【明治安田生命J1リーグ24節 鹿島アントラーズvsガンバ大阪】これは評価しても良いドロー

2020年11月1日

強気なのか弱気なのか

天皇杯で大学生に敗れ、リーグ戦では1人少ない最下位のチーム相手に
試合終盤で追いつかれてドロー。

そして、よりによってこのタイミングで行われる試合が、
首位の東京追撃モードに入った鹿島とのアウェイゲームなんて、
日程くんも随分とドSなことをしてくれる。

直近の2試合を見る限り、今のガンバに鹿島に勝てる要素は少ないと思うので、
失点しないように手堅く行くのかなと思っていたら、
アデミウソン、宇佐美、パトリックの3人の同時起用に驚愕。

つい5日前、1人少ない最下位のチーム相手に、
腰の引けた采配をしていたとは思えない宮本監督の強気な采配は、
勇敢を通り越してどことなく蛮勇な印象さえ受けた。

歪な逆三角形

先述の3人の同時起用以外に気になったこととして、
この試合では遠藤でも矢島でもなく、井手口をアンカーで起用してきた。

長谷川健太監督の時代も井手口をアンカーで起用したことがあって、
その時もこのブログで同じことを書いたのだけど、
そもそも井手口は広範囲を動き回らせてナンボの選手。

バイタルエリアのカバーという、動ける範囲を制限されるタスクをこなしながら、
パスを散らすような役割はむしろ井手口の良さを殺すんじゃないだろうか。

現に、この試合での井手口は、本来のポジションを放棄して動きすぎているきらいがあったし。

それに加え、この試合では宇佐美をインサイドハーフで起用したことで、
アンカーの井手口が動き回って空いたスペースをカバーすることも出来ず、
常にバイタルエリアはスカスカの状態。

宇佐美に本来期待されているであろう攻撃的な部分でも、
ガンバのカウンターをスローダウンさせる場面ばかりが目につき、
この試合のスタメンの顔ぶれでどういう試合をしたいのか、
宮本監督の意図が汲み取れなかった。

こんなチグハグなガンバであれば、鹿島はすぐに試合を決めてくると思ったけど、
どういうわけかこちらのペースにお付き合いしてくれた。

大岩監督になってからの鹿島の試合を見ていて思うことは、
前半、相手の様子を伺っているうちに失点してしまうけど、
その失点をきっかけにスイッチが入るという試合が多いということ。

この試合でも例に違わず、
アデミウソンの先制ゴールが鹿島を目覚めさせてしまうことになってしまった。

福田のファイティングスピリットを他の選手にも

前半終了間際にセルジーニョ、後半13分に伊藤翔に決められ、
リードしていた時間帯のポジティブな雰囲気も何処へやら、
一転、敗色濃厚なムードになってしまった。

セルジーニョのゴールも伊藤翔のゴールも、決して簡単なシュートではないのに、
あれが決まるあたり、鹿島のチームとしての調子の良さがうかがえる。

それにも関わらず、全く動く気配の無かった宮本監督がようやく切ったカードが、
倉田に代えて渡邉千真というこれもまた意図のよくわからない交代。

前半にイエローカードをもらっていたとは言え、
個人的に今のガンバの戦術の肝は倉田だと思っているので、
渡邉千真を入れるにしても、交代させるのは倉田じゃないだろう。

そう言えば、前節も最後の交代カードで倉田に代えてアデミウソンを入れようとしていたし、
宮本監督は今のチームでの倉田の働きに納得がいっていないのだろうか。

ところが、倉田に代わって渡邉千真が入った直後に、福田が小泉に倒されてPKを獲得したので、
なんとなく交代策が的中した感じになってしまったけどね。

それにしても福田はよく頑張っている。

この試合では足が攣って新加入の高木大輔と交代になったけど、
闘志を前面に出しながら攻守に渡ってハードワークする姿は、
他の選手たちにも見習ってほしいものだ。

次節こそドロー沼からの脱出を

PKのキッカーがパトリックだったのにはヒヤヒヤしたけど、これを確実に決めてドロー決着。

これで5試合連続ドローになってしまったけど、
鹿島とのアウェイゲームで敗色濃厚な試合展開の中、
勝ち点0を1に変えたというのは及第点を与えてもいいだろう。

どちらかと言うと、首位の東京を射程圏内に捉えながら、
下位に沈むガンバ相手に勝ち点2を落としてしまった鹿島にとって、
痛い試合になってしまったんじゃないだろうか。

次節の対戦相手はマリノスなので、2週続けて上位との対戦。

ここのところホーム・日産の荒れ果てたピッチに苦戦している感のあるマリノスだけど、
次節は三ツ沢での対戦なので、本来の攻撃的なサッカーが発揮出来る可能性は高い。

ただ、降格圏が近づいてきている現状、
こちらとしてもいい加減ドロー沼から抜け出さないといけないので、
次こそは3ポイントを上積みしたいところだね。

鹿島アントラーズ22ガンバ大阪
’33 アデミウソン
’44 セルジーニョ
’58 伊藤翔
’73 パトリック