【AFCアジアカップ 準々決勝 日本vsベトナム】ツンデレVAR

2023年1月1日

VARの綾

準々決勝から導入されたビデオアシスタントレフェリー(VAR)。

遺恨が残る判定やそれにより不幸になる選手を出さないためにも、
VARを活用すること自体には賛成なのだけど、
インプレーの時間が短くなってしまうところにまだまだ改良の余地があるのかなと思う。

そもそもVARによる判定に時間が掛かる要因として、
最終的な判定は主審がリプレイ映像を確認して下すという前提にあるので、
VARに判定を下す権限を持たせないと確認時間の短縮は難しい。

ただ、サッカーは、テニスやバレーボールのように
杓子定規に判定できるスポーツじゃないから、
VARにそこまで大きな権限を与えるのは難しいのかもね。

そんなVARは早速、準々決勝の1試合目であるこの試合で大活躍。

日本の先制点かと思われた吉田麻也のヘディングシュートをハンドの判定で取り消し、
歓喜に沸いた日本のサッカーファンのボルテージを沈静化させると、
後半には、流されたかに見えたペナルティエリア内での堂安へのチャージを、
改めてファウルと判定し、日本に決勝点となるPKをもたらした。

VARに助けられて試合に勝つことが出来たので、
結果的にはVARがあって良かったとは思っているのだけど、
なんとなく機械が主役になってしまった感が否めないので、
VARに頼らずにゴールをこじ開けて、日本に勝ってほしかったというのが本音だけども。

この日も沈黙した北川と南野

先日のサウジアラビアとは打って変わって、日本がボールを持ち、
ベトナムが守備を固めてカウンター狙いという展開になったこの試合。

相手が前に出てきてくれない分、敵陣にスペースが無い状況で、
シュートまで持っていく必要があると思っていたので、
グループステージのオマーン戦で好機を多く作り出していた、
北川と南野の縦関係に期待していたのだけど、またしても大きく裏切られることになった。

昨年の親善試合でのゴールラッシュが嘘のように、
今大会で未だ無得点の南野はこの試合でも決定機を生かせずノーゴール。

ベトナムのGKが当たっていたので情状酌量の余地はあるけど、
ポストプレーやビルドアップ、守備での貢献度が低い選手だけに、
数字で結果を残してもらわないと、継続して起用する価値が薄れてしまう。

ただ、なんだかんだ南野はシュートまで持ち込めていたけど、
北川に関しては相変わらず前線で漂っているだけで、
たまにパスが入っても淡白なボールロストを繰り返すなど、
攻撃の起点として全く機能していなかった。

ケガから復帰した大迫が北川に代わってピッチに入ると、
前線の流動性が目に見えて良くなったことは、
皮肉にも北川が、如何に仕事が出来ていなかったかを裏付けることになってしまった。

清水でのプレーを見ていればもっと出来そうな気もするのだけど、
負けたら終わりの決勝トーナメントで、
北川が本来のプレーが出来るようになるまで悠長に待っている余裕は無い。

次戦からは大迫に加え、武藤も累積警告による出場停止から戻って来るので、
北川に訪れるチャンスはさらに限られてくると思った方が良いだろうね。

ターンオーバーした方が良かった?

準決勝に進出すれば警告がクリアされるため、事前の報道では、
イエローカードを1枚貰っている選手を休ませるのではないかという話が出ていたけど、
蓋を開けてみると、先日のサウジアラビア戦から変わったのは、
累積警告で出場停止の武藤に代えて北川を起用しただけで、残りの10人は同じ顔ぶれ。

サウジアラビア戦から中2日という過密日程ではあるけど、
ベトナムを侮ること無く、目の前の試合を何が何でも勝ちに行くという、
森保監督の信念が垣間見えたような布陣で、
実際に勝利することが出来たので、その点に関しては良かったと思う。

しかしながら、中3日の準決勝で対戦する相手は、中国を3-0で降してきたイランだけに、
ベストコンディションで試合に臨むためにも、
ベトナム戦ではある程度メンバーを変えるべきだったんじゃないだろうか。

ターンオーバーを敷いたグループステージ3節のウズベキスタン戦では、
日本のパフォーマンスが良かったことが示すように、
個人的に今大会に臨む日本代表には主力と控えの実力差はほとんど無いと思っている。

特に酒井あたりは明らかに動きが重そうだったし、
室屋を起用しても良かったと思っているのだけど、
このベトナム戦での森保監督の判断が正しかったかどうかは、
来週の月曜日に全て明らかになるだろうけどね。

日本10ベトナム
’57 堂安律