【天皇杯準決勝 ガンバ大阪vs徳島ヴォルティス】目的地は元日の千駄ヶ谷

油断は大敵だけど…

当たり前だったことが当たり前でなくなった2020年。

そんな特異な1年に行われたJ1リーグで2位になり、
天皇杯への出場権を得た我らがガンバ大阪。

例年であれば、J1勢は7月か8月頃に2回戦から戦いを開始して、
元日の決勝を目指してトーナメントを勝ち抜いていく大会なのに、
J1の1位と2位だけが年の瀬の準決勝から登場すると言うあたりに、
どれだけ今季のサッカー界が異質だったかを物語っているように思う。

そんなガンバの準決勝の相手は、
ガンバが2014年にリーグ優勝を決めた試合の対戦相手でもあった、
今季のJ2王者・徳島ヴォルティス。

ガンバは2020年のJ1リーグで2位に入ったとは言え、
お世辞にも盤石な戦いが出来ていたとは言い難いし、
過去2大会はいずれも大学生に敗れて早期敗退を喫しているということもあり、
下位カテゴリーのチームとは言え油断は禁物。

とは言え、約1ヶ月前の等々力で、目の前でシャーレを掲げられた悔しさを晴らすべく、
元日の戴冠を期すのであれば、こんなところで躓いているわけにはいかない。

2020年最後のパナソニックスタジアム吹田での試合を勝利で飾り、
本来であれば今年の夏に東京オリンピックのメインスタジアムとして使用されるはずだった、
千駄ヶ谷のスタジアムに乗り込みたいところだ。

竜の眼に筆を入れるのはどちらか

故障の影響で長らく欠場が続いていた小野瀬が右サイドハーフとしてスタメン復帰、
さらに宇佐美もベンチに戻ってきたことで、
幾分かU-23濃度が薄くなったこの試合のガンバのスタメン。

ただ、井手口に至ってはまだベンチにも戻れていないことを思うと、
元日の決勝も厳しいと見るしかないね。

試合は、キックオフ直後こそガンバが前から圧力をかけてペースを握るも、
ほどなく徳島がボールを保持する展開に。

ボールポゼッションの時間を伸ばせないガンバは、
渡邊千真とパトリックの2トップがなかなかシュートまでいけないかわりに、
藤春に何度かシュートチャンスが訪れたけど、
この試合の藤春は早野宏史曰く「藤冬」状態であったため、枠を捉えることが出来ず。

逆に徳島はボールこそ保持していたけど、
シュートはペナルティエリアの外からの確率低いものが多く、
ペナルティエリア内まで崩される場面は少なく、ガンバとしては上手く守れていたと思う。

前半で唯一、「やられた!」と思ったのは、前半19分の徳島のCKで、
垣田がドフリーでヘディングシュートを放った場面だったけど、
J1昇格の原動力となった今季の徳島のチーム得点王のシュートは枠を捉えることが出来ず、
ガンバとしては命拾いをする格好になった。

渦潮を霧消させた重戦車

垣田は、後半早々にも、左サイドの西谷からのクロスをシュートミスするなど、
この日は彼の日では無かったわけだけど、その垣田のシュートミスの直後に、
ガンバがパトリックのゴールで先制するもんだから、
「決められるときに決めておかないとこうなるよね」と、思わざるを得なかったね。

1点リードしたガンバだったけど、ボールを保持して東口の守るゴールに迫る徳島と、
カウンター狙いのガンバという構図は変わらず。

いくら今季逆転負けの無いガンバとは言え、1点リードだと心許ないので、
追加点が欲しいなと思いながらもなかなかその時は来ず、
時間だけが過ぎていったのだけど、ようやく試合が動いたのは後半37分。

パトリックのスルーパス(文字にするとものすごい違和感)に、
DFラインの裏へ抜け出したのは、後半36分に小野瀬に代わって投入されたばかりの福田。

角度の厳しいところからループ気味に逆サイドのサイドネットを狙い、
上福元の守るゴールを破って値千金の追加点をGET。

見事なシュートだったけど、今季福田が決めた2ゴールのアシストは、
いずれもパトリックだというのが面白い。

アウェイの湘南戦で福田のゴールをアシストした時も同じことを書いたけど、
パトリックの技術面はまだまだ発展途上という感じがするね。

前の試合から中3日ということで疲れがあったのか、
はたまた2点目が入って意気消沈したのか知らないけど、
2-0となってからの徳島の選手(と一部のサポーター)からそれまでの覇気が感じられず、
あとは粛々と試合をクローズするだけだったね。

2021年は笑って始めたい

1月1日の決勝でガンバと相対するのは、
2020年のJ1リーグを圧倒的な強さで制した川崎フロンターレ。

今季のリーグ戦では2戦2敗、特に11月の等々力では5-0というショッキングな敗戦を喫し、
目の前でシャーレを掲げられる屈辱を味わっている。

その屈辱を国立のピッチで晴らしたいところだけど、
正直なところ、今のガンバのチーム力は川崎に比べると劣っていると言わざるを得ない。

ただ、2010年の元日に対戦したのは、
その年のリーグ戦の対戦成績で2戦2敗だった名古屋だったけど、
結果はガンバが賜杯を掲げることが出来たわけだし、
トーナメント戦の決勝戦は往々にして何が起こるかわからないもの。

だから我々サポーターは選手を信じるしかないね。

まだ天皇杯の決勝が残っているので、まだ今季が終わったという感じはしないけど、
2020年の試合はこの徳島戦が最後なのでここいらで年末の挨拶とさせてください。

大変な一年でしたが、皆様、よいお年をお迎えください。

ガンバ大阪20徳島ヴォルティス
’53 パトリック
’82 福田湧矢