【アジアチャンピオンズリーグ グループステージ6節 全北現代vsガンバ大阪】待ち構えていたのは失意の帰国

勝利あるのみの最終節決戦

ACLグループステージのグループH最終節にして、
決勝トーナメント進出が懸かった大一番、全北現代戦。

Jリーグが「アジアを圧倒せよ」とか言う大層なスローガンを掲げているので、
グループステージの段階で大一番なんて言葉は使いたくないのが本音だけども、
この状況は自分たちが蒔いた種なので仕方がない。

全北現代は既に決勝トーナメント進出が決定しているので、
最終節はメンバーを落としてくれるかなと淡い期待を抱いていたのだけど、
全北現代がこの試合に負けると、
同じ韓国勢の浦項のグループステージ敗退が決定してしまうということもあってか、
ガチメンバーをこの試合に送り込んできた。

まあ、いずれにしろガンバとしては勝利以外に先に進む道は無いので、
相手がどうこう言う前に勝つしかないわけだけども。

攻勢ムードに水を差す不運

そんな全北現代との大一番に松波監督がピッチに送り出した11人は以下の通り。

前回、ロコモティフスタジアムで全北現代と対戦した時のスタメンから、
左WBのポジションが藤春から福田に代わっただけで、他の10人は同じ顔ぶれ。

対する全北現代は、今大会で初めて3バックを採用し、
ガンバ相手にミラーゲームを仕掛けてきた。

同じ布陣のチームが対戦すると、布陣による選手の配置のギャップが減り、
必然的に1対1の局面が増えるので、個の力が勝る方が有利とされている。

今季の全北現代は、Kリーグではイマイチ調子が上がっていないらしいけど、
昨季までKリーグ4連覇を果たしている選手たちに個の力が無いわけがないので、
全北現代のキム・サンシク監督は、
個の力の勝負に持ち込めば負けることは無いと考えたのだろう。

そんな全北現代に勝つしかないガンバは、試合の入りから強度を高めて、
試合の主導権を握りたいところだったけど、試合は前半の早い時間に動く。

キム・ヨングォンと東口の間に出されたロングボールに対し、
東口が飛び出してボールをキャッチした何でもないような場面に見えたけど、
キム・ヨングォンの後ろから突っ込んできたパク・ジンソンが転倒したプレーが、
キム・ヨングォンのファウルと判定され、PKを献上。

このPKをグスタボに決められて、先制を許してしまった。

この場面に限らず、この試合を裁いたオマーン人のアルカフ主審は、
軽微なコンタクトに対してでもかなり神経質に笛を吹く審判だったので、
90分を通してボールサイドの攻防はやりにくかったんじゃないだろうか。

また、3日前のタンピネス戦で戦列復帰したばかりの福田が、
筋肉系の故障と見られる負傷で、
前半31分に黒川と交代になるアクシデントもあり、
ガンバとしてはなかなか波に乗り切れず難しい前半になってしまった。

いつも足らないもう一押し

1点ビハインドでハーフタイムを迎えたガンバは、
後半頭から井手口に代えて倉田を投入し、
矢島のポジションをシャドーからボランチに変更。

それにしても、今季の井手口がずっと低調なのが気になるのだけど、
一体どうしてしまったのだろうか。

昨季終盤の負傷離脱を境に、まるで別人になってしまったような印象を受けるね。

ただ、ボランチにポジションを下げた矢島を中心にパスが回り始め、
後半は一転、ガンバのペース。

引き分けでもOKという状況や、連戦の疲れもあってか、
後半は全北現代の選手たちが前に出て来なくなったこともあるけど、
自分たちでボールを持っている時間が長い試合展開で、
守備のタスクから解放されたボランチ矢島は良いプレーをするよね。

すると、パトリックに立て続けに訪れた3つのチャンスのうち、
最後の1つを豪快に沈めてガンバが試合を振り出しに戻すことに成功。

全北現代の邦本が治療のためにピッチを離れていて、
一時的に相手が10人だった時間帯に狡猾に得点を挙げることが出来たね。

この勢いで勝ち越したいところだったけど、
チャンスは訪れるものの決め切ることが出来ずに終盤まで試合が進むと、
三浦をパワープレーのために前線上げて出来たスペースを、
バロウにカウンターで走られてしまい痛恨の決勝点を献上し万事休す。

まあ、リスクを冒して攻めた結果なのでこの失点は致し方なしかなと思うけど、
パワープレーを採用するまでに何度も勝ち越しのチャンスはあったのに、
そこで決め切れなかったのが悔やまれるところやね。

特に、昨季のリーグ2位の原動力となったセットプレーに、
全く期待が持てないのは早急に何とかしてもらいたいところだ。

この不甲斐なさを残留争いにぶつけろ

4年ぶりに出場したACLだったけど、結果はグループステージ敗退。

かつてこの大会で優勝した経験があるだけに、
今のガンバの状況は寂しいと言わざるを得ないね。

最終節で全北現代に勝てなかったことよりも、
チェンライとの2試合でどちらも引き分けに終わってしまったことが、
このような結果をもたらしてしまったと思う。

ただ、日本に帰ると今度は厳しい残留争いに身を置かなければいけないので、
いつまでも下を向いてばかりはいられない。

ウズベキスタンで過ごした日々が、シーズン中のキャンプような位置付けになって、
チームにとってプラスに働いてくれることを願うばかりやね。

全北現代21ガンバ大阪
‘6 グスタボ
’53 パトリック
’88 マドウ・バロウ