【明治安田生命J3リーグ34節 ガンバ大阪U-23vsFC岐阜】ここはゴールではなく新たなスタート地点だ

ガンバ大阪U-23の最後の90分が始まる

2020年シーズンのJ3リーグも今節が最終節。

通常のJクラブであれば、「今季は予想以上に良い順位だったから来季も頑張ろう」とか、
「今季は悔しい成績だったので来季こそリベンジだ」といった類の会話がなされる時期だけど、
今季で活動を停止するU-23チームはこの試合がチームとしての最後の公式戦。

今季、U-23チームを中心に追いかけていた僕としては、
名残惜しい気持ちもあるのだけど、U-23は今季で無くなっても、
U-23でプレーした選手たちのサッカー人生はこれからも続いていく。

これからのサッカー人生を実り多きものにするためにも、
この特別な90分間を悔いのないように戦って欲しい。

相手も相手でJ2昇格が懸かっている

この試合のU-23のスタメンは、GKにオーバーエージの一森、
DFラインは右から當間、松田、タビナス、山口、ダブルボランチが伊勢と芝本で、
2列目は右から中村仁郎、川﨑、高木、そして1トップに唐山の4−2−3−1。

土曜日のトップチームの試合で長時間出場した塚元と奥野はベンチからも外れていたけど、
現時点でベストと言える布陣だと思う。

対する岐阜は、僅かながらに可能性を残しているJ2昇格の条件が、
大量得点差での勝利ということもあり、前田と高崎の2トップにトップ下川西という、
超攻撃的な布陣をパナソニックスタジアム吹田のピッチに送り込んできた。

前半の早い時間こそそんな岐阜のインテンシティの高さに戸惑う場面が見られたけど、
徐々に自分達のペースを取り戻すと、ペナルティエリア外に溢れてきたクリアボールを、
高木が蹴り込んで、前半9分という早い時間にU-23が先制。

今季、オーバーエージでJ3の試合に出場し続けながらも、
なかなか結果を残すことが出来なかった高木だけど、
前節の鹿児島戦でようやく今季初得点を挙げたことで肩の荷が下りたのか、
力みのない良いシュートだったと思う。

ステップアップを期してJ2の山口からガンバに移籍してきた高木にとって、
J3の試合に出場し続けることは不本意だったと思うけど、
この悔しい経験が今後のサッカー人生のプラスにして欲しいね。

ただ、そんな高木のゴールで先制したのも束の間、
岐阜の中島賢星に見事なミドルシュートを決められ、試合は振り出しに。

ガンバサポーターにとって「元東福岡の10番」という二つ名で連想するのは福田だけど、
個人的に、直近10年の東福岡の10番で一番の名手はこの中島だと思っている。

高校時代の期待値の高さを考慮すると、J3でプレーしている現状は寂しい限りなので、
もっと奮起して欲しいものだけども。

耐え凌いだラスト45分

前節の鹿児島戦では1つの失点がさらにもう1つの失点を生むといった悪循環で、
後半に3点差をひっくり返される衝撃的な敗戦を喫してしまったけど、
この試合ではスコアを振り出しに戻されてからも、
試合の主導権を手放さず落ち着いて試合を進めていたU-23。

その結果、前半の終盤に差し掛かった時間帯に、
右サイドの中村仁郎がDFラインとGKの間に送り込んだ速いクロスに、
川崎が飛び込んで勝ち越し点をGET。

夏場のJ3で5試合連続ゴールという結果を残して、
トップチームに羽ばたいていった川﨑だったけど、
トップチームではなかなか持ち味を発揮出来ず、
自分のプレーを見失っているような印象を受けた。

ただ、この試合で川﨑が見せていたプレーは、
今季の夏場の川﨑のプレーだったと思うので、このゴールを良いきっかけにして欲しいね。

1点リードで前半を折り返したU-23は、後半に追加点を奪いたいところだったけど、
J2昇格に向けて後が無い岐阜の猛攻に遭い、前半とは打って変わって我慢を強いられる展開に。

しかしながら、ここで岐阜の攻撃陣の前に立ちはだかったのはGKの一森で、
何度も枠内を捉える岐阜の選手たちのシュートをことごとく防ぐ姿は、まさに守護神だった。

トップチームでは東口が絶対的な存在なので、
もし一森が来季もガンバでプレーすることになっても、
試合でお目に掛かれる機会は限られていると思う。

ただ、今季、U-23でプレーしている一森の姿を知る人であれば、
もし、東口に万が一のことがあっても一森がいれば問題無いと断言できるね。

ヤングガンバに幸運を

結局、試合は前半40分に挙げた川崎のゴールが決勝点となってU-23が勝利し、
U-23の最後の公式戦を勝利で飾ることが出来た。

勝利のために最後の最後まで走り続けた選手たちを称賛するのはもちろんだけど、
U-23を率いた森下監督の2年間の仕事は素晴らしかったと思う。

これまでの監督キャリアが決して成功していると言い難いものだったので、
森下監督の就任に際して懐疑的な目があったのも事実だったけど、
大人しくて淡々としているガンバの選手たちに愛のある熱い言葉をかけ続け、
戦える集団にしたのはまさに森下監督の指導の賜物。

来季以降はどういう仕事をするのかは今の時点では知らないけど、
何らかの形でガンバに携わってくれることになればこれほど頼もしいことは無いね。

これでガンバ大阪U-23は5年間の歴史に終止符を打つことになったけど、
冒頭にも書いたようにU-23の選手たちのサッカー人生はこれからも続いていく。

もし次に会う時は敵同士だったとしても、
青黒を身に纏った元同志として再会を分かち合えれば良いなと思う。

ありがとうガンバ大阪U-23、若き青黒戦士たちの前途が明るいものであることを祈ります。

ガンバ大阪U-23 21 FC岐阜
’9 高木大輔
’12 中島賢星
’40 川﨑修平