からのビルドアップが機能し、
内容の良い試合が出来ていた。

宮本監督はその8月の試合の再現を狙っているのかと思ったのだけど、
残念ながら、試合を見始めて5分もしないうちにその予想は外れだと知る。

ウイングバックの小野瀬と藤春は常にDFラインに吸収されて5バックと化し、
倉田と宇佐美の両サイドは深い位置まで戻っての守備を強いられ、
サポートの無い1トップのパトリックが前線で孤立。

結果的に自陣からボールを出すことすらやっとと言うほど、
川崎に一方的に押し込まれてしまった。

対する川崎は、スカウティングが外れたせいか、
試合の入りこそ探り探り戦っていたけど、
ウイングの家長と三笘がタッチライン際まで広くポジションを取って、
ガンバの守備陣形を横に間延びさせて中にスペースを作り出し、
そのスペースに田中碧と大島の両インサイドハーフを侵入させることで攻略。

それでもガンバは粘り強く戦って前半は無失点で切り抜けたけど、
守り切ったというよりは、川崎の選手たちのシュートミスに助けられたという表現が正しく、
一歩間違えれば、前回の等々力での対戦時と同じ数の失点を、
前半だけで喫していてもおかしくなかったように思う。

前半終了間際にパトリックが旗手に対して犯した全く不要なファウルで、
イエローカードを貰った場面が、この試合のガンバが上手くいっていないことを、
代弁しているかのようだったね。

あげるのが遅すぎた反撃の狼煙

そんな低調な前半に鑑みてか、前半は左のサイドハーフに入っていた宇佐美が、
パトリックと2トップを形成し、中盤は倉田、山本、矢島の3枚に。

しかしながら、その布陣変更も効果を発揮せず、逆に後半10分、
インターセプトを狙って前に吊り出されたキムヨングォンの裏のスペースに、
レアンドロ・ダミアンがスルーパスを送ると、
左サイドからダイアゴナルランで走り込んだ三笘に決められ、先制点を献上。

その後も、反撃に出たいガンバを尻目に、
CKから谷口のヘディングシュートでガンバゴールが脅かされるなど、
川崎ペースが続いたけど、ようやくガンバに流れが来たのは後半29分の話。

藤春と山本に代えて福田と渡邊千真という交代が契機だったけど、
交代で入った2人が流れを変えたというよりは、
この交代でボランチにポジションを下げた倉田が前線とDFラインをリンクし、
ボールを前線まで運べるようになった。

ユース時代はドリブルが得意なサイドプレーヤーだったのに、
遠藤が日本代表の活動で不在だった時に、
ナビスコカップの浦和との試合にボランチとして出場し、
鮮烈なトップチームデビューを飾ったことで、遠藤の後継者という期待をかけられ、
その後をボランチの選手として過ごすことになった若き日の倉田。

結果、周囲の期待には応えられず、自分のプレーを見失い、出場機会も減り、
レンタルで千葉に新天地を求めることになったわけだけど、
あれから10年以上経ち、かつて適応に苦しんでいたポジションで、
チームに光明を見出すプレーをしていることに我らが10番の成長の軌跡を感じたね。

しかしながらそんなボランチ倉田の奮闘や、
終盤に三浦を前線に上げるパワープレーも実らず敗戦。

この試合でガンバに訪れた決定機らしい決定機は、
試合終盤にチョンソンリョンがパンチングしたボールが福田の前に転がって来て
シュートした場面ぐらいだっただろうか。

結果的にスコアは最少得失点差の1-0だったけど、
この1と0の間には途方も無い差があるなと感じさせられた2021年の正月だったね。

新年の挨拶は悔しさに唇を噛みながら

願わくば青黒のユニフォームの左胸に10個目の星が刻まれることを見届けてから、
清々しく新年の挨拶をしたかったのだけど、
残念ながら我らがガンバ大阪は賜杯を手にすることが出来ず、
中村憲剛の引退試合の引き立て役になってしまった。

これで今季、川崎と3度対戦し1点も取れずに3連敗。

さらに目の前で2度も優勝セレモニーを見せつけられているので、
選手もサポーターも悔しい気持ちは相当溜まっているだろう。

しかし、あえてここで2006年のことを思い出して欲しい。

当時のガンバはクラブ史上最強と言ってもいいチームだったけど、
ゼロックススーパーカップ、リーグ戦、天皇杯と、
直接対決で3度も浦和レッズの後塵を拝し、結局1つもタイトルを獲れなかった。

しかしながら、あの時の悔しい経験が、
2年後のACL制覇と天皇杯優勝に繋がったと思っているので、
結果的に2006年の無冠は無駄ではなかった。

2006年の時のように、今の悔しい経験がいつか大きな結果に結びつくことを信じて、
2021年もガンバ大阪と共にフットボールライフを送りましょう。

相変わらず駄文ばかりの幣ブログですが、
みなさま、本年もよろしくお願いいたします。

川崎フロンターレ10ガンバ大阪
’55 三笘薫