【国際親善試合 ドイツvs日本】普通に試合をして普通に勝ってしまった

負けられないディー・マンシャフト

カタールワールドカップのグループステージの初戦で、
堂安と浅野のゴールで日本がドイツ相手に逆転勝利を収め、
世界中に衝撃を与えたのは昨年の11月23日の話。

あれから10ヶ月も経っていないにも関わらず、再びドイツと再戦の機会が訪れた。

なんでも、今回の親善試合はドイツ側から持ちかけられた話とのことで、
2大会連続でワールドカップのグループステージで敗退したドイツの、
国民の求心力低下を食い止めたいという腹の内が透けて見える。

日本にとっても、UEFA所属の国々でネーションズリーグなるものを開催するようになってから、
欧州の列強とのマッチメイクが難しくなっていたので、今回の親善試合はまたとない機会。

一度痛い目に遭ったドイツに慢心は無いだろうから、
ハリファ国際スタジアムでの試合の時のように上手くいく可能性は低いと思うけど、
こちらも挑戦者の気持ちを忘れずに戦えば、
フットボール史に一時代を築いた白いユニフォームから2連勝を挙げることも可能なはずだ。

同点にされた?それがどうした

かつて長谷部誠や大久保嘉人が所属したヴォルフスブルクのホームスタジアムである、
フォルクスワーゲンアリーナのピッチに送り出された日本代表のスタメン11人は以下の通り。

GKにシュミット・ダニエルや中村航輔ではなく、大迫を起用してきたこと以外は、
現状の日本のベストメンバーと言っても過言じゃないだろう。

右サイドは所属クラブで絶好調の久保を起用してくるかなと思ったけど、
伊東純也を起用してきたね。

試合は、序盤からドイツがボールを持つ時間が長かったけど、
昨年のカタールワールドカップで対戦した時と決定的に違っていたのは、
日本のDFライン設定が高く、前線からボールを奪いに行っていたこと。

前半はプレスから得点に繋がることはなかったけど、
ドイツの両CBのズーレとリュディガーに前半から執拗にプレッシャーをかけ続けたことが、
結果的に後半の日本の得点の伏線になった感はあるよね。

すると、冨安がワンタッチで右サイドに展開すると、
鎌田のパスを受けた菅原のクロスに対し、ニアに飛び込んだ伊東純也が、
ストライカー顔負けのワンタッチシュートで、テア・シュテーゲンの肩口を射抜き、
前半11分に日本が先制に成功。

しかし、コンパクトな陣形を敷き、
これまでドイツをブロックの中に進入させていなかった日本だけど、
左サイドに開いたニャブリの動きに菅原が釣られて空いたスペースにパスを通されると、
右サイドから斜めに走りこんでいたサネにゴールネットを揺らされてしまい、
先制から8分でスコアを振り出しに戻されてしまう。

ただ、ここでガクッと来ないのが今の日本の強さ。

またしても右サイドからドイツ陣内に進入し、
深い位置からの菅原のマイナスのクロスを伊東純也がワンタッチでゴール前に送ると、
上田が咄嗟に足を出してコースを変え、ボールはゴールマウスの中へ。

左サイドは三笘がボールを持つとドイツがダブルチームで対応してきたので、
なかなかチャンスを作ることが出来なかったけど、
(相変わらず三笘と伊藤洋輝は連携が良くないようにも見えるが・・・)
その分、ドイツの守備が薄い右サイドからチャンスを多く作ることが出来ていたね。

あとは上田がドフリーでテア・シュテーゲンと1対1になった場面を決めていれば、
文句無しの前半だったと思うけど、そこまで要求するのは求めすぎかな。

終わってみれば快勝

お互いに選手交代なく迎えた後半だったけど、
なんと森保監督は布陣を4-2-3-1から3-4-2-1に変更してきた。

良い試合をしている中で布陣変更を決断するのは勇気がいるものだったと思うけど、
これにより、前半のドイツで一番日本の脅威だったサネに対し、
左WBに入った三笘がマンツーマンでつく形に変更し、サネを試合から消すことに成功。

ただ、さすがに三笘を左WBでプレーさせ続けるのは、三笘の良さを消しかねないと思ったのか、
鎌田に代えて谷口を投入してCBに入れ、伊藤洋輝を左WBに回していたけどね。

また、前線の枚数が減ったことで日本のボール保持時の選択肢は少なくなったけど、
その分カウンター狙いが明確になり、浅野がその形から決定的なチャンスを迎えるなど、
日本から得点の匂いが消えたということは無かった。

ただ、この浅野のシュートもテア・シュテーゲンに阻まれるなど、
やはりこのクラスのGKになるとワンタッチゴール以外でゴールネットを揺らすのは、
至難の業だなと思わざるを得なかったね。

これまで優勢に試合を進めていた日本だけど、先述の通り、この試合に負けられないドイツは、
後半残り10分を切ったぐらいから前線に人数をかけ、
かなりのインテンシティの高さを持って日本陣内に攻め込んできた。

リードをしているとは言ってもわずかにその差は1点なので、
なんとか逃げ切って欲しいと思っていたのだけど、
リュディガーの弱い横パスを受けたゴセンスから久保がボールをかっさらうと、
ドイツのDFラインの裏に出来た広大なスペースをドリブルで独走。

久保は自分でもシュートを打つことが出来たと思うけど、
並走していた浅野へのパスを選択し、浅野のダメ押しのゴールをお膳立て。

この浅野のゴールでドイツの選手たちは気持ちが切れてしまったようで、
日本に3点目が入ってから2分後に久保が右サイドから左足でクロスをあげると、
ズーレとリュディガーの間でドフリーになっていた田中碧がヘディングでゴールネットを揺らし、
なんと終わってみれば大量4得点。

試合前日には日本の練習場を訪れて、森保監督と談笑していたリトバルスキーが、
とても悲しそうな顔でピッチを見つめていたのが、
この試合を見ているドイツ人の総意だったんじゃないだろうか。

ドイツに続いてトルコにも勝とう

カタールワールドカップでドイツに勝った時は、ひたすらドイツの攻撃を耐え忍び、
後半の特定の時間帯にギアチェンジして2得点を挙げて逆転するという、
相撲で例えるならうっちゃりのような勝利だったけど、
今回はドイツ相手に普通に試合をして普通に勝ってしまった。

本来であれば浮かれてもおかしくないところだけど、
試合後のインタビューで上田が反省の弁を口にしていたあたり、
まだまだ日本は強くなると思ったね。

ドイツとの試合が終わったばかりだけど、
中2日でこちらも欧州の強豪であるトルコとの強化試合も組まれているので、
ドイツ戦で出番の無かった選手たちの奮起に期待したいね。

ドイツ14日本
’11 伊東純也
’19 レロイ・サネ
’22 上田綺世
’90 浅野拓磨
’90+2 田中碧