【ゼロックススーパーカップ 川崎フロンターレvsガンバ大阪】宮本ラボの実験の成果は如何に

大会名変更に感じる日々の移ろい

新たなシーズンの訪れを告げる一戦で、
日本のサッカーファンにお馴染みだった富士ゼロックススーパーカップだけど、
富士ゼロックスの社名変更に伴い、2022年からは大会名が変更になるとか。

順当に行けば、新しい社名が冠された大会名になるんだろうけど、
「富士フイルムビジネスイノベーションスーパーカップ」って長すぎるし、
富士ゼロックスが取り扱っている複合機の、
ApeosPortとかDocuCentreを大会名にするのもなんか違う気がするし、
一体どんな大会名になるのかね。

まあ、ヤマザキナビスコカップがルヴァンカップになった時も、
最初はすごく違和感があったけど、今となっては慣れてしまったし、
新しい大会名もすぐに馴染めるものになるといいね。

狙っていることはあっても出させてもらえないもどかしさ

今オフに、レアンドロ・ペレイラやチアゴ・アウベスを獲得するなど、
昨季低調だった攻撃陣にテコ入れを行った我らがガンバ大阪。

キャンプでは3トップにチャレンジしているとの話は伝え聞いていたので、
4-3-3の布陣で川崎に挑んだこと自体は特に驚きは無かったのだけど、
小野瀬が右SBに入っていたのには驚かされた。

小野瀬がマッチアップするのは、
昨季の川崎のリーグ制覇の立役者と言ってもいい三笘。

急造SBで太刀打ちできる相手では無いので、
リスクを許容してでも小野瀬を右SBで起用した意図はあるはずだと思って、
試合を見ていたのだけど、
まるで元日の天皇杯決勝の続きを見ているのかのような防戦一方の試合展開に、
なかなか小野瀬を右SBで起用した意図が見て取れなかった。

ただ、しばらくすると、左のウイングで起用された川﨑がタッチライン際に開き、
その内側のスペースを藤春が駆け上がるという、昨季は見られなかった攻撃が見られた。

2019年のリーグ覇者であるマリノスが採用した偽サイドバックという戦術だけど、
宮本監督は左右両サイドで偽サイドバックをやりたくて、
小野瀬を右SBで起用した可能性が高いね。

ただ、比較的左足も右足と同じように使える小野瀬に比べると、
基本的に左足しか使えない藤春は、
ピッチの中央のスペースに入っていってもプレーの選択肢が少ないので、
この戦術にマッチしているのか疑問に思うのだけど、
今までと違う役割を与えることで藤春のレベルアップを促しているところもあるのかな。

ところが、ようやく宮本監督の意図が読めたところで、
散々ガンバの右サイドをピンチに陥れていた三笘に2ゴールを許してしまう。

昨季、川崎と3度対戦して1点も取れていないガンバにとしては、
苦しい展開になってしまったと言わざるを得なかったね。

昨季1点も取れなかった川崎から2点を挙げたという進歩

後半になっても川崎相手に難しい時間を過ごすことになるんだろうなと思っていたのだけど、
そんな心配は良い意味で裏切られる。

前線からのプレスの強度を高めたガンバは、高い位置でボールを奪えるようになり、
アンカーの山本を起点にテンポ良くパスが回り始めると、
後半15分に山本がヘディングでペナルティエリア内に送ったパスに反応した矢島が、
左足を振りぬき1点を返す。

逆サイドにボールがある時に中央にフラフラと入って来て得点に絡むプレーは、
手倉森監督の下、リオデジャネイロ五輪予選を戦っていた日本代表の試合で、
矢島がよく見せていたプレーやね。

さらに、このガンバの得点の直後に行われた、
シミッチと脇坂に代えて塚川と橘田を投入するという、
鬼木監督の交代策があまり機能しなかったこともあり、
ガンバがさらに攻勢を強めると、川﨑がペナルティエリア内で山根のハンドを誘いPKをGET。

このPKをパトリックが決め、ガンバが試合を振り出しに戻すことに成功。

この調子で勝ち越しゴールを狙いたいところだったけど、
今度は、矢島と川﨑に代えてレアンドロ・ペレイラとチアゴ・アウベスを投入し、
布陣を4-4-2へ変更するという宮本監督の采配が機能せず、
攻勢ムードに水を差す格好になってしまった。

チアゴ・アウベスが決定機を逸する場面はあったものの、
交代で入った選手が悪かったというよりは、中盤の枚数を3枚から2枚に減らしたことで、
DFラインからのパスコースが少なくなり、
後方からのビルドアップがスムーズにいかなくなってしまったように思う。

それでも、川崎に追加点を許さず、あと僅かでPK戦突入という時間帯まで持ち込むも、
ラストワンプレーで小林悠に決勝ゴールを決められ万事休す。

この試合のガンバは実験要素が強かったと思うけど、
タイスコアの時間帯は勝ち越せる雰囲気があっただけに、
もったいない試合だったなと思わざるを得ないね。

2021年シーズンもウィズコロナ

昨季のこの大会では9人連続PK失敗という珍事があったけど、
2020年は人々の日々の暮らしが激変したので、
そんな笑い種なPK戦も随分と昔のことのように感じられる。

ワクチンの接種は始まったとは言え、
全員が摂取できるまではまだまだ時間が掛かるだろうし、
今季も新型コロナウイルスと付き合っていくシーズンになりそうやね。

1993年に開幕したJリーグも今季で28年目。

かつてのスタジアムの雰囲気が戻って来るのはまだ先の話になりそうだけど、
今季もまた熱い戦いが見られることを期待したいね。

川崎フロンターレ32ガンバ大阪
’29 三笘薫
’32 三笘薫
’60 矢島慎也
’67 パトリック
’90+6 小林悠