【明治安田生命J1リーグ12節 ガンバ大阪vsヴィッセル神戸】ようやく開いたケチャップの蓋

最下位恐怖症

3年ぶりの行動制限が無いゴールデンウィークの到来に日本列島が行楽ムードに包まれる中、
5試合連続未勝利、3試合連続無得点と、かなりお寒い状況になっている我らがガンバ大阪。

そんなガンバが連休最終日にホームに迎えるは、
リーグ戦10試合を終えて、未だ未勝利の最下位・ヴィッセル神戸。

相手の状態を考えると是が非でも勝っておきたいところではあるけど、
先月の湘南戦然り、こういう相手に気前良く初勝利をプレゼントしてしまうのが、
お人好しガンバの悪癖でもある。

ただ、ここで負けるようだと本格的に残留争いに巻き込まれかねないので、
気を引き締めてパナソニックスタジアム吹田に訪れたサポーターに勝利を届けて欲しいものだ。

試合の流れを変えたDOGSO

日曜日の昼下がりにクリムゾンレッドと相対した青黒は以下の11人。

中村仁郎は、前節の札幌戦から引き続きスタメン。

そして、2試合続けてスタメン起用していたレアンドロ・ペレイラに代えて、
パトリックをスタメンに戻してきた。

試合は、ガンバのミスで神戸がチャンスを迎えるも、神戸がミスしてチャンスを潰せば、
今度は神戸のミスでガンバがチャンスを迎えるも、
ガンバがミスしてチャンスを潰すといった具合で、
いかにも不調のチーム同士の対戦といった試合展開。

実のところ、この試合は神戸相手に押されるんじゃないかと予想していたので、
ちょっと拍子抜けしたね。

と、言うのも、神戸は先日までタイでACLのグループステージを戦っていたわけだけど、
神戸と同じグループの上海海港が大会の出場を辞退して、
3チームでグループステージを戦っていたので、試合による消耗度はそれほど無く、
むしろタイで良い練習をしてチームを仕上げてきたんじゃないかと思っていたから。

しかしながら、タイで新監督のロティーナの戦術が落とし込まれたような感じはあまりなく、
タイに行く前の、三浦前監督の下で迷走していた神戸とさして変わった様子は無かったね。

そんな神戸相手に、中村仁郎のクロスバー直撃のシュートがありながらも得点を奪えず、
さらに福田が肩を負傷して山見と交代するアクシデントも重なり、流れを掴みきれない。

そんな中、ダワンがヘディングで前線に送ったボールに反応したパトリックが、
GK前川と1対1の状況を迎えたところで後ろから菊池のチャージを受け、
ペナルティエリア外で転倒。

池内主審は、一旦はノーファウルと判定したけど、
オンフィールドレビューの結果、決定機阻止とみなされ、菊池は一発退場に。

VTRで見ても菊池の足はパトリックにかすっている程度だったけど、
スライディングに行く前のプレーで完全にパトリックと体を入れ替わられているし、
スライディングに行った足も全然ボールに届いていないからレッドは妥当だろうね。

と、言うか、この日の大崎と菊池のコンビを見ていて、
いかに昨季の神戸の守備陣がフェルマーレンにおんぶに抱っこだったのかがよくわかったね。

昨季の菊池は日本代表に推す声もあったけど、
この試合の菊池のプレーを見て同じこと思う人はいないだろう。

かくして数的有利になったガンバは、
柳澤やクォン・ギョンウォンといったDFラインの選手たちが、
ゴール前に顔を出してシュートを狙うなど、積極的に神戸のゴールに攻め込む。

2人のシュートはいずれもゴールポストに阻まれてしまい、
結局、スコアレスで前半を折り返す形になったけど、
ゴールが期待できそうな雰囲気でハーフタイムを迎える事が出来たんじゃないだろうか。

ようやく訪れたカタルシス

数的有利を生かして後半に得点を期すガンバと、
なんとか残り45分を耐え抜き、あわよくばセットプレーから得点をしたい神戸は、
お互いに選手交代無しで後半をスタート。

前半同様、ガンバが一方的に攻め込む展開になったけど、
後半9分に大迫に代えて投入されたイニエスタが、
独特の間合いのボールキープで時間を作り始めると、
防戦一方だった神戸が徐々に攻撃に転じはじめる。

もう体力的にフル稼働は厳しいのかもしれないけど、
かつて世界最高と称されたそのテクニックは、
37歳になってもなお錆び付いていないなと再確認したね。

特に、イニエスタから武藤へのスルーパスの場面は、失点を覚悟したけど、
この場面は前節の札幌戦に引き続き一森に神が降臨し、難を逃れることが出来たね。

対するガンバも小野瀬に代えてレアンドロ・ペレイラを投入し、
選手交代で流れを変えようと試みたけど、クロスやスルーパスの場面で、
レアンドロ・ペレイラとパトリックのポジションがことごとく被ってしまい、
却ってチャンスを作れなくなってしまった。

それでもガンバ優勢には変わりはなかったけど、
山見のシュートが前川にセーブされるなど、とにかくシュートが決まらず、
数的有利なのに勝てないんじゃないかなんて悪い予感も頭によぎり始めていた。

そんなガンバのギアが上がったのは、
後半28分の奥野、黒川、中村に代えて齊藤、藤春、ウェリントン・シルバの3枚代え。

特に、中盤に闘犬タイプの齊藤が入ったことによる効果は覿面で、
後半の神戸の攻撃の起点となっていたイニエスタに何度もハードな球際の勝負を仕掛け、
再び神戸のリズムを乱すことに成功。

すると後半36分、CKのこぼれ球を柳澤がシュートすると、
初瀬のシュートブロックがクォン・ギョンウォンへの絶好のアシストになり、
ガンバが待望の先制点をGET。

さらに後半アディショナルタイムには、
左サイドからカットインしたウェリントン・シルバのシュートが大崎に当たってコースが変わり、
そのままゴールネットを揺らして2−0!

シュート33本、コーナーキック11本で2点というのは、効率が悪すぎる気もするけど、
ここ数日、ゴールが奪えず、勝利からも見放されていたガンバにとって、
複数得点で勝てる試合を確実に勝つことが出来たのは、
大きな収穫と言ってもいいんじゃないだろうか。

勝利とゴールの感触を忘れないうちに

ガンバの次節の対戦相手は開幕前の予想に反して上位に食い込んでいる柏。

昨季の途中から主力の移籍も多かったし、
昨季の戦いぶりを見る限りネルシーニョの戦術にも伸び代は無いように思えたけど、
細谷や森といった若い選手たちがそんなネガティブ要素を埋めて余りある活躍をしているね。

試合会場の日立台にも良いイメージは無いので、
苦しい試合を強いられることは間違い無いだろうけど、
神戸相手に難産の末に手にした勝ち点3と2つのゴールを無駄にしたくは無いので、
千葉県から勝ち点を持ち帰ってくれることを期待しています。

ガンバ大阪20ヴィッセル神戸
’81 クォン・ギョンウォン
’90+1 ウェリントン・シルバ