【明治安田生命J1リーグ4節 ジュビロ磐田vsガンバ大阪】身も蓋もないパワープレーの先にあったもの

煌めきは誰が引き継ぐのか?

思いもよらぬ形で試合終了間際に勝ち点を取りこぼした
川崎戦の余韻も覚めやらぬ3月8日の火曜日、
宇佐美貴史がアキレス腱を断裂したというショッキングなニュースが飛び込んで来た。

まあ、あの痛がり方を見る限り軽傷ではないだろうなと思っていたけど、
いざこうして診断結果を目にすると、如何とも言葉にし難い気持ちになるね。

まだ3月なので、例年であればシーズン終盤に復帰出来るかどうかというケガだけど、
今季はカタールW杯のスケジュールの関係でシーズンの終了が11月上旬と、
約1ヶ月早くなっているので、今季は宇佐美抜きで戦うことを覚悟した方がいいだろう。

ただ、遠藤保仁がジュビロ磐田に移籍して以降の我らがガンバ大阪は、
宇佐美が中盤に下がってビルドアップに参加しないと、
ボールを持てないチームになってしまっているので、
宇佐美の代わりのゲームメイカーを早急に確立しないと、
今後の戦いは苦しいものになるのは明らかだろうね。

そして、どういう巡り合わせなのか、今節の対戦相手はその遠藤が在籍している磐田。

かつて青黒のユニフォームに多くの栄光をもたらした希代のゲームメイカーの前に、
今後のガンバの戦い方の指針を見出すことが出来るかが注目ポイントやね。

何度攻略してもゴールに繋がらない右サイド

3年ぶりに乗り込んだヤマハスタジアムに、片野坂監督が送り出した11人は以下の通り。

前節の川崎戦では4−4−2を採用したガンバだけど、
この試合では相手が3バックということもあってか、
対面の選手をはっきりさせるために3バックに戻してきた。

また、GKは川崎戦で痛恨のミスを犯した石川を引き続き起用してきたね。

前半、風上に立ったガンバは、右サイドの小野瀬と石毛のところから何度かチャンスが生まれ、
良い感じで試合に入ったように見えたのだけど、遠藤が起点となったパスワークから、
鈴木雄斗がラストパスを送って大森がミドルシュートを決めるという、
恩返しのフルコースのようなゴールを許し、前半15分に先制点を献上。

まあ、わざわざガンバ戦で見せつけてくれなくても、
遠藤と大森の能力の高さについては理解しているけど、
鈴木ってガンバにいた時とは別人のようなプレーをしているね。

ガンバ時代の鈴木なんて、ファン感謝祭でMVP取ったこと以外の印象がすごく薄いんだが。

かくして、良い形で試合に入ったのに先に失点するという、
既に今季何度か見た形で1点を追いかけることになったガンバ。

失点後も右サイドから良い攻撃が出来ていたけど、
右シャドーの石毛が右WBの小野瀬と近い位置を取っている弊害で、
パトリックが中央で孤立し、右サイドから良いクロスが上がっても、
中にパトリックが1枚しかいないという場面が目につくようになった。

それでも何度もCKを獲得することが出来たけど、1点リードしたこともあってか、
ガンバのCKの際に全員を自陣に残すという守り方をしてきた磐田の守備を崩せず。

右ボランチの齊藤に高い位置を取らせて、
パトリックと石毛の間のスペースを埋めた片野坂監督の修正は見事だと思ったけど、
結局、前半は1点ビハインドで折り返すことになってしまった。

手のひらを返すまではいかない

1点を追うガンバは、後半頭から山本に代えて福田を投入。

この試合で左シャドーで起用されていた山本は、中盤に顔を出す場面が多かったので、
前節まで宇佐美が担っていた「中盤に下がってビルドアップに参加」と、
「アタッキングサードの崩し」という、二つの役割をそのまま任されていたように思う。

しかしながら、中盤に下がってもタイミング良くボールが出て来ず、
宇佐美と比べてアタッカーとしての能力が落ちるため崩しの局面にも関われずで、
どちらの役割も中途半端になってしまっていた。

山本が悪いと言うより、宇佐美がこなしていた役割を、
他の誰かにそのまま任せるということ自体に無理があるように思うので、
各選手で役割を分散させる必要があるんじゃないだろうか。

とは言え、後半も引き続き試合の主導権を握って攻撃することが出来ていたガンバだけど、
ゴールが遠い状況を受け、片野坂監督は後半27分に髙尾と齊藤に代えて、
レアンドロ・ペレイラと奥野を投入。

アディショナルタイムも含めて試合時間は残り20分以上あると言うのに、
前線をパトリックとレアンドロ・ペレイラの2トップにして、パワープレーを敢行してきた。

ところが、ガンバ陣から放り込まれるロングボールは、磐田の守備陣に跳ね返されるばかり。

逆に磐田がボールを持つ時間が長くなり、
カウンターから何度か石川の守るゴールを脅かされるなど、
同点に追いつくどころか磐田に追加点を奪われる可能性が高いような試合展開になってしまった。

これは片野坂監督の采配ミスじゃないだろうかと思っていたのだけど、
後半もアディショナルタイムに入ろうかという時間帯に、
CBの三浦が右サイドの高い位置に意表を突いたオーバーラップを見せてパスを受け、
ゴール前に送ったクロスの先にいたのはなんとレアンドロ・ペレイラ。

この試合でも例に違わず、身長高いくせにヘディングの競り合いで勝てないわ、
途中出場で元気なくせにプレスはしないわボールは収まらないわで、
一体何しに出てきたんだという感じだったのだけど、
あれだけ何をやっても決められなかった同点ゴールをあっさり決めてしまった。

レアンドロ・ペレイラには今まで何度も失望させられたので、
その都度、もう見限った方がいいんじゃないかと思うのだけど、
こうやってたまにゴールを決めるから見限るに見限れないところがあるんだよな。

もう何回も言っているような気がするけど、コンスタントに活躍することで、
背番号9に対する懐疑的な視線を払拭してほしいものだ。

悪い流れを断ち切りたいとずっと言っている

6分という長い時間が取られた後半アディショナルタイムにも、
何度かチャンスが訪れたガンバだったけど、
勝ち越しゴールを奪うまでには至らず、ドロー決着。

内容は良かっただけに、これで勝ち点0となるとチームにダメージが残るので、
勝ち点1を取れただけでも及第点といったところか。

次節は福岡とのホームゲーム。

良い試合をしながら勝ち点3を逃すという試合が続いているので、
今季まだ一度も勝てていないパナスタのピッチでホームのサポーターに勝利を届けることで、
悪い流れを断ち切って欲しいと思います。

ジュビロ磐田11ガンバ大阪
’15 大森晃太郎
’88 レアンドロ・ペレイラ